• 不動産投資の失敗を防ぐために知っておくべきリスク24個 – 売主のミカタ

    不動産投資の失敗を防ぐために知っておくべきリスク24個

    倒壊しそうな家

    不動産投資には非常に多くのリスクがあります。

    そして、それらのリスクの中には自分でコントロールすることができないものもありますが、ほとんどのリスクは自分である程度のコントロールすることが可能であり、コントロールできないものに関しても購入前にそのリスクを知っていれば未然に回避することができます。

    そこで、少しでも不動産投資におけるリスクを減らすため、今回は不動産投資における24のリスクを紹介させていただきます。

    目次

    1. 空室リスク

    1-1. 空室リスクとは

    空室リスクとは、空室が発生してしまうことによって収入が減ってしまうリスクのことを言います。

    この空室リスクは不動産投資におけるリスクの中で最も基本的であり、かつ本質的なリスクということができます。なぜなら、賃貸経営において成果を出すということは入居者を決めることに他ならないからです。

    言いかえれば、入居者が決まらなければ、売上は上がらず、成果もありません。逆に考えれば、空室が埋まっている限りにおいては、相当な高値で物件を購入していない限り、経営は成功ということができるでしょう。

    そして、空室リスクへの対応策としては、大きく分けて2種類に分けることができます。1つは自分でコントロールすることが可能なリスク。そしてもう1つは自分でコントロールすることができないリスクです。それぞれの具体例について見ていきましょう。

    1-2. コントロールすることができない空室リスクと対応策

    1-2-1. 企業移転リスク

    企業移転リスクとは、企業が運営していた工場・事業所・営業所などが閉鎖・移転することによって、当該企業の下請けを含む労働需要が減り、人口が減ってしまうことによって空室が増えてしまうことを言います。

    最近の例としては、三重県亀山市のシャープ亀山工場が挙げられます。液晶のシャープと言われていましたが、事業の撤退に追い込まれてしまい、自治体のみならず、この地域に物件を持っている大家の方は大変苦労されているものと思います。

    この企業移転リスクに対する対策としては、企業による需要に頼らないということが端的な回答になります。一方で、景気によって業績が左右されづらい企業の工場周辺の物件を購入するという手段も有効です。

    景気によって業績が左右されづらい業種とは、家庭の生活に密着しており、かつその金額が小さいメーカーであり、さらに地場に密着した企業が好ましいです。例えば、ガリガリ君を製造・販売している赤城乳業は埼玉県深谷市を本拠地としており、堅実な経営を続けています。

    従業員があまり多くないですが(ホームページに記載ありませんが、採用実績から考えると300~400人ほどではないかと思います。)、社員寮として住居を提供するなど、長期安定している企業だからこそ、大家としての対策もとれるのではないかと思います。

    以下に主な企業閉鎖の具体例を挙げさせて頂きます。

    社名 工場 市町村の人口
    シャープ 亀山工場 5.0万人
    パナソニック 京都工場 7.4万人
    ボッシュ 富岡工場 5.0万人
    ブリジストン 黒磯工場 11.8万人
    ジャパンディスプレイ 深谷工場 14.5万人

    1-2-2. 学校移転リスク

    このリスクは企業移転リスクと同じようなリスクです。基本的には人口の減少に伴い、都心への大学移転が少しずつ進んでいくものと思います。

    例えば、立命館大学は2015年の4月に経営学部と経営学研究科が滋賀県草津市から大阪のキャンパスに移転。移転に伴って4,000人弱の学生が草津市から大阪に移ったと言われています。

    日本における大学の立ち位置は、勉学だけではなく、社会性も学ぶ場所ということから、人が集まる都心のキャンパス人気が高まる傾向は今後もしばらく続くものと思います。

    学校移転リスクへの対応策としてまず考えられるのが都心物件への投資を行うことです。しかし、都心物件は利回りが低いですので、都心物件を簡単に購入することはできません。

    もう1つの対策としては、地方の国立大学のキャンパス近くで物件を購入することです。国立大学は授業料も安く、地元の高校の半数以上がその地域の国立大学に進学する事例もあるなど、地元にとっては有力な進学先の一つであり、たちまち大学が撤退するということは考えづらいです。

    一方、国立大学付近ではすでに多数の学生向け物件が乱立しており、入居にあたって競争が発生している地域がほとんどですから、どの国立大学を狙うのか、戦略を立ててみるのも良いかもしれません。

    以下に主な大学移転の例を挙げさせて頂きます。

    大学名 キャンパス 市町村の人口
    立命館大学 草津 13.1万人
    杏林大学 八王子 58.0万人
    青山学院大学 相模原 71.8万人

    1-3. コントロールすることができるリスクと対応策

    コントロールすることが出来ないリスクに対し、コントロールすることができるリスクもあります。

    自分で空室をコントロールすることができるにも関わらず、コントロールしないことは賃貸経営上、失格の烙印を押されてしまってもしょうがないことです。コントロールできるリスクは必ず対応策を実行するようにしましょう。

