不動産を購入すると一度は目にするであろう固定資産税評価額という言葉。
不動産にまつわる税金計算においては欠かすことができない項目です。
一方で、この固定資産税評価額は一つ一つ人の手によって計算されていることをご存知でしょうか?つまり、計算間違いが発生しているのかもしれないです。
必要以上に税金を取られないようにするためにも、固定資産税評価額がどのような根拠に基づいて設定されているか把握しておきたいもの。
そこで今回は、固定資産税評価額の計算方法を土地と建物に分けて、わかりやすく説明させて頂きます。
- 1. 固定資産税評価額とは
- 2. 固定資産税評価額が用いられる場面
- 2-1. 固定資産税・都市計画税
- 2-2. 登録免許税
- 2-3. 不動産取得税
- 3. 固定資産税評価額の計算方法
- 3-1. 土地
- 3-1-1. 地目の決定
- 3-1-2. 地積の決定
- 3-1-3. 評点を決める
- 3-1-4. 市街地宅地評価法における固定資産税評価額の算出方法
- 3-1-4-1. 固定資産税路線価
- 3-1-4-2. 評点(補正率)を計算する
- 3-1-4-3. 不整形の土地の評点の計算方法
- 3-1-5. その他の宅地評価法
- 3-2. 建物
- 3-2-1. 評点の計算方法
- 3-2-2. 木造家屋の評点構成要素
- 3-2-2-1. 屋根
- 3-2-2-2. 基礎
- 3-2-2-3. 外壁
- 3-2-2-4. 柱・壁体
- 3-2-2-5. 内壁
- 3-2-2-6. 天井
- 3-2-2-7. 床
- 3-2-2-8. 建具
- 3-2-2-9. 建築設備
- 3-2-2-10. 仮設工事
- 3-2-2-11. その他工事
- 3-2-3. 評点を実際に計算する
- 3-3. 減価率を算出する
- 3-4. 建物の固定資産税評価額を算出する
- 4. 最後に
1. 固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて市町村が個別の土地・不動産に対して策定した評価額のことを言います。
固定資産税評価額は、自治体の担当者が一つ一つ確認して決定しているのです。(実際は新築時においてのみ確認し、その後は経過年数に応じて逓減させていく形になります。)
2. 固定資産税評価額が用いられる場面
次に、固定資産税評価額が実際に用いられる場面について簡単に紹介させて頂きます。固定資産税評価額は税金計算において用いられるものであるため、諸費用の計算において用いられると考えましょう。
固定資産税評価額含め、不動産に関する税金・費用については不動産の取得・売却時に発生する税金・費用のまとめに詳しく記載しておりますので、合わせて参照頂ければと思います。
2-1. 固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は資産の持主に対して請求される税金のことを言います。その税額は固定資産税が評価額の1.4%、都市計画税が評価額の0.3%です。
2-2. 登録免許税
登録免許税は不動産の登記を行う際に納める必要がある税金です。税額は最大で固定資産税評価額の2%です。
2-3. 不動産取得税
不動産取得税は不動産の所有者に対して1度課される税金です。税額は固定資産税評価額の3~4%です。
3. 固定資産税評価額の計算方法
上記にて固定資産評価額がどういった場面で使われるのかという点について確認頂いた上で、早速固定資産税評価額の計算方法について一つずつ見ていきましょう。
3-1. 土地
まずは土地における固定資産税評価額の計算方法についてです。少し細かい分類があるためにとっつきづらい部分もあるのですが、一つずつ理解を進めていきましょう。
3-1-1. 地目の決定
まずは対象となる土地の地目を決定します。地目の具体例は田、畑、宅地、山林、牧場などです。
地目は土地の現況及び利用目的に重点を置いて決定されます。
登記簿上の土地の地目と実際の土地の地目は異なることが多々あります。なぜなら、登記上の地目は登記のタイミングで決定されるものであり、登記後、時間の経過と共に土地の用途が異なることがあるからです。
登記簿における地目が何と書かれていても、固定資産税評価額は現況に基づいて決定されるということを知っておきましょう。
今回はみなさんに一番馴染みがある宅地(建物を建てるための土地)を対象とし、宅地における固定資産税評価額の計算方法について説明させて頂きます。
3-1-2. 土地の面積(地積)の決定
地目を決定した後は、土地の面積(地積)を決定します。土地の面積の決定方法は以下によります。
