不動産の売買にあたっては様々な税金や費用が発生します。
いきなり全てを理解しようとするとどれも中途半端な理解になってしまいますので、まずはざっくりとそれぞれの税金・費用について理解することが大切です。
そこで、今回は細かい説明を省略し、ざっくりと理解して頂くことを念頭に、不動産の取得・売却にあたって発生する税金を整理しました。
あくまでざっくりとした理解を念頭にしていますので、細かい条件などに関する記載は省略させて頂いていること、お含みおき頂ければと思います。
不動産の取得・売却にあたって発生する税金・費用の一覧
以下の表に不動産の取得・売却にあたって発生する税金・費用を整理しました。
- ○は必ず支払わなければいけないもの、
- △は支払う場合によっては支払う必要があるもの、
- ×は支払う必要がないものを示しています。
まずは、どのような税金・費用項目があるのか、そしてそれぞれがどのタイミングで発生するのかを把握しましょう。
それぞれの項目をクリックすると、概要の説明を見ることができます。
支払先 | 税金・費用の種類 | 取得時 | 保有時 | 売却時 |
国・地方公共団体 | 不動産取得税 | ○ | × | × |
固定資産税・都市計画税 | △ | ○ | × | |
登録免許税 | ○ | × | × | |
印紙税 | △ | × | △ | |
所得税・法人税 | △ | △ | △ | |
消費税 | × | × | △ | |
業者・専門家 | 仲介手数料 | △ | × | × |
登記手数料 | △ | × | × | |
ローン手数料 | △ | × | × | |
物件管理費 | × | △ | × | |
客付け広告料 | × | △ | × | |
リフォーム・現状回復費用 | × | △ | × |
それぞれの税金・費用の大まかな内容を理解する
不動産の取得・売却にあたって発生する税金・費用の全体感を把握したら、次はそれぞれの税金・費用の内容について簡単に理解していきましょう。
それぞれの税金・費用をなぜ払わないといけないのか、どこにいつ払わなければいけないのか、そして、おおむねいくら払わなければいけないのかという点について整理しています。
A 国・地方公共団体
1 不動産取得税
根拠となる法律 | 地方税法 | →地方税とは具体的に何なのか? |
納税先 | 都道府県 | |
課税対象となる契機 | 不動産(土地及び家屋)の取得 | →何をもって不動産の取得となるのか? →都道府県などへの申請は必要なのか? |
税額 | 土地・住宅用家屋 : 固定資産評価額の3% 非居住(投資用)家屋 : 固定資産評価額の4% |
→固定資産評価額ってなに?どうやって決めるのか? |
支払時期 | 不動産の取得からおおよそ4~6か月後 | →具体的にどうやって支払うのか? |
2 固定資産税
根拠となる法律 | 地方税法 | →地方税とは具体的に何なのか? |
納税先 | 市町村 | |
課税対象となる契機 | 1月1日時点での不動産(土地及び家屋)の保有 | →保有は何をもって決まるのか? |
税額 | 固定資産税評価額の1.4% | →固定資産税評価額ってなに?どうやって決めるのか? |
支払時期 | 四半期ごと | →具体的にどうやって支払うのか? |
3 都市計画税
根拠となる法律 | 地方税法 | |
納税先 | 市町村 | |
課税対象となる契機 | 1月1日時点での不動産(土地及び家屋)の保有 | |
税額 | 固定資産税評価額の0.3% | →固定資産税評価額ってなに?どうやって決めるのか? |
支払時期 | 四半期ごと | →具体的にどうやって支払うのか? |
4 登録免許税
根拠となる法律 | 登録免許税法 | →そもそも登録免許税って何? |
納税先 | 国 | |
課税対象となる契機 | 不動産の登記 | →どうやって登記されたか分かるのか? |
税額 | 固定資産税評価額の2% | →固定資産税評価額って何?どうやって決めるのか? |