    1-3-1. 近隣と比較した高賃料リスク

    空室が発生する一番大きな原因は、周辺の競合賃料よりも高い賃料で募集を行うことです。今はインターネットで物件の情報を簡単に検索・比較することができ、消費者は頭の中に賃料相場のイメージを抱いた上で物件を探します。

    つまり、相場の賃料よりも高い賃料で募集をしている限り、物件は決まらない可能性が非常に高いのです。

    一方、大家目線では、どうしても月々の返済と比較した上で賃料を設定してしまいがちです。

    高賃料リスクを避けるためには、自ら周辺相場の賃料を調べ、相場家賃で募集を行うこと、これに尽きます。

    1-3-2. 現状回復未実施リスク

    物件の内見をすると、たまに現状回復を行っていない物件を見つけることがありますが、そういった物件はほぼ100%決まりません。

    なぜ決まらないのかという質問に答えるとすれば、汚い部屋に住もうとする人がいないからです。

    自分が長い期間住み続けて部屋が汚くなる場合と、住む前に既に汚い場合では、大きな開きがあることが現状なのです。

    これから賃貸物件に住もうと考えている人は、現状回復されていない部屋に対し大幅や家賃交渉を行うことができるというメリットがありますが、大家としては現状回復は絶対に退去後早急に行うようにしましょう。

    2.金利上昇リスク

    2-1. 金利上昇リスクとは?

    金利上昇リスクとは、借入金の金利が上昇してしまうことによって、収益が減少してしまうリスクのことをいいます。

    例えば、5,000万円借入していた場合において金利が1%上昇すると年間の返済額が50万円増えてしまいますので、そのインパクトはかなり大きいです。

    住宅ローンにおいて金利が変更となるタイミングは?

    一般的な受託ローンの契約における金利の変更タイミングは1年に2回とされています。どういった根拠で金利を変えるのかという点については記載がない場合が多いです。

    しかし、どういった理由で金利が変わるのかという根拠が記載されていない場合でも、いきなり大幅に(3%以上)金利が上昇することはないので必要以上に身構える必要はありません。

    2-2. 対応策

    2-2-1. 期前返済を行う

    期前返済を行うことによって、ローンの残債を減らし、金利上昇によるインパクトを減らすという方策を取ることもできますが、期前返済を行うということは手持ち資金を減らすことに他ならないのでいつ期前返済を行うのかという判断は難しいところです。

    基本的には、次の投資も踏まえて現金を貯め、金利上昇が明らかになったタイミングで期前返済の検討を開始するという方策が良いと思います。

    2-2-2. 固定金利を組成する

    もう一つの対策は、固定金利を組成することです。

    固定金利を組成することによって基本的に金利は上がってしまいますが、将来の金利上昇による影響を受けなくなりますので、ある程度将来の収益を固めたい場合には金利を固定しても良いと思います。

    ただし、金利の固定は期間が長くなればなるほど利率が上がるので(期間が長い=不確実性が高い=リスクが高いという考え方です)、固定する期間は5年から10年の間ぐらいが良いでしょう。また、一般的に金融機関も長期の固定金利の組成に対し積極的ではありません。銀行としても長期間の融資は不確実性が高まると考えるからです。

    金利固定期間に変動金利がどうなるかを見極めながら、次に取るべき戦略を考えるのが良いでしょう。

    3.返済リスク

    3-1. 返済リスクとは?

    返済リスクとは、借入金の返済ができなくなってしまい、金融機関に抵当権を実行され、不動産が競売にかけられてしまうことをいいます。賃貸経営において最も大きなリスクと言うことができるでしょう。

    そして、賃料は時の経過によって下がることが一般的である一方で、返済は基本的に(元本均等にしない限り)ずっと同額であり、この差が返済リスクを顕在化させる大きな要因となっています。

    返済リスクを乗り越えることができれば、不動産経営におけるリスクの大部分はカバーできますので、返済については5年後、10年後のことを常に意識するようにしましょう。

    3-2. 対応策

    3-2-1. 銀行にリスケを依頼する

    本当に経営が難しい場合は銀行に返済スケジュールの見直し(金融業界ではこれをリスケと呼びます)の相談をしてみることも有効です。銀行としても、すぐに抵当権を実行して債権の回収がはかれなくなってしまうよりも、リスケに応じて債権を徐々に減らしていき、債務者の財務能力の回復を待つ、または市況回復を待った方が特になる可能性も十分にあり得るからです。

    ただ、リスケをしてしまうと基本的にその金融機関からの追加融資を受けることは極めて難しいと考えた方が良いでしょう。

    3-2-2. 他の金融機関に借り換えの依頼を行う

    例えば、今の借り入れ条件が借入期間10年、金利3%であれば、借入期間を12年に、金利を2%にしてくれる銀行がないか探してみることも対応策として挙げられるでしょう。

    ただし、借り換えの依頼を行うのは現在の賃貸経営が順調に進んでいることが絶対条件です。経営が行き詰りそうな会社に融資する銀行はありません。

    そういった意味で、本質的には返済リスクが生じそうな場面において取り得る方策は限られてしまうというのが現状です。

    経営が順調に進んでいる場合には、積極的に借り換えの検討を行うべきでしょう。ただし、借り換えを行うと以後一切融資を行わない金融機関などもありますので、実際に交渉を行う前には銀行のスタンスをネットなどで調べて確認するようにしましょう。