- 登記簿に登記されている土地については、登記簿に登記されている地積による
- 登記簿に登記されていない土地については、現況の地積による
土地を購入した場合、ほぼ100%登記を行いますので、地積は登記簿に記載されている面積と認識しておきましょう。
3-1-3. 対象となる宅地が存する地域を確認する
地目を宅地と決定し、地積も決まりましたが、評価額を計算するにあたり、もう一つ確認しておくべき項目があります。
それは、対象となる宅地が存するどういった地域に区分されているのかを確認するというものです。区域はおおむね以下の2種類の分けられます。
- 市街地的形態を形成する地域 → 「市街地宅地評価法」による評価
- 市街地的形態を形成するに至らない地域 → 「その他の宅地評価法」による評価
そして、市街地的形態を形成する地域の整理は自治体によって異なりますが、概ね「市街化区域」のことを言います。
市街化区域について簡単に整理した以下の図を参照頂ければと思います。
出典:国土交通省北海道開発局HP
街づくりを行う地域としてまず都市計画区域を決め、その中で市街化を進める地域である市街化区域と市街化を抑制する市街化調整区域を定めるというのが大きな枠組みです。
そして、市街化調整区域では基本的に建物を建てることができませんので、市街化的形態を形成する地域は市街化区域と概ね合致することになるのです。
3-1-4. 市街地宅地評価法における固定資産税評価額の算出方法
ここから具体的な計算方法に入っていきます。まずは市街地宅地評価法がどういった評価方法なのかという点についてみていきましょう。
市街化宅地評価法による土地の価格の計算式は以下の通りです。
固定資産税路線価 x 土地面積 x 評点
順番に見ていきましょう。
3-1-4-1. 固定資産税路線価
まずは固定資産税路線価を算出しましょう。固定資産税路線価とは、道路に付けられた価格のことであり、その道路に接している土地の1m2あたりの価格を示しています。
上の図における2つの土地の面積は同じく100m2とします。この場合、路線価10万円/m2の道路に接している土地の固定資産税評価額は1,000万円、路線価7万円/m2の道路に接している土地の固定資産税評価額は700万円となります。
固定資産税路線価の確認方法
固定資産税路線価は市町村が定めており、役所にいけば確認することができますが、市町村によってはインターネットで固定資産税路線価を確認することが可能です。
なお、路線価には固定資産税の計算に用いられる固定資産税路線価(市町村が作成)、と相続税の計算に用いられる相続税路線価(国税庁が作成)の2種類があります。路線価の数字自体はほとんど変わりませんが、2種類あるという点は頭の片隅に置いておくと良いと思います。
東京都の場合、ホームページにて路線価が公開されています。実際に路線価を調べてみることにしましょう。
今回調べる土地の住所は、東京都大田区中馬込にある馬込第三小学校に面している環七通りの路線価を調べてみることにします。
① 東京都 固定資産税路線価と検索
検索すると、以下のような検索結果がでますので、クリックしてサイトに入りましょう。
②最新の路線価をクリックする
固定資産税路線価は3年に1度更新されます。今は平成27年度の路線価が最新ですので、「平成27基準年度路線価図を見る」をクリックします。
③検索方法を決める
対象となる土地の固定資産税路線価を調べる方法は複数ありますが、今回は町名から探すことにします。
④該当する地区周辺の地図を出す
今回は中馬込周辺なので、中馬込1丁目をクリックします。住所の横に複数の番号がありますが、これは一般的な地図と同様に、地図を表示しながら必要な図面に移動させることが可能ですので、あまり気にしなくても問題ありません。
⑤google mapと見比べながら場所を特定する
路線価図は建物名などがほとんど記載されていないため、場所を特定するのが難しいです。そこで、路線価図上に記載されている主要な建物とGoogle mapを比較させながら、目的とする道路探し出します。
固定資産税路線価図の014には給水所が主要な建物として記載されていましたので、Google mapでも同じ場所を検索し、そこから対象となる土地を見つけ出します。
⑥固定資産税路線価を特定する
Google mapと照らし合わせながら、対象となる土地を特定することができました。
上記の道路に記載されている338という数字が路線価です。つまり、この道路に面している土地は1m2あたり33.8万円と評価されることを意味します。