支払時期 | 登記をする時 | →登記をする時とは具体的には? |
5 印紙税
根拠となる法律 | 印紙税法 | →印紙って何? |
納税先 | 国 | |
課税対象となる契機 | 課税文書の作成 | →課税文書って何? |
税額 | 売買契約書の場合、おおよそ1~3万円 | →金額の詳細が知りたい |
支払時期 | 課税文書作成時 | →具体的にいつ支払うのか? |
6 所得税・法人税
根拠となる法律 | 所得税法・法人税法 | →所得税法・法人税法とは? |
納税先 | 国 | |
課税対象となる契機 | 所得の発生 | |
税額 | 当該個人・法人の所得による | →金額の詳細が知りたい |
支払時期 | 所得税:3月中旬 法人税:決算後2か月以内 |
7 消費税
根拠となる法律 | 消費税法 | →消費税法とは? |
納税先 | 国 | |
課税対象となる契機 | (買手)不動産(建物)の購入 (売手)不動産(建物)の売却 |
→ポータルサイトの情報は内税?外税? →個人・法人でも制度は同じなのか? |
税額 |
建物価格の8% |
→建物価格とはどうやって決めるのか? |
支払時期 | (個人事業)3月末まで (法人)決算期後2か月内 |
B 業者・専門家
1 仲介手数料
役務の提供者 (支払先) |
仲介業者(宅建業者) | →なぜ払う必要があるのか? |
役務内容 | 不動産の仲介 | →仲介とは具体的にはどのようなことを言うのか? |
費用 | 概ね売買価格の3% | →金額の詳細が知りたい |
2 登記手数料
役務の提供者 (支払先) |
司法書士 | →なぜ払う必要があるのか? |
役務内容 | 不動産の登記 | →具体的には何をするのか? |
費用 | おおむね5~10万円 | →金額の詳細が知りたい |
3 ローン組成手数料
役務の提供者 (支払先) |
銀行 | →なぜ払う必要があるのか? |
役務内容 | ローンの組成 | →具体的には何をするのか? |
費用 | 概ね10万円前後 | →価格交渉を行うことはできるのか? |
4 物件管理費
役務の提供者 (支払先) |
不動産業者 | →なんで払う必要があるのか? |
役務内容 | 大家業務の代行 | →具体的には何をするのか? |
費用 | 概ね賃料の5% | →金額の詳細が知りたい |
5 客付け広告費
役務の提供者 (支払先) |
不動産業者(宅建業者) | →なんで払う必要があるのか? |
役務内容 | 空室物件への客付け | →具体的には何をするのか? |
費用 | 概ね賃料1か月分 | →価格交渉を行うことはできるのか? |
6 リフォーム・現状回復費用
役務の提供者 (支払先) |
リフォーム業者、不動産業者 | |
役務内容 | 内装・外装の工事 |
|
費用 | 内容による | →詳細な内訳を知りたい |
不動産取得税・固定資産税に関して
地方税とはどのような税金なのか?
地方税とは、国税との対比において用いられる言葉であり、地方公共団体が主体となって徴収する税金のことを言います。
その名前の通り、地方と関連している項目に対して課税されるものが多いです。例えば自動車税、ゴルフ場利用税、入湯税などです。
不動産はそれぞれの地方公共団体の土地の上に存しており、地方公共団体がその評価を行っていますので、不動産取得税と固定資産税は地方税となるのです。地方公共団体が管理しているので、地方税というイメージでしょうか。
つまり、土地や建物が多い地方公共団体は、それだけ地方税による税収が多くなることを意味します。
不動産取得税に関して
何を持って取得となるのか?
不動産の所有権が移転すれば、不動産取得税の対象となります。そして、所有権の移転は口頭による合意でも行われますので、口約束でも所有権は移転し、新たに所有権を得た人は不動産取得税が発生します。
短期、長期を問わず、持ち主が変われば不動産取得税が発生するのです。
不動産取得税に関して
都道府県などへの申請は必要なのか?