    3-2-3. 期前返済を行い、返済負担を減らす

    余裕資金があれば、借入金を前倒しで返済し、債務を減らすという方法が考えられますが、返済リスクが顕在化している状態、すなわち、経営が行き詰まりかけている状況では現実的に実行することが難しい対策と言えるでしょう。

    更に、期前返済を行う場合、金融機関から手数料を取られることが一般的です。手数料の種類としては、事務手続き費用として定額を取られる場合と、違約金のような扱いとして、繰り上げ返済額に掛目を乗じることによって算出される場合があります。

    事務手続き費用の場合は概ね1万円から2万円の費用が、繰り上げ返済の場合は返済額の0.5%から1%の違約金が発生することが一般的です。

    4.自然災害リスク(地震を除く)

    4-1. 自然災害リスクとは

    自然災害リスクとは、自然災害によって建物が滅失又は損傷してしまうリスクのことをいいます。

    4-2. 自然災害の種類と対策

    まずは対策についてお伝えさせて頂きます。自然災害の対策は保険をかけることです。

    そして、保険には大きく分けて2種類あります。1つは建物全体に対してかける保険、そしてもう1つは建物の中の家財に対してかける保険です。

    不動産のオーナーがかける保険は基本的には建物全体に対してかける保険ですので、今回は建物にかける保険という前提の上で説明させて頂きます。

    ここから自然災害の種類について見ていきましょう

    4-2-1. 火災

    まずは火災です。火災とは、火災によって家が全焼してしまうことです。雷によって火災が発生した場合にも基本的には火災に含まれます。

    保険会社によっては、火災が発生した建物からの延焼によって近隣の建物が火災となってしまった場合の損害も特約で補償される場合がありますので、各会社の補償内容を確認するようにしましょう。

    4-2-2. 風災

    風災とは、台風によって飛んできた瓦で窓ガラスが割れてしまった場合などに発生する損害のことを言います。

    4-2-3. ひょう災

    ひょう災とは、雹によって窓ガラスが割れてしまった場合などに発生する損害のことを言います。

    4-2-4. 雪災

    雪災とは、雪の重みによって屋根が潰れてしまった場合などに発生する損害のことを言います。

    4-2-5. 水災

    水災とは、豪雨によって床上浸水し、壁や床が汚れてしまった場合などに発生する損害のことを言います。

    5.地震リスク

    5-1. 地震リスクとは?

    地震リスクとは、地震によって建物が倒壊してしまうリスクのことを言います。

    5-2. 地震リスクと他の天災との違い

    地震リスクと他の天災との違いは保険の付保の仕方が異なります。具体的には、地震保険は国が保険金を支払っていますが、その他の天災に基づく保険金は各保険会社が支払っています。

    地震保険においても窓口は保険会社になりますが、それらの会社は事務的な作業を取り次いでいるだけなのです。

    そして、地震保険は火災保険とセットでのみ加入することが可能です。つまり、地震保険だけを掛けることはできないのです。

    さらに、地震保険で付保することができる金額は火災保険で付保することができる金額の半分が上限です。

    例えば、5,000万円の物件を購入し、最大5,000万円が支払われる火災保険に加入した場合、地震保険は2,500万円分しかかけることができません。これに対する対応策としては、1億円の保険を付保し、5,000万円分地震保険をかけるという考え方もあります。

    いずれにせよ、保険をかけることによってあるリスクを減らすことができますので、地震保険には必ず加入しておくことをお勧めします。

    6.耐震性リスク

    6-1. 耐震性リスクとは?

    耐震性リスクとは、旧耐震基準の建物であるために、耐震工事に大きな費用が発生してしまうことや、地震が発生した後に入居者等から訴訟を起こされてしまうリスクのことをいいます。

    6-2. 新耐震基準と旧耐震基準の違いについて

    まず、新耐震基準と旧耐震基準の違いについて簡単に説明させて頂きます。

    新耐震基準は1981年より後に建築された不動産に適用されます。つまり、1981年よりも前に建築された不動産である場合は旧耐震基準に基づく設計ですので、注意する必要があるのです。

    旧耐震基準と新耐震基準について簡単に整理した図が以下です。

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    上記における「倒壊しない」という言葉のイメージを深めるためには、クリップを曲げた場合をイメージすると良いと思います。

    クリップは軽く力を入れて曲げるだけでは、元通りになりますが、強い力を入れると、元には戻らなくなりますね。

    上記において「ほぼ元に戻る」場合とは、クリップに軽い力がかかった状態のことを言います。そして、「倒壊しない」場合とは、クリップに強い力を入れた場合のことを言います。

    クリップに強い力を入れて前後に曲げ続けると、どこかでクリップは切れてしまいます。新耐震基準でも、大規模地震が何回も起こってしまうと建物は倒壊してしまいます。

    しかし、大規模地震とは建物の寿命の中で1回来るかどうかというレベルの地震という背景から、大規模地震に1回耐えることが出来れば良いという思想の下で制定されたのが新耐震基準なのです。

    耐震工事にかかる費用は?