3-1-4-2. 評点(補正率)を計算する
固定資産税路線価を確認した後は、評点の計算方法について見ていきましょう。評点というと分かりづらいのですが、要は土地の形状などによって補正を行うことですので、ここからは補正率とさせて頂きます。補正率は以下の4つの要因によって決定されます。
- 土地の接道状況
→一方のみならず、複数の道路に接している場合は評点が高くなります - 奥行の長さ
→奥行が長い土地の場合は、評点が下がる傾向があります。 - 間口の狭さ
→間口(道路に接している長さ)が短いと、評点が下がる傾向があります。 - 不整形
→土地の形状がいびつな場合、評点が下がる傾向があります。
上記4つのなかで、1.2.3.による減価/増加の割合は概ね10%前後であり、あまり影響が大きくないことから、今回は評点への影響が大きい4.の土地の形状による評点の違いについて説明させて頂きます。
3-1-4-3. 不整形の土地の補正率の計算方法
早速不整形の土地の補正率の計算方法についてみていきましょう。
①不整形の土地の形状を暫定的に整理する。
これは図で説明させて頂いた方が分かりやすいと思いますので、以下の図を参照して頂ければと思います。
上記において、左側の図の場合面積を計算することが難しいことから、右の赤で囲まれた面積のように、ある程度シンプルな形にするのです。
②整形の場合の面積と整形ではない面積の割合を計算する
次に、対象となる土地が整形である場合を仮定し、その場合における整形地の面積と不整形部分の面積の比率を計算します。これも図で考えた方が分かりやすいですので、以下の図を参照下さい。
上記の図において、赤部分と青部分を合計した整形地としての面積は300m2、一方赤部分の整形地から不整形地を除いた部分の面積が150m2とします。
この場合は、150 / 300 = 0.5が係数となり、この係数に応じて補正率が決定されます。係数と補正率の関係を示した表を以下に記載します。
なお、以下の補正率は対象となる宅地の細分類によって数字にわずかな違いがあること、お含み置きいただければと思います。
係数 | 補正率 |
0.1未満 | 1.00 |
0.1~0.2 | 0.96 |
0.2~0.3 | 0.92 |
0.3~0.4 | 0.88 |
0.4~0.5 | 0.82 |
0.5~0.6 | 0.72 |
0.6以上 | 0.60 |
上記の土地の場合、係数は0.5ですので、補正率は0.72となり、整形な土地比べて72%の額が固定資産税評価額となります。
3-1-5. その他の宅地評価法
その他宅地の場合の評価法は以下の通りです。
”標準宅地の価格と比準させて求める”
比準とは比較するという意味です。つまり、対象となる土地の近くにある標準宅地(この標準宅地は市町村が定めます)の単価をベースに、標準宅地との差異を比較して対象となる宅地の価格を決めるという方法です。
そして、固定資産税評価基準では、標準宅地は状況類似地区ごとに、道路に沿接する宅地のうち、奥行、間口、形状等からみて、標準的なものと認められるものを選定するものとする。という記載があります。
簡単な例と図で説明させて頂きます。
上図の右にある標準地の単価は10万円にて、この10万円を基準として、対象地がどれほどの価値があるかを計算していきます。
今回の対象地は以下のようなデメリットがあることが図からお分かり頂けると思います。
- 旗竿地(道路と接している部分が短い) → 掛目0.7
- 奥の敷地が不整形(長方形ではない) → 掛目0.8
- 幹線道路に接していない → 掛目0.9
標準値の単価である10万円に掛目を乗じ、その価格に土地の面積を掛けることによって土地の固定資産税評価額を計算することが可能です。
今回の場合は、対象地の面積が100m2と仮定すると、土地の固定資産税評価額は以下となります。
10万円 x 0.7 x 0.8 x 0.9 x 100m2 = 504万円
3-2. 建物
次に建物の固定資産税評価額の決定方法について見ていきましょう。
固定資産税評価基準には、「各個の家屋について評点数を付設し、当該評点数に評点一点あたりの価額を乗じて各家屋の価額を求める方法によるものとする。そして、評点数は当該家屋の再建築評点数を基礎とし、これに家屋の損耗の状況による減点を行って付設するものとする。」
という記載がありますが、この記載では少し分かりづらいですので、もう少し簡潔な言葉で説明させて頂くと、「再建築に要する費用から経年による減価分を減らして評価する」というのが建物の固定資産税評価額の決定方法となります。
3-2-1. 評点の計算方法