結論としては、都道府県などへの申請を行う必要はありません。不動産を購入すると、4~6か月後に都道府県から支払書が送付されてきます。
そうすると、都道府県がどうやって所有権の移転を把握しているのかという点に関して疑問が生じるとおみますが、実は都道府県は自動的に所有権の移転を把握できる仕組みがあるのです。
それは所有権移転の登記です。
不動産の登記を管轄しているのは法務局(地方公共団体ではなく国)なのですが、法務局は登記の事実が確認されると、その情報を地方公共団体に伝えます。
つまり、あなたが特段申請を行わなくとも、都道府県は所有権の移転の事実を知ることができるのです。
そうすると、登記を行わなければ不動産取得税を払わなくても良い?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、原則として法律違反であることと、地方公共団体も未登記建物の調査を行っていること、そして何よりも登記を行わないことに対するリスクが大きいことを認識する必要があります。
例えば、あなたがAさんから不動産を買ったとします。しかし、AさんはこっそりBさんにも同じ不動産を売ったとします。民法上はこの双方の契約は有効です。そうなると、どちらが所有権を主張することができるのかという議論になるのですが、実はこの場合は先に登記を行った方が所有権を主張することができるのです。あなたが例えば売買代金を払い、その家に住んでいたとしても登記をしたBさんには対抗することができないのです。
不動産取得税・固定資産税に関して
固定資産税評価額はどうやって決まるのか?
不動産取得税・固定資産税・登録免許税の税額の計算において用いられる固定資産税評価額。
市町村が作成しているのですが、少し複雑であり、その内容も分かりづらいと思いますので、別途コラムで解説させて頂きます。
不動産取得税に関して
具体的にどうやって支払うのか?
不動産取得税の納付は都道府県から送付される納付書に基づいて行われます。基本的には納付書を銀行やコンビニに持っていき、納付書に記載されている税金を納付すれば完了です。
電気代や携帯代などをコンビニで払っている方は、毎月支払い用紙が送られてくると思いますが、それとほとんど同じです。
固定資産税・都市計画税に関して
保有は何をもって決まるのか?
1月1日時点の所有者に対して税金が課されますが、この「保有」は基本的には登記簿謄本に記載されている所有権の持ち主が所有者とされます。
これはあなたが国内にいようが海外にいようが課税されるものであり、基本的に避けることができません。(1月1日に海外にいれば固定資産税の課税を逃れることができるのであれば、不動産を保有している人はみんな海外に行きますよね。)
固定資産税・都市計画税に関して
具体的にどうやって支払うのか?
固定資産税・都市計画税の納付は市町村から送付される納付書に基づいて行われます。納付書は4枚に分けて送付され、概ね3か月毎に納付期限が設定されています。
また、市町村の中には4枚に分けられた納付書の他に、一括での納付ができる納付書が同封されている場合もあります。この場合、一括で納付すると4回に分けて納付する場合よりも安い金額となる場合もあります。
支払い方法は不動産取得税の場合と同じです。納付書を銀行やコンビニに持っていき、納付書に記載されている税金を納付すれば完了です。
登録免許税に関して
そもそも登録免許税とは何なのか?
登録免許税という言葉は少しイメージが湧きづらいと思いますので、まずはこの登録免許税がどういった税金なのかという点について説明させて頂きます。
この登録免許税は、国から何らかの権利を貰うために支払わなければいけない税金のことです。例えば、不動産の仲介業務を行うためには都道府県の許可を得る必要がありますが、この許可を得る、すなわち不動産業を行う権利をもらう際にもこの登録免許税が発生します。
登記というのは民法で規定された非常に強力な権利です。だからこそ、国が整備した権利を得るためには、国に対して税金を支払わなければいけないのです。
国が「登録」させてあげている、「免許」を与えてあげている、だから税金を払いなさい。というイメージです。
登録免許税に関して
どうやって登記されたかわかるのか?
基本的には登記の申請と同時に費用を払う必要がありますので、申請する=登記する、すなわち法務局は自動的に登記の事実を知ることができます。
登録免許税に関して
登録免許税の支払のタイミングは?