    木造住宅の場合、おおむね100万円から150万円の費用が発生することが一般的です。

    7.滞納リスク

    7-1. 滞納リスクとは?

    滞納リスクとは、入居者が家賃を支払わず、収入が減ってしまうリスクのことを言います。

    7-2. 滞納が発生したらすぐに賃貸借契約を解除することができるのか?

    入居者が滞納した場合、契約書に記載があったとしても、民法上は少なくとも滞納が3か月継続して発生していることが契約を解除するために必要とされています。この3か月という期間の背景について少し説明させて頂きます。

    まず、賃貸借契約書には契約の解除に関する条項を設定することが一般的なのですが、賃貸借契約は普通の契約とは違い、お互いの信頼関係の上に成り立っている契約と整理されています。

    一般的に、借主は本当に家賃を払ってくれる人なのか、周囲に迷惑をかける人ではないのかといった点を確認します。

    ただ単にお金を持っているから契約をするというものではなく、部屋を貸しても大丈夫そうという判断に基づいて部屋を貸しているのです。

    これが賃貸借契約を解除するためには信頼関係が失われていることが必要とされる背景です。

    そして、どれぐらいの期間で信頼関係が破壊されるのかという点に関しては、過去の判例によって3か月という期間が設定されているのです。

    8.事故物件リスク

    8-1. 事故物件リスクとは?

    事故物件リスクとは、入居者が自殺などをおこなってしまうことによって物件の風評被害により収益性が低下してしまうことをいいます。

    事故物件が発生してしまうとおおむね物件価格が3割から5割下がると思って頂いて構いません。

    事故物件となってしまった物件に関しては、黙っていれば分からないと思われる方もいらっしゃると思いますが、事故物件は心理的瑕疵とみなされ、瑕疵に関しては入居者が発見した場合に持ち主や貸主に対して請求することができる権利ですので、瑕疵を直す義務があるのですが、もちろん事故物件という瑕疵を直すことは基本的にはできませんので、契約が解除されてしまうという流れになることが一般的です。

    事故物件になってしまったという情報は意外と広がってしまうものですので、隠そうと思わず、正直に伝えた方が良いでしょう。

    8-2. 対応策

    対応策としては、部屋で事故が発生してしまった場合の損失を補てんする保険に加入するという方法があります。

    基本的には部屋の清掃費用に加え、空室期間の賃料を保証するという保障内容が多いですが、保証する期間などは会社によって異なりますのでそれぞれ確認されると良いと思います。

    また、これは根本的な解決策ではありませんが、津波が発生しても4~5年経つと再び沿岸部の人気が戻るように、風評被害などは時間が解決してくれますので、物件を保有し続けて価格の回復を待つということも取り得る選択肢になると思います。

    9.政策リスク

    9-1. 政策リスクとは?

    政策リスクとは政策による影響によって物件の資産価値が下がってしまうことを言います。

    9-2. 政策リスクの具体例

    例えば、アベノミクスの終焉によって金融機関の融資姿勢が厳しくなることによって金利が上昇し、その結果新築マンションを購入することができる世帯が減少、物件の価格が下がってしまうことや、金融政策の変更(お金の流れを引き締める政策を発動することなど)によってインフレからデフレに移行してしまい、物件の価格が下がってしまうことなどを言います。

    9-3. 対応策

    政策を意識的にコントロールすることはできませんので、このリスクはコントロールすることができないリスクに属します。しかし、今の経済政策と物件価格の相関性を理解することによって、今後物件価格が上がるのか、下がるのかという点についてある程度の予測を立てることが可能となります。

    例えば、今のアベノミクス政権による大規模金融緩和の状況においては、物件の価格は高値になることが判断できます。すなわち、今後物件の価格は下がっていく可能性が高いと考えることができます。

    10.流動性リスク

    10-1. 流動性リスクとは?

    流動性リスクとは、売りたい時に買手が見つからないがために物件を売ることが出来ず、その間に資産価値が下がってしまうことを言います。

    10-2. 流動性が失われる要因

    ここからは、流動性が失われてしまう理由について一つずつ説明させて頂きます。

    10-2-1. 買主を見つける

    買い主を見つける期間が不動産の流動性を失わせる一番大きな要因となります。

    市場よりも低い値段であればすぐに買手は見つかると思いますが、市場価格又は市場価格よりも高い値段で売却しようとする場合、買手が見つかるまでは時間がかかってしまいます。

    市場価格よりも高い値段で売却しようとする場合、概ね2~3か月の時間はかかってしまうと思います。

    10-2-2. 測量を行う

    測量とは、実際に売買が行われる土地の面積を正確に測ることを言います。現在でも測量が行われていない土地は全国に多数あり、買主や売主の希望により、売買前に測量を行うこともあります。特に都内の場合は単価が高いため、測量を行うことが一般的です。

    そして、測量を行う場合も時間が必要とされます。測量士の仕事の混雑具合にもよりますが、概ね1か月ほどの期間を見ておいた方が良いでしょう。

    10-2-3. 測量せずに売買をすることは可能?

