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    不動産価格は上がる?下がる?2016年の不動産市況を予想

    開発のイメージ

    不動産投資のマーケットは引き続き熱を帯びており、物件価格の上昇が続いています。

    数年前から不動産投資を行っている方の中には、その価格の上昇具合に驚いている方も多いのではないでしょうか?

    今不動産投資を行っている方、そしてこれから不動産投資を始めようと考えている方の中にも、この市況が何年続くのか気になってしまうのではないかと思います。

    そこで今回は、2016年の不動産市況がどういった流れになっていくのか、私の考えをお伝えさせていただきます。

    1. 物件価格が上がる理由

    まず初めに、物件の価格がなぜ上がるのかという点について考えてみましょう。

    不動産はマーケット商品です。誤解を恐れずにお伝えさせていただくのであれば、マーケット商品とは、市場が存在する商品、すなわち、大多数の方が売り買いする商品のことだと考えています。

    中古車市場、原油市場などと同様に、不動産も多数の方によって取引が行われるマーケット商品なのです。

    マーケット商品とは

    そして、マーケット商品は様々な要因によってその価格が変わります。

    野菜の場合、収穫量や、消費者の食べ物への好み、海外からの輸入状況などによって値段が変わります。

    そして、野菜と同じように不動産の価格もさまざまな要因によって変わってきます。例えば、近年の建築数の増加による大工の不足が建物の価格を押し上げています。

    また、マーケット商品は価格の形成にあたって大きな影響を与えるものとあまり影響がないものに分けることが可能です。

    つまり、マーケット商品の価格に大きな影響を及ぼす原因を調べることによって、今後の市況の見通しを高い確率で予想することができるようになるのです。

    そこで、ここからは不動産の価格形成に大きな影響を及ぼす要因を中心に説明させていただきます。

    なお、不動産は大きく投資商品としての性格と生活の基盤として性格を有しており、この2つはそれぞれ別々の市場が成り立っていることから、ここからは不動産を投資対象と考えた場合と実際に家に住む場合に分け、物件価格が上下する理由について考えていこうと思います。

    1-1. 投資対象としての観点

    まずは、投資対象としての観点から不動産について考えてみましょう。

    投資対象として不動産を購入するということは、自分で住むのではなく、その不動産に住んでいる人から家賃を受け取って収入を得たいと考えている方が購入します。

    そして、不動産を購入することによって得られる収入としては、基本的に以下の2種類があります。

    1. 不動産を保有することによる家賃収入
    2. 不動産を売却することによる売却益

    2016_market2

    上記の2つの選択肢の中で、ほとんどの方は1.の家賃収入を目的として不動産を購入します。

    その理由は大きく分けて2つあります。

    1点目は、売却益は市況の変動によってどうなるか分からない一方、家賃収入はローンの返済額との兼ね合いで決まってくるので計算しやすいから。

    2点目は、不動産投資を行う方はサラリーマンであることがほとんどであるため、日々の収入を少しでも増やしたい人が多いからです。

    そして、この場合において重要になるのが銀行からの融資条件です。

    銀行からの融資期間が長ければ長いほど、そして、金利が低ければ低いほど月々の収入は増えていきます。いくら利回りが高い不動産であっても、銀行が融資をしてくれなければ多額の自己資金を払う必要があります。サラリーマンで数千万円の貯金をしている方は多くありませんので、どうしても融資が必要になってくるのです。

    投資家の投資判断

    1-2. マイホームとしての観点

    次に、マイホームとしての観点から不動産の価格が上下する理由を考えていきましょう。

    マイホームを購入しようとする方は、賃貸か保有かという2つの選択肢がある中で、保有するという判断をした方です。

    ここで、マイホームを購入した方はどういったきっかけでマイホームを購入したのか、その理由について調べてみましょう。

    マイホームを購入したきっかけについてまとめられた以下の図をご参照下さい。マイホームを購入したきっかけとして、半分以上の方が家賃を払うのがもったいなかったからという理由が挙げられています。

    引越のきっかけ

    出典:引っ越し侍ホームページ

    一方、家賃を払うのがもったいないとは言え、住宅を購入した場合のローンの返済額が家賃の2倍などになっていればマイホームの購入を踏みとどまる方も多いのではないかと思います。

    なぜなら、日々の生活を大きく圧迫させてまでマイホームを購入する人は少ないと考えられるからです。

    賃貸するか購入するかの判断基準

    そして、マイホームを購入する方も投資用不動産と同様に自己資金だけで購入する方はほとんどいません。銀行からの融資を組んでマイホームを購入するという決断を行う方がほとんどではないかと思います。

    ご参考まで、本コラムと直接の関係はありませんが、保有と賃貸のどちらが得かという点について理解したい方は、賃貸か持家か、どちらが得かを徹底的に検証というコラムを参照していただければと思います。

    2. 今のマーケット状況を考える

    上記2つの例を簡単にまとめてみましょう。

    投資用不動産の場合は、毎月の収支が黒字になるようであれば購入の意思決定をする。そしてマイホームの場合は家賃の支払額よりもローンの返済額の方が大きければマイホームを購入するという決断を行う。

    つまり、不動産の価格に大きな影響を与えているのは銀行の融資条件であることがお分かりいただけると思います。

    では、今の融資情勢はどうなっているのでしょうか?投資用不動産と住宅用不動産の場合に分けて考えてみようと思います。

    なぜ投資用と住宅用を分ける必要があるのかというと、この2つのローンは根本的に異なるからです。

    投資用不動産は銀行がリスクをとってお金を貸していますが、住宅用不動産(フラット35)の場合は国がリスクを取っています。

    例えば、あなたが誰かにお金を貸す際、貸した人がお金を返さなかったら国が代わりに返済してくれる場合、あなたは貸出先の信用力をあまり気にしないで貸すことができることと同じです。住宅用不動産の場合は国がリスクを取っているということから、銀行も比較的簡単に融資をすることができるのです。