登録免許税は登記の申請を行う際に法務局に申請します。そして、不動産の登記は基本的には司法書士が行いますから、司法書士があなたの代理として登録免許税を支払うのが一般的です。
つまり、あなたが実際に法務局に出向いて払うことはほとんどないと考えて良いです。
印紙税に関して
印紙税って何?課税文書って何?
印紙税とは、一定の文書に対して課される税金のことであり、印紙税は印紙を購入し、その印紙を課税文書に貼ることで税金を納付したとみなされます。
では、なぜ文書に対して税金を払わなければいけないのでしょうか?この質問に対する答えについては、小泉首相の国会における以下の答弁を参考にして頂ければと思います。
印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である。
つまり、趣旨としては登録免許税と同じですね。特定の文書に関しては国が法律上の効力を与えているのだから、それに応じて利益を得ている文書作成者は少しは税金を払いましょう。というものです。
印紙税に関して
細かい詳細が知りたい
印紙はそれぞれの文書によって税額が細かく分けられています。全部で20種類の文書に分類されているのですが、不動産の売買において印紙税の対象となるのは1号文書である売買契約書です。
税額に関しては租税特別措置法により概ね一般の売買契約書と比較し、その金額は約半分となっており、軽減措置後の税額は以下の通りです。
契約金額 | 税額 |
10万円超 50万円以下 | 200円 |
50万円超 100万円以下 | 500円 |
100万円超 500万円以下 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 3万円 |
1億円超 5億円以下 | 6万円 |
(以下省略します。) |
印紙税に関して
具体的にいつ支払うのか?
印紙税は対象となる文書が作成されたら、その文書に印紙が貼られていなければいけません。つまり、不動産の売買契約書に関しては、契約書の効力が有効になるタイミング、すなわち契約当事者が契約書に署名捺印する前までに印紙をその文書に貼っておかなければいけません。
一方で、実際には契約のタイミングで国税庁の方が同席の上、印紙が貼られているかどうかの確認を一つ一つ行うことができるはずはなく、実際には国税庁による調査が入った際に印紙が貼られていないと法律違反となります。
ご参考まで、国税庁による調査が入ったタイミングで印紙が貼られていないと、本来払うべき金額の3倍の費用を支払う必要があるので注意しましょう。
また、契約のタイミングに国税庁の方がいないからといって、国税庁による検査のときまで印紙を貼る必要がないわけではありません。文書の効力が生じる前に印紙を貼るようにしましょう。
参考情報
印紙税は、それぞれの文書を独立した文書として、課税金額を決めます。例えば、5000万円の売買契約を締結した後、この売買額を4500万円にするという変更協定書を締結したとしましょう。
書類上、この2つの契約は繋がっていますが、印紙税の観点からは独立した文書とみなされますから、例えば変更協定書に4500万円という記載しかされていなければ、課税対象は4500万円になってしまいます。一方で、例えば契約金額を5000万円から4500万円に変更します、という記載がある場合や、契約金額を500万円減額して4500万円とする。といった記載があれば変更協定書だけで500万円減額したことが明らかになりますので、この場合は課税対象500万円となります。
所得税・法人税に関して
所得税法・法人税法とは?
日本国内でビジネスができるよう国が整備しているのだから、儲かった分のいくらかは国に払いましょう、というイメージですね。
所得税・法人税に関して
税額の詳細が知りたい
1 所得税
個人の所得に対して発生する所得税の税率は以下の通りです。
所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
上記の表だと具体的なイメージが湧かないと思いますので、納税額をグラフで表示してみます。
所得が増えるにつれて、税額も緩やかに上昇していることがお分かり頂けると思います。
実際には上記所得税に住民税も課されるため、高額所得者は所得の約半分が税金として消えていくことになります。
2. 法人税
法人税はこのコラムをご覧の方にはあまり馴染みがないと思いますので簡単に説明させて頂きます。
法人税の実効税率は所得にもよりますが、800万円超の場合で約34%です。
消費税に関して
ポータルサイトの情報は内税?外税? 建物価格はどうやって決まるのか?