    測量をせずに売買をすることも可能であり、一般的に行われています。日本には公図という図面があり、この公図は日本全国の全ての場所分が存在しており、この公図の面積を前提とした売買を行うことも可能です。

    特に地方の場合は公図の面積を前提として売買を行うことも十分に考えられます。

    公図の面積を前提として売買を行う場合は、以後の疑義をさけるためにも、「実測を行った結果、公図の面積と実測の面積に相違があった場合でも買主・売主共に意義を主張しない」という文言を入れるようにしましょう。

    10-2-4. 融資組成に要する時間

    金融機関にもよりますが、融資組成にはおおむね1か月の期間を要すると考えておいた方が良いと思います。

    金融機関では、融資の相談を受けた営業担当者が現地訪問の上、稟議書を作成して行内で稟議書をまわし、審査部の許可を得なければ融資を行うことができません。おおまかなスケジュール感としては、営業担当者が現地訪問を行い、稟議書を作成するのに大体1~2週間、審査部での審査に大体2~3週間の時間がかかると思って頂ければ良いと思います。

    なぜ2~3週間の時間がかかってしまうのかというと、審査部からは都度稟議書の内容に対する質問が営業担当によせられ、営業担当者が一つ一つ調べて返答するというやり取りが数回にわたって繰り返されるからです。

    10-3. 売却までに必要な期間

    上記踏まえ、売却までに必要な期間はおおむね6か月ほどを見ておけば良いと思います。

    11.家賃下落リスク

    11-1. 家賃下落リスクとは?

    家賃下落リスクとは、入居者から家賃を下げる交渉を受けてしまうことや、新しい入居付けにあたって賃料を下げなければ入居者が決まらない状態のことを言います。
    家賃が下落する理由は、物件の数の方が人口よりも大きくなってしまうことです。

    設備が古くなってしまうことによる家賃下落などは、陳腐化リスクに属しますので、そちらをご参照頂ければと思います。

    あなたが購入しようとしている物件の主な需要者を見極める

    家賃は物件の数と人口の数のバランスによって決まってきますが、物件と一言でいっても、大きく分けると単身者向けとファミリー向けの2種類があることをまず認識することが必要です。

    その上で、シングル向け物件とファミリー向け物件の家賃相場を調べます。

    調べ方は、「調べたい地域」 + 「賃貸」で検索すれば良いでしょう。検索をした結果、最も安い賃料の物件がいくらかを調べてみましょう。この場合、安い賃料の物件は風呂無し物件の場合がありますので注意が必要です。また、誰かが保有している部屋の一室を借りるという形もあるので注意が必要です。

    風呂無しの物件はどんなに広くても基本的に入居者は決まりません。決まったとしても属性が悪い方が多いので注意が必要です。

    対策としては人口が増えている地域の物件を購入する、もしくは人口の減少割合に対して物件供給量の減少割合の方が大きい物件を購入するということが考えられます。

    家賃が下落しきっている地域の物件を購入する

    既に家賃が下落しきっている地域の物件を購入するということも対策として有効です。

    物件価格から逆算すると、大家が設定することができる家賃の金額には限界があります。その限界家賃に近づいている地域であれば、下落幅もそこまで大きくないと考えることができるでしょう。

    また、家賃が底をついてから5年~10年経っている場合、その地域には新しいマンションなどの建築があまり行われておらず、人口の減少速度よりも物件の減少速度の方が早い地域もあります。

    では、どれぐらいの家賃であれば底をついていると言えるかという点なのですが、シングル向けであれば1m2あたり1,500円、ファミリー向けであれば1m2あたり1,000円を切る家賃であれば、全国平均で考えても家賃が低いということが出来ると思います。

    具体的な探し方

    具体的には、家賃が低いけど生活するには便利そうだなあ、という地域を探すことが有効です。

    この判断は個人の感覚に委ねられてしまう部分もあるのですが、物価が低いこと、生活に必要な店舗が一通り揃っていること、交通の利便性が良いことが挙げられます。

    12.管理会社倒産リスク

    12-1. 管理会社倒産リスクとは?

    管理会社倒産リスクとは、管理会社が倒産してしまうことによって管理会社に預けていた敷金などが返還されなくなってしまったりすることをいいます。

    この対策としては、家賃を管理会社に預けるのではなく、自分の口座への直接送金にしてもらう。また、敷金に関しても直接送金して貰うことによって倒産を防ぐことができます。

    管理会社によっては業務が煩雑になってしまうことから、定型業務外のサービスとして大家への直接送金などを行うことに抵抗を示すかもしれないですが、あまり気にしてはいけません。

    少なくとも管理会社は対等に議論をすることができるような会社でなければ搾取され続けてしまいますので、しっかりと交渉するようにしましょう。

    12-2. 管理会社の倒産の兆候を見抜く方法

    倒産する会社には必ずといって良いほど前兆があります。私が保有している物件に関しても、とある1社が倒産してしまったのですが、倒産前に明らかな兆候がありました。具体的な兆候は以下の通りです。

    • 会社の運営がずさんになる(電話をかけてもすぐに出ないことが多い)
    • 大家への家賃の送金に遅れが生じる
    • 狭小なオフィスに移転する
    • 従業員が減る

    といったものです。ずさんな経営をする会社ほど、動きが遅く、少し不穏な雰囲気が出てきてからすぐに倒産ということが考えられますので、管理会社との連絡は密に取り合い、小さい変化を見逃さないようにしましょう。

    12-3. 管理会社が倒産してしまったら?