それでは早速評点の計算方法について見ていきましょう。今回は木造家屋の評点算出方法について説明させて頂きます。
3-2-2. 木造家屋の評点構成要素
固定資産税評価基準では、まず木造家屋を大まかに分類します。分類は11種類あり、その内容は以下の通りです。
- 屋根
- 基礎
- 外壁
- 柱・壁体
- 内壁
- 天井
- 床
- 建具
- 建築設備
- 仮設工事
- その他工事
それぞれの項目の詳細について見ていきましょう
3-2-2-1. 屋根
屋根は以下のような区分がなされています。(右の画像をクリックするとそれぞれの構成要素のイメージを拡大することができます。)
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
陸屋根 | シート防水 | 7,850 | ||
FRP防水 | 12,610 | |||
勾配屋根 | 瓦 | 上 | 16,500 | |
中 | 14,480 | |||
化粧スレート | 12,140 | |||
金属板 | 銅板波板 | 5,690 | ||
鋼板 | 9,400 | |||
銅板 | 25,970 | |||
ステンレス板 | 11,760 | |||
アスファルトシングル | 8,190 | |||
合成樹脂波板 | 6,930 | |||
建材型ソーラーパネル | 31,380 |
出典:
スレート/ルーフパートナー
銅板波板/吉沢板金工業
鋼板/住まいの建材.com
銅板/ナチュラルパートナーズ
ステンレス板/日新製鋼
アスファルトシングル/woodworks
合成樹脂波板/トラブラン
建材型ソーラーパネル/くらべれば太陽光発電
3-2-2-2. 基礎
出典:ウィズハウスプランニング
3-2-2-3. 外壁
出典:
サイディング/有限会社真栄
薄付外壁吹付仕上/エスケー化研
板張/リフォームのヨシ
銅板 平板/食べログ
外壁タイル/Tilelife
繊維強化セメント板/RC外断熱住宅建築日記
合成樹脂板/株式会社野村建設
薄型気泡コンクリートパネル/ALC協会
漆喰大壁/パン製造小屋のリホーム
漆喰真壁/むとう設計
3-2-2-4. 柱・壁体
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
真壁造柱 | 15.0cm 角 | 18,450 | ||
13.5cm 角 | 8,610 | |||
12.0cm 角 | 7,040 | |||
10.5cm 角 | 5,770 | |||
大壁造柱 | 13.5cm 角 | 7,330 | ||
12.0cm 角 | 6,320 | |||
10.5cm 角 | 5,370 | |||
木製パネル | 壁体 | 15,740 |
出典:
真壁/永井昭夫建築士事務所
大壁/島根県住まい作り境界
木製パネル/ママ楽ハウスブログ
3-2-2-5. 内壁
出典:
クロス貼/きくはら工務店
木質系壁仕上/ABC商会
塗り壁/カワサキ工業
内装タイル/Tilelife
石材系仕上/福岡de輸入住宅を建てる
3-2-2-6. 天井
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
木質系天井仕上 | 特 | 8,730 | ||
上 | 4,650 | |||
中 | 3,260 | |||
並 | 1,510 | |||
クロス天井 | 2,170 | |||
塗り天井 | 6,450 | |||
浴室天井 | 6,130 |
3-2-2-7. 床
出典:
畳/株式会社勝手
着色コンクリート/シビルマテックス
モルタル/京大塗装工業
3-2-2-8. 建具
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
上 | 24,390 | |||
中 | 18,140 | |||
下 | 14,630 |
3-2-2-9. 建築設備
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
項目別評点方式 | 電気設備 | スイッチ・ コンセント配線 |
5,210 | |
照明設備 | 7,350 | |||
ガス設備 | 1m配管 | 17,860 | ||
2m配管 | 28,190 | |||
給水・給湯設備 | ライニング鋼管 | 5,430 | ||
塩化ビニル管 | 2,420 | |||
排水設備 | 排水管 | 6,410 | ||
加算評点項目 | 電気設備 | ドアホン | 45,560 | |