まずは消費税と不動産の関係について整理しましょう。不動産は基本的には土地と家屋に分けることができますが、消費税はこのうち建物にだけ課される税金です。
では、建物と土地の金額をどうやって分けるのか?という疑問が生じると思いますが、これは売買契約書に記載されている金額によります。すなわち、買主と売主で合意した金額が基準となるのです。
極端な話、建物100万円、土地900万円という形でも問題ありません。
実務においては、客観的な評価額である固定資産税評価額に記載されている金額を基準として土地と建物の金額を決めることが一般的です。
ポータルサイトに記載されている物件価格には基本的に消費税が含まれています。
つまり、契約後に決まる建物の金額に応じて消費税の金額が決まるのです。そして、売主が法人である場合、この消費税額を国に納めなければいけないのです。つまり、売主が法人である場合、建物と土地の按分の際にもめる可能性がありますので注意しましょう。
消費税に関して
個人・法人でも制度は同じなのか?
はい、個人でも家を売った場合は消費税が発生します。しかし、個人事業主の場合は前の年の課税売上が一定金額を超えた場合にのみ納税義務がありますから、基本的に家の売買において消費税の納付義務が発生することはありません。安心して下さい
業者・専門家向けに払う費用
仲介手数料に関して
なぜ払う必要があるのか?
仲介手数料は買手が欲する不動産の情報を提供(仲介)したことに対する対価として支払うものです。つまり、あなた自身が自ら売主を見つけた場合などは仲介手数料は発生しません。
仲介手数料に関して
仲介とは具体的に何をいうのか?
不動産業界で用いられる仲介という言葉は、法律用語としては一般的に「媒介」という言葉として用いられており、媒介は、売主と買主の契約を成立させるために主体的に行動するもの・人という意味があります。
すなわち、ただ物件を紹介するだけではなく、売買契約書の作成、物件の調査、重要事項説明書の作成・説明といった業務を全て含めて「仲介」という言葉を意味します。
そういった意味では、仲介手数料には不動産会社がどれだけ頑張ったのかという頑張り分が反映されるべきだと思いますし、あなた自身も不動産業者を使う際は徹底的に活用した方が良いのではないかと思います。
仲介手数料に関して
仲介手数料の金額の詳細は?
不動産の仲介手数料(売買)に関しては、いくら払わなければいけないという法律上のルールはなく、あくまでも宅建業者が貰うことができる上限が法律で規定されているのみです。そして、宅建業者が貰うことができる仲介手数料の上限は売買代金によって差があり、その詳細は以下の通りです。
金額 | 上限 |
200万円以下 | 5.4% |
200万円超 400万円以下 | 4.32% |
400万円超 | 3.24% |
すなわち、あなたは仲介業者との交渉次第では仲介手数料を下げることができます。ただし、もし交渉をする意向があれば、なるべく早い段階で交渉するようにしましょう。
交渉の全てがまとまった段階で手数料の交渉をするのはマナー違反です。
登記手数料に関して
なぜ払う必要があるのか?
あなたに代わって不動産の登記を行ってくれるからに他なりません。登記に関する書類の作成や、法務局への書類の提出といった役務に対する対価となります。
登記手数料に関して
登記は自分でできないのか?
自分でも登記申請を行うことは可能です。一方、実務においては司法書士の方に登記の依頼することがほとんどです。なぜなら、不動産の購入においては銀行から借り入れを行い、銀行が抵当権を設定することが通常であり、その銀行が司法書士を指定するからです。
銀行がお金を貸した日に抵当権の登記が完了しなかったら、銀行は担保なくお金を貸したことになってしまい、行内でも大問題となるため、所有権の移転登記を含め、銀行が司法書士を指定することがほとんどだからです。
現金購入の場合は自分で登記にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。ただし、複数回登記をする機会がない方は、実際のコストに見合わない可能性が高いこと、実務上の知識を身に付けても他の業務への広がりがあまりないことを踏まえると、無理に自分でチャレンジしなくても良いかもしれません。
登記手数料に関して
費用の詳細が知りたい
司法書士事務所によりますが、所有権移転登記と抵当権設定登記でおおむね10万円程度と見ておくのが良いかな、と思います。
なお、司法書士から受けた請求書に数十万円という高額な請求を見てびっくりされる方もいらっしゃいますが、これはあくまでも登録免許税を含めた額であり、登録免許税はあなたに代わって司法書士事務所が立て替え払いをしてくれていることを認識しましょう。
ローン組成手数料に関して
なぜ払う必要があるのか?