    管理会社が倒産してしまうと、基本的に家賃や敷金などを回収することができる可能性は非常に低くなってしまいます。

    なぜなら、経営が行き詰まっている会社は銀行から多額の借り入れを行っていることが通常であり、且つ銀行は管理会社への貸付に際し、基本的には優先的に債権を回収することができるからです。

    上記の優先的な返済とは、不動産の購入などに際して差し入れる抵当権が主な例です。抵当権が設定されている債権は、倒産後に別除権という権利として他の債権者よりも優先的に返済されるのです。

    不動産の時価が簿価よりも高ければ建物を売却することによって現金を回収することが出来るのですが、経営が苦しいタイミングは基本的に物件を売却することが出来ないタイミングなので、物件を売ったとしても現金が残る可能性は極めて低いのです。

    つまり、倒産の兆候が見えた場合、直ちに動くことが必要なのです。情けを持たずに冷徹に接することをお勧めします。

    13.保証会社倒産リスク

    13-1. 保証会社倒産リスクとは?

    保証会社倒産リスクとは、保証会社が倒産してしまうことにより入居者から保証会社に対して支払われていた金額が支払われなくなってしまうことをいいます。

    対応策としては、管理会社を挟まずに家賃を大家の銀行口座に直接入金して貰うという方法が挙げられますが、保証会社を入れた場合、基本的にはお金の送金において保証会社を挟まないといけないので、保証会社の検討を行う際には注意するようにしましょう。

    そして、家賃の回収に関し保証会社を通すかどうかはオーナーが基本的に意思決定権を持っていますが、強い管理会社の場合は保証会社必須という条件を提示することもあるので注意が必要です。

    また、保証会社が倒産する場合の具体例としては、入居者から預かっている敷金を使ってしまい、退去時に敷金を返還することができなくなってしまうということが挙げられます。この点に関しては、敷金を保証会社に預けるのではなく、自らの口座に入金することによって解決することが可能です。

    14.価格下落リスク

    14-1. 価格下落リスクとは?

    価格下落リスクとは、物件の購入時に想定していた物件の売却価格以上に売却価格が下がってしまうことをいいます。

    14-2. 価格が下落する要因

    ここからは、不動産の価格が下がってしまう要因について見ていきましょう。

    14-2-1. 銀行の融資方針

    日本の不動産投資において、物件価格が変動する一番大きな要因は銀行の融資方針です。

    銀行はバーゼル規制という規制に基づき、現金に対してある程度の自己資金を維持しなければ国際的な業務を行うことができないという制約があります。

    例えば、日本の景気が非常に悪くなり、銀行として多額の引当金(貸したお金が回収できなくなる可能性が高くなった場合に、回収できない金額をあらかじめ認識しておく会計上の手続き)を計上したとします。

    そうすると、銀行の自己資本比率が低下してしまうため、銀行は国際業務ができなくなってしまうことを恐れ、新たな貸付を控えるようになります。(貸すという業務は銀行にとっての営業行為であり、リスクを伴うため)。

    銀行による融資の門戸が閉じると、不動産の買手が激減するため、不動産の数と買手の数にアンバランスが生じ、結果として不動産の価格は下落してしまうのです。

    14-2-2. 耐用年数と融資期間

    また、上記と関連し、物件の構造・築年数と融資条件にも密接な関係がありますので、この点を意識しておけなければ価格下落のリスクを強く受けてしまうことになってしまいます。

    基本的に金融機関は税法上定められた法定耐用年数以上の期間で融資を行いません。

    木造22年、軽量鉄骨27年、重量鉄骨34年、RC47年です。

    つまり、木造物件であれば新築であっても基本的には22年しか融資を組むことが出来ないのです。

    築年数が経過した木造は安い値段で売られていることが多いですが、その背景としては上記の融資条件が深くかかわっています。

    結局不動産投資家としては、賃料収入と返済のバランスを見ながら購入を決定するのですから、投資家は基本的に長期で低金利の融資条件を嗜好します。

    15.修繕リスク

    15-1. 修繕リスクとは?