給水・給湯設備 | 給水槽 | 93,230 | ||
使用口 | 960 | |||
給湯器 | 223,200 | |||
便器 | 和式 | 41,700 | ||
洋式 | 33,000 | |||
洗面器 | 19,740 | |||
洗面化粧台 | 58,100 | |||
洗濯流し | 33,400 | |||
浴槽 | 上 | 458,730 | ||
並 | 49,130 | |||
ユニットバス | 339,470 | |||
ハーフユニットバス | 227,860 | |||
浴室換気乾燥機 | 54,000 | |||
ユニットシャワー | 161,730 | |||
流し台 | 45,900 | |||
ミニシステムキッチン | 101,200 | |||
システムキッチン | 267,070 | |||
レンジフードファン | 30,510 | |||
空調設備(ビルトイン方式) | 9,880 | |||
冷暖房設備 | 12,590 | |||
換気扇・換気口 | 12,340 | |||
ホームエレベーター | 1,788,000 |
3-2-2-10. 仮設工事
仮設工事は原則として3階建て以上の建物または高さ7m以上の建物に対して適用され、その評点は1m2あたり1,290点です。
3-2-2-11. その他工事
大項目 | 中項目 | 小項目 | 評点 | 画像 |
階段 | 166,510 | |||
バルコニー | 40,340 | |||
床間 | 本床 | 特 | 420,170 | |
上 | 179,980 | |||
中 | 83,000 | |||
並 | 34,060 | |||
床脇 | 特 | 327,720 | ||
上 | 135,380 | |||
中 | 64,500 | |||
並 | 31,710 | |||
付け書院 | 特 | 219,860 | ||
上 | 93,240 | |||
並 | 37,400 |
3-2-3. 評点を実際に計算する
上述の通り、評点計算の根拠となる建築資材は多岐にわたるので、標準的な家を想定し、その家の評点を実際に計算してみましょう。
部位 | 素材1 | 素材2 | 評点 | 単位 | 評価額 |
屋根 | 瓦 | 中 | 14,480 | 80m2 | 1,158,400 |
基礎 | RC | 45cm高 | 12,620 | 60m2 | 757,200 |
外壁 | 薄付吹付仕上 | 5,790 | 300m2 | 1,737,000 | |
柱 | 真壁 | 13.5cm角 | 8,610 | 120m2 | 1,033,200 |
内壁 | クロス貼 | 8,680 | 300m2 | 2,604,000 | |
天井 | 塗天井 | 6,450 | 120m2 | 774,000 | |
床 | カーペット | 上 | 8,780 | 120m2 | 1,053,600 |
建具 | 中 | 18,140 | 100m2 | 1,814,000 | |
設備 | 照明 | 7,350 | 10個 | 73,500 | |
ガス | 28,190 | 3個 | 84,570 | ||
給水 | 5,430 | 3個 | 16,290 | ||
排水 | 6,410 | 3個 | 19,230 | ||
給湯機 | 223,200 | 1個 | 223,200 | ||
シャワー | 161,730 | 1個 | 161,730 | ||
キッチン | 267,070 | 1個 | 267,070 | ||
バス | 339,470 | 1個 | 339,470 | ||
その他 | 階段 | 166,510 | 1個 | 166,510 | |
合計 | 12,282,970 | ||||
単価 | 102,358 |
実際には程度の良さや施工の難しさによって上記評点は変動するのですが、まずは計算のイメージを掴んで頂くことが目的ですので、評点の変動部分に関しては割愛させて頂きます。
上記から、減価前の評価額は約1,200万円、単価は約10万円という計算結果を得ることができました。
3-3. 減価率を算出する
評点の計算が終わった後は、減価率を計算しましょう。減価率とは、建物の劣化の程度を数字で表したものです。
1m2あたりの評点 | ||||
築年数 | 50,000未満 | 50,000~79,000 | 79,000~121,000 | 121,000~ |
1 | 0.8 | 0.8 | 0.8 | 0.8 |
2 | 0.75 | 0.75 | 0.75 | 0.75 |