    投資用と居住用の融資の違い

    2-1. 投資用不動産の場合

    まずは投資用不動産の現時点の融資情勢について見ていきましょう。

    投資用不動産に対して銀行がどういった背景で融資をするのかという点について理解したいかたは、不動産投資における積算価格の本質というコラムをご参照いただければと思います。

    基本的に、投資用不動産の場合はそれぞれの不動産の法定耐用年数内でなければ融資を行いません。

    ここでの法定耐用年数とは、簡単に言うと国が決めた建物の寿命のことです。

    寿命を超えて融資することは普通に考えておかしいので、基本的に銀行は建物の寿命の範囲内で融資を行います。木造物件の寿命は22年とされていますので、築10年の木造物件を購入する場合、基本的には12年しか融資を組むことができません。

    では、今の銀行の投資用不動産への融資姿勢はどうなっているのでしょうか?実は今の金融情勢では、建物の寿命を超えて融資を行う銀行が増えているというのが実情です。

    融資期間が長いということは、その不動産を購入した方のローン返済額が少なくなりますので、不動産を購入することができる人が増えることを意味します。そして、不動産を購入することができる人が増えるということは、不動産の価格が上がることを意味します。

    つまり、今の情勢は一般的な考え方とはやや逸脱した形で融資が行われていると考えることができるでしょう。

    2-2. 居住用不動産の場合

    次に、居住用の不動産に対する融資姿勢について考えていきましょう。

    マイホームの購入にあたって活用されるフラット35の金利の推移を記載した以下のグラフをご参照ください。

    フラット35、金利の推移

    出典:フラット35ホームページ

    今は1%台半ばの非常に低い金利が継続していることがお分かりになるのではないかと思います。

    35年間という超長期の期間を1%台の金利で融資を行うということは、普通の金融機関ではほぼ100%不可能です。

    さらに、今は住宅ローン控除制度があり、ローン残額の1%を納税額から控除することができますので、実質的に金利はさらに1%減るという形になるのです。

    今はローンを活用する人にとってはかなり有利な条件でお金を借りることができていることがお分かりいただけると思います。

    3. 今の融資情勢を作っている要因

    このようなマーケットが形成されているのはなぜなのかという点について考えてみましょう。今の金融情勢を作り上げている大きな理由の一つはアベノミクスによる政策です。

    アベノミクスがどういったものかを理解したい方は、不動産投資とアベノミクスというコラムをご参照いただければと思います。

    2015年の日本の経常収支は前年度よりも増えましたが、この税収増加に不動産も一役買っていると考えています。

    なぜなら、不動産は購入時、保有時、売却時、それぞれのタイミングで税金が発生するものであり、取引の数が増えれば増えるほど国としての収入が増えるからです。

    つまり、不動産の取引数の増加はそのまま国の税収の増加につながっているのです。

    4. 今後の融資情勢を考える

    上記を踏まえ、今後の銀行の融資姿勢の動きについて考えてみましょう。

    4-1. 不動産投資の観点から

    不動産投資の観点から考えると、今の安倍政権が続いている限りにおいて金融・財政政策の手を大きく緩めることは考えづらいので、銀行の融資姿勢もほとんど変わらないと考えることができます。

    すなわち、リーマンショックのような大きな外部要因がない限りにおいては、急激に不動産への融資姿勢が減速し、不動産の価格が急激に下がるということは考えづらいと思います。

    他方、逆に銀行が更に緩い融資条件を提示する可能性に関しては、税法上決められている物件の寿命(法定耐用年数)を大きく超えて融資している状況を考えると、更に大幅な融資条件の軟化が発生することは考えづらいでしょう。

    4-2. マイホームの観点から

    マイホームの場合でも、今の安倍政権が続いている限りにおいてはフラット35の条件が大きく変わることはないと考えられます。

    他方、今の35年という融資期間がさらに伸びるという点に関しては、個人的な感覚としてはその可能性は極めて低いと思っています。フラット35は最終的に国が保証する債券と連動しており、ローンの形を作り上げるのにもかなりの時間がかかること。そして40年という期間が持つイメージを考えると、各組織からの反発が上がることが考えられるからです。

    5. 2016年の不動産市況はどうなるのか?

    上記にて、不動産の価格に大きな影響を与える銀行の融資姿勢は大きく変わらないことが考えられますから、不動産の市況も大きくは変わらないということができるでしょう。

    つまり、たちまちに不動産の市況が崩れるということは考えづらく、2016年は引き続き今のような市況が継続するのではないかと思います。

    他方、今後更に銀行の融資姿勢が緩み、不動産の価格が急激に上がるということも考えづらいのではないかと思います。

    他方、一部都心の一等地のマンションなどでは抽選倍率100倍の建物が出てくるなど、局所的なバブルは続くのではないかと考えています。

    6. 最後に

    2016年の不動産市況の予測について私が考える内容を伝えさせていただきました。不動産は銀行の融資姿勢によって大きく価格が変動し、銀行の融資姿勢は国の政策などによって大きく変わります。

    国の政策を注視し、市況変化のタイミングを早いタイミングで感知し、迅速な行動をとることができるようにしましょう。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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