    修繕リスクとは、物件の現状回復などに費用が発生してしまうことをいいます。

    15-2. 主要な修繕にかかる費用一覧

    以下に主な修繕において発生する費用についてまとめさせて頂きました。参考にして頂ければと思います。

    リフォーム内容 単位 費用
    壁のクロス貼り換え m2 900円
    クッションフロア貼り換え m2  2,000円
    フローリング張り替え m2  7,000円
    キッチン交換(ブロック式キッチン) セット 150,000円
    TVモニター付きインターホン設置 セット 30,000円
    ウォシュレット設置 セット 20,000円
    畳の表替え 8,000円
    塗装 m2 2,000~3,000円
    シーリングライト設置 8,000円
    浴槽交換 60,000円
    網戸交換 3,000円
     襖張り替え 枚  1,800円 

    16.陳腐化リスク

    16-1. 陳腐化リスクとは?

    陳腐化リスクとは、時の経過にともなって設備などが老朽化し、物件の競争力が低下してしまうことをいいます。

    16-2. 陳腐化を避けるためには?

    陳腐化を避けることは非常に難しいです。なぜなら、家というのは一部分だけが陳腐化するわけではなく、全体的に陳腐化が進んでいくものであり、一部分だけをリフォームしたからといって陳腐化のイメージを払しょくすることは基本的にはできないからです。

    16-2-1. 全体感を持ったリフォーム

    陳腐化を避けるためには、全体感を持ったリフォームを行うことが大切です。

    ここで日本で最も古い賃貸マンションをご紹介させて頂きます。

    その物件の名前は四谷コーポラスといい、1956年築、なんと建築されてからほぼ60年経っているのです。

    管理が良好、且つ立地も良いということもあり、近隣と比べても遜色ない賃料を取れていますが、この物件の場合は、築古でも築古と感じさせないセンスあるリフォームが行われていることが競争力を保っている秘訣です。

    一部分をリフォームするのではなく、全体の雰囲気に合わせてリフォームを行えば、陳腐化リスクを避けることができるのです。

    古民家を改造した店舗なども見受けられるようになりましたが、合わせて参考になる例だと思います。

    17.危険物質リスク

    17-1. 危険物質リスクとは?

    危険物質リスクとは、アスベストやポリ塩化ビフェニルなど、昔は使われていた一方で今は使用されていることが禁止されている建材で、その使用によって費用が発生してしまうもののことをいいます。

    17-2. 危険物質の具体例とリスク回避方法

    17-2-1. アスベスト

    アスベストは非常に細い針状の繊維であり、この針が肺に長期間とどまることによって体に悪影響を及ぼすと言われています。

    アスベスト

    出典:京都府HP

    アスベストの処理費用の概要は以下の通りです。

    アスベスト処理面積 費用(m2あたり)
    300m2以下  2.0~8.5万円
    300m2~1,000m2 1.5~4.5万円 
    1,000m2以上 1.0~3.0万円 

    出典:国土交通省HP

    17-2-2. PCB(ポリ塩化ビフェニル)

    PCBとは絶縁性に優れた化合物ですが、人体に危険を及ぼす可能性があることから、昭和47年以降使用が禁止されています。

    18.違法建築物リスク

    18-1. 違法建築物リスクとは?

    違法建築物リスクとは、対象不動産が建築基準法の法令に遵守していないため、銀行の融資組成が困難になったり、買手が減ってしまうことにより、物件の価格が下がってしまうリスクのことをいいます。

    基本的にこういった違法物件は市場価格よりも割安で売られていることがほとんどであることから、購入前にリスクが顕在化されていると考えることができ、実質的に違法建築物リスクによる損失を受けることは少ないですが、違法建築物という事実に対してしっかりと説明しない不動産会社もいますので、注意するようにしましょう。

    18-2. 違法建築の具体例

    18-2-1. 建ぺい率オーバー

    建ぺい率とは、建物の敷地面積に対して物理的に建築しても良い面積の割合のことをいいます。

    18-2-2. 容積率オーバー

    容積率とは、建物の敷地免責に対して建築することができる総面積の割合のことをいいます。

    18-2-3. 未接道

    未接道とは、建築基準法上の道路に接していないことによって、建物の建築が認められない場合のことをいいます。

    建築基準法上、建物を建てるためには建築基準法上の道路に接している必要があります。

    接道の条件によっては、建て替えを行う際に問題が生じる場合もありますので注意が必要です。

    19.会計・税務制度リスク

    会計・税務制度リスクとは、会計制度の変更(減価償却制度の変更)、損金算入の範囲の変更、資産計上できる範囲の変更などにより、会計・税務上の収益が変動してしまうことをいいます。

    例えば、2015年現在木造建築物の法定耐用年数は22年なので、22年間にわたって建物価格を経費として計上していくことになるのですが、これが30年になった場合、減価償却の期間が30年と長くなってしまい、1年ごとに計上することができる費用の額が小さくなってしまうというリスクが生じてしまいます。

    また、税務面に関しては、例えば不動産会社とのアルコールを伴う飲食代は損金に算入することができないという制度になってしまうと、会食費用を経費にすることができず、納める税金の額が大きくなってしまいます。

    20.税制リスク

    20-1. 税制リスクとは?