3 | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
4 | 0.66 | 0.67 | 0.68 | 0.68 |
5 | 0.62 | 0.64 | 0.65 | 0.67 |
6 | 0.58 | 0.61 | 0.63 | 0.65 |
7 | 0.53 | 0.58 | 0.61 | 0.64 |
8 | 0.49 | 0.55 | 0.59 | 0.62 |
9 | 0.45 | 0.52 | 0.56 | 0.61 |
10 | 0.41 | 0.49 | 0.54 | 0.59 |
11 | 0.37 | 0.46 | 0.52 | 0.58 |
12 | 0.33 | 0.44 | 0.5 | 0.56 |
13 | 0.28 | 0.41 | 0.47 | 0.54 |
14 | 0.24 | 0.38 | 0.45 | 0.53 |
15 | 0.2 | 0.35 | 0.43 | 0.51 |
16 | 0.2 | 0.32 | 0.4 | 0.5 |
17 | 0.2 | 0.29 | 0.38 | 0.48 |
18 | 0.2 | 0.26 | 0.36 | 0.47 |
19 | 0.2 | 0.23 | 0.34 | 0.45 |
20 | 0.2 | 0.2 | 0.31 | 0.43 |
21 | 0.2 | 0.2 | 0.29 | 0.42 |
22 | 0.2 | 0.2 | 0.27 | 0.4 |
23 | 0.2 | 0.2 | 0.25 | 0.39 |
24 | 0.2 | 0.2 | 0.22 | 0.37 |
25 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.36 |
26 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.34 |
27 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.33 |
28 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.31 |
29 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.29 |
30 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.28 |
31 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.26 |
32 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.25 |
33 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.23 |
34 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.22 |
35 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
数字だとイメージが湧きづらいですので、簡単なグラフにしてみました。以下グラフを参照して頂ければと思います。
評点が低い建物、つまり単価が安い建物ほど経過年数に対する減価の割合が大きいという点がポイントです。
3-4. 建物の固定資産税評価額を算出する
建物の評点及び減価率が分かれば、その2つを掛けることによって評点を算出することが可能です。
例えば、上記の計算例において家が築10年だった場合を想定しましょう。
上記の建物の単価は10万円にて、上のグラフのグレー部分の減価率を適用します。築10年目におけるグレー部分の減価率は0.54にて、以下にて計算します。
1,200万円(評価額) x 0.54 = 648万円
計算の結果、この建物の固定資産税評価額は648万円と導き出すことができました。
4. 最後に
固定資産税評価額はコストを積み上げて計算していますが、実際の時価とはかい離があり、概ね時価の70%ぐらいの金額であることは意識しておきましょう。
また、固定資産税評価額は市役所の担当者が新築時に一度だけ確認するものであり、その時の評価が過っていれば、ずっと誤った金額を前提として計算されることもありますので、上記の情報をもとに一度計算を行ってみることをおすすめします。
固定資産税評価額の計算根拠は市役所に行けば取得することが可能です。