ローン組成手数料を払う必要があるのは、銀行が融資を組んでくれるからにほかなりません。
ローン組成手数料に関して
具体的には何をするのか?
行内の稟議許可の取得、各種書類の準備などでしょうか。銀行は一つ一つの手続きも厳格に記録を残す必要あり、内向きのコストも無視できないと思いますので、そういったコストを負担しているとイメージされれば良いのではないかと思います。
ローン組成手数料に関して
費用の詳細が知りたい
概ね10万円~15万円というイメージです。
なお、このローン組成手数料を下げるような交渉をすることはあまり好ましくありません。ほかにいくらでも貸してくれる銀行があれば別ですが、数少ない融資行であれば、素直に払うようにしたほうが良いと思います。全ては力関係によるのですが、住宅ローンや投資用物件へのローンは銀行に貸して貰うという感覚だと思いますので、素直に払うようにしましょう。
物件管理費に関して
なぜ払う必要があるのか?
大家業を代行してくれるからです。すなわち、自主管理を行うのであればこの管理費を払う必要はありません。
物件管理費に関して
具体的には何をするのか?
入居者からの集金、大家への送金、入居者からのクレーム対応、退去の立合い、物件の清掃、リフォームや現状回復工事の代行といった業務を行います。
物件管理費に関して
金額の詳細が知りたい
詳細はありません。あくまでも業界慣習として5%という費用が発生していると認識して頂ければと思います。
客付け広告費に関して
なぜ払う必要があるのか?
あなたに代わって仲介業者が客付けをしてくれるからです。あなた自身が入居者を決めれば費用は発生しません。
客付け広告費に関して
具体的には何をするのか?
賃貸ポータルサイトへの情報掲載、入居希望者への物件案内、賃貸借契約書・重要事項説明書の作成及び説明といった業務を行います。
客付け広告費に関して
金額の詳細が知りたい
詳細はありません。あくまで業界慣習として賃料の1か月分とされていますが、入居付けが難しいエリアなどでは1か月分以上の広告費が発生することもあります。
リフォーム・現状回復費用に関して
費用の詳細・内訳が知りたい
以下に主要なリフォームのコストを整理しました。リフォーム業者と交渉を行う際は、以下に記載されている数字のイメージを持った上で行うようにしましょう。
リフォーム内容 | 単位 | 費用 |
壁のクロス貼り換え | m2 | 900円 |
クッションフロア貼り換え | m2 | 2,000円 |
フローリング張り替え | m2 | 7,000円 |
キッチン交換(ブロック式キッチン) | セット | 150,000円 |
TVモニター付きインターホン設置 | セット | 30,000円 |
ウォシュレット設置 | セット | 20,000円 |
畳の表替え | 枚 | 8,000円 |
塗装 | m2 | 2,000~3,000円 |
シーリングライト設置 | 個 | 8,000円 |
浴槽交換 | 個 | 60,000円 |
網戸交換 | 個 | 3,000円 |
襖張り替え | 枚 | 1,800円 |
カーテンレール交換 | 個 | 3,000円 |
まとめ
ざっくりですが、物件を購入する場合には購入費用の7~9%の費用が、売却時にはおよそ3%の費用が発生します。売却時に発生する費用は仲介手数料のみと考えて頂ければ良いと思います。
各費用の軽減措置等の詳細については別途コラムで紹介させて頂きます。本情報はあくまでも不動産の取得・売却にあたって発生する費用の全体感を掴む目的で作成していること、お含みおき下さい。