    税制リスクとは、税制の変更によって賃貸経営を圧迫してしまうことを言います。

    20-2. 税制リスクの具体例

    税制リスクの具体例としては、消費税の増税によって実質的な売却金額が下がってしまうことや、各種軽減措置が終わることによって納める税額が増えてしまうことをいいます。軽減措置の例としては、不動産取得税の減額や登録免許税の減額措置が挙げられます。

    不動産取得税の税額は課税標準額の4%ですが、これは優遇税制によって3%に引き下げられています。

    20-3. 対応策

    税制リスクは基本的には避けることが出来ませんが、経営上大きな影響を及ぼすような税制改革が行われる場合はその税制が施行されるまでに長い期間が確保されることが一般的ですから、その過渡期に将来予測を行い、何をするべきか検討するという形が良いと思います。

    例えば、消費税に関しては8%に上がる直前に駆け込み需要で不動産が数多く売れました。つまり、消費税増税直前は高値で売れる可能性が高いかもしれないのです。

    税制の変更を知るタイミングはみな同じですので、新しい施策の情報が出てくる前に先手を打つように心がけましょう。

    21.法改正リスク

    21-1. 法改正リスクとは?

    法改正リスクとは、建ぺい率、容積率の制限の変更などにより、既存物件が不適格建築物となってしまい、融資の組成などが難しくなってしまうことをいいます。

    例えば、建ぺい率80%だった地域が60%になってしまうことによって、既存の建物が建ぺい率オーバーになってしまったり、準防火地域だった地域が耐火地域になってしまうことによって耐火建築物としての要件を満たす必要が生じてしまうことを言います。

    このリスクも基本的には避けることはできませんが、建築物は基本的に今の法令上の制限ギリギリで建築していることが多く、制度を厳しくするとほとんどの建築物が違法建築物となってしまうことから、法が改正されてしまうリスクはほとんどないと考えて頂いて構いません。

    一方で、一過性の流行を背景とした場合においては、住環境の保全のため、急激な速度で法体制が整えられることも考えられます。

    最近なされた法改正

    シェアハウスがどういった整理になるのか

    2008年頃から急速に拡大したシェアハウス。これは以前は法律上の区分がなかったのですが、国土交通省の通達によって、寄宿舎であることが明確化されました。寄宿舎は建築基準法上特殊建築物に該当し、特殊建築物は建築にあたって多数の成約があることから、現行のシェアハウスでは法律の基準に反するという形になってしまい、既存のシェアハウスの半分以上が法令に抵触するという調査結果が行われました。

    22.権利関係リスク

    22-1. 権利関係リスクとは?

    権利関係リスクとは、不動産の権利に対する利害関係者が複数いることによって、物件の売却手続きなどが進まなくなってしまうことを言います。

    22-2. 権利関係の具体例

    位置指定道路

    位置指定道路とは、住民が敷地の一部を道路として提供することによって地方公共団体から道路とみなすことについて許可を貰っている道路のことをいいます。

    例えば、奥行がある敷地の場合、敷地の一部を道路に供することによってそれぞれの敷地において建物の建築ができるようになったりします。

    近隣トラブル

    近隣トラブルリスクの一番典型的な例は、昔に口頭で合意した越境部分に関し、世代の交代にともなって越境部分の変換を求められる場合などです。

    23.瑕疵担保リスク

    23-1. 瑕疵担保リスクとは?

    瑕疵担保リスクとは、物件の売却後に、売主から瑕疵担保責任を追及されてしまい、想定外の出費が生じてしまうことをいいます。

    23-2. 瑕疵とは何なのか?

    瑕疵とは、物件に存する隠れた欠陥のことをいいます。

    民法上では、特段の規定がない限りにおいては、瑕疵担保責任はその瑕疵を見つけてから1年以内に売主に必要な補修を求めなければいけないと規定されていますが、売主としても、物件を売却してから10年後に発生した瑕疵などで文句を言われたのではたまったものではありません。

    そこで、一般の売買契約においては買主は瑕疵担保責任を追及することができないという状況を入れることが通常です。一方、売主が宅建業者である場合は、瑕疵担保責任は最低2年と定めることができるという規定があります。つまり、2年間の瑕疵担保責任の期間を設けることは最低限守らなければいけない点なのです。

    物件の売買において、売主が業者の場合は2年間の瑕疵担保責任が付きますと言われることがあると思いますが、これはあくまでも最低限の期間であり、必要に応じてさらに長い期間を設定することもできますので、意識しておくと良いのではないかと思います。

    24. 立ち退きリスク

    24-1. 立ち退きリスクとは?

    立ち退きリスクとは、賃借人が退去しないことにより、建物の建て替えなどが予定通り進まなくなってしまうリスクのことを言います。

    24-2. 賃借人に退去して貰うためには?

    賃借人に退去して貰うためには、現実的な解決方法としては立ち退き料を払うことが一般的です。

    また、立退料の金額は概ね50万円から100万円を払うことが一般的です。

    25. 最後に

    不動産投資を進めるにあたって知っておいていただきたいリスク24個を紹介させていただきました。

    これらのリスクを認識した上で投資を進めることができれば、失敗する可能性を大きく下げることができるでしょう。

    このコラムがあなたの不動産投資を進める上での参考になれば幸いです。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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