減価償却ってそもそも何なのか?減価償却の考え方を詳細に解説

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「減価償却」、会計の勉強をしている際や、不動産を購入する際に一度は聞く言葉ではないかと思います。

不動産投資をして効率的に収益を上げるためにも、そして、会計の概念をしっかりと理解するためにも、減価償却のイメージをしっかりと掴むことは極めて重要です。

他方、減価償却をイメージで説明している情報源はなかなかなく、理解しづらいと感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、多数のイメージと共に、減価償却の考え方について具体例と共に詳細に説明させて頂きます。

目次

1. 減価償却とは?

まずは、減価償却の定義について簡単に説明させていただきます。

減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した費用を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。

上記が減価償却の定義ですが、あまりしっくりと来ない方も多いと思いますので、ここから順をおって説明させていただきます。

また、減価償却によって計上された費用減価償却費であるということも頭の片隅においておきましょう。

2. 減価償却を理解する前提として、貸借対照表と損益計算書を理解する

減価償却を理解するためには、貸借対照表(BS”Balance sheet”)と損益計算書(PL”Profit and loss statement”)の関連について理解する必要があります。

(この2つについて理解されているかたは、ここは飛ばしていただいて問題ありません。)

なぜ減価償却を理解するためにBSとPLを理解する必要があるのかというと、減価償却費という項目自体が、会計上の手続き(すなわち、BSとPL)の中で用いられるものだからです。

2-1. 会計(BSとPLの作成)の目的

減価償却とBS、PLの関係についてお伝えする前に、そもそも会計(BSとPLの作成)がなぜ必要なのかという点についてお伝えさせていただきます。

会計(BSとPL)は企業の成績を投資家や金融機関に正しく伝え、投資や融資の意思決定に役立てるために活用されています。

融資・投資の意思決定概念図

つまり、BSとPLは企業の実情を正しく表現し、投資家や金融機関を騙すような内容であってはいけないのです。

2-2. BSとPLの違いを具体例と共に理解する

ここから、具体例と共に、BSとPLの関係について見ていきましょう。

簡単な説明としては、あなた自身が今持っている資産BSとして認識され、その資産を増やしたり、減らしたりするものPLとして認識されます。

具体例で考えていきましょう。

2014年10月現在、あなたの全財産は100万円であり、この100万円の内訳は銀行からの借り入れ90万円、あなたの自己資金10万円とします。

この場合、BSには資産として100万円が認識され、負債・資本としては借入(返済義務があるもの)90万円、自己資金(返済義務がないもの)10万が認識されます。

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2014年11月、あなたは金の延べ棒を100万円で購入しました。この100万円は銀行からの借り入れによってまかなうことにしました。

この金の延べ棒は11月時点では金を扱っているお店にて100万円で買い取ってくれます。

この場合、あなたの資産は増えていませんね。お金と金の延べ棒を交換しただけです。だから、この取引では損益は認識されず、P/Lには何も発生しません(P/L上何も認識しません)。一方、B/S上も100万円という金額に変わりはありません。

金を購入後のBSの動き

2015年1月、金の価値が急上昇し、金の延べ棒の価値が120万円に上がったとします。

金の時価上昇

あなたはこれはチャンスだと思い、あなたは金の延べ棒を売りました。そうすると、手元には120万円の現金が残り、当初持っていた100万円と比べて20万円増えていますね。

この20万円分は資産の増加に他なりません。だから、この20万円は収益としてP/L上で認識するのです。

時価の上昇とPLでの認識

 

他の例も見ていこうと思います。

2014年10月、あなたの全財産は100万円であり、銀行からの借り入れなどは行っていないものとします。

現金を自己資本で調達した図

2014年11月、あなたは銀行から100万円のお金を借りました。すると、あなたの手元には200万円の現金があり、100万円資産が増えました。

新規借り入れした場合のBS

この場合、この100万円はPL上で収益として認識するのでしょうか?

答えは認識してはいけません。なぜなら、銀行から借りた100万円はいつか銀行に返さないといけないものであり、実質的にあなたの資産(返済義務がないお金)が増えたわけではないからです。

 

どういった場合にPL上で認識をするのかという点について考えていきましょう。2015年6月、あなたは銀行から借りた100万円を10万円の利息を付けて返済しました。そうすると、あなたの手元には200万円から銀行に返済した100万円と銀行に払った金利10万円を差し引いた90万円が手元に残ります。

元々100万円あったのですが、最終的には90万円になってしまい、手元資金は10万円減ってしまいました。

その原因は、銀行に払った金利の10万円に他なりません。この10万円分だけあなたの資産が減ってしまったのですから、10万円をP/L上で費用として認識するのです。

自己資本の減少とPLでの認識

次に、不動産を例としてB/S並びにP/L上でどういった形で認識するべきか考えてみましょう。

ある日、あなたは1,000万円で家を購入しました。この家はすぐに売れば1,000万円で売却することができるとします。

家の購入とBS

この場合、あなたの資産は変わっていませんので損益は認識しません。

そして5年後、あなたは家を500万円で売却したとします。そうすると、あなたはもともと手元にあった1,000万円が500万円になってしまったので、500万円を損として認識することになります。

家の売却とPLでの認識

これが貸借対照表と損益計算書の違いのイメージです。儲けや損を生み出す源泉として認識するべき項目がBSに計上され、BSで認識している資産を実際に使うことによって得られた利益や損失をPL上で認識するというイメージです。

3. 具体例で減価償却の考え方を理解する

BSとPLの関係性について簡単に理解していただいた上で、減価償却の考え方を理解していきましょう。

3-1. 鉱山の例

2015年9月、とある石炭鉱山が100億円で売りに出ていたとします。この鉱山からは、100トンの石炭を採掘することができます。

2015年10月、あなたはこの鉱山を買うことにしました。そうすると、100億円をBSでまず認識します。この鉱山をすぐに売ると100億円で売れますので、あなたの資産は増えていません。

鉱山購入とBSでの認識

2016年、この鉱山から2トンの石炭を掘り、5億円で販売するとします。

そうすると、鉱山を活用して5億円の資産が毎年増えていきますので、P/L上に5億円が毎年認識されます。

石炭販売とPLでの認識

その後、25年間にわたって5億円を稼ぎ続けたと仮定しましょう。

2031年、この鉱山を他の会社に50億円で売却したとします。そうすると、元々100億円で購入した鉱山が50億円でしか売れなかったので、資産が50億円減っており、この50億円を損として認識しなければいけません。

売却時の損失認識

ここで少し考えてみましょう。この会社は25年間は5億円の利益を安定的に出していますが、25年目にいきなり50億円という巨額の損が出てしまっています。

ところで、会計の目的は何だったでしょうか?会計の目的とは、投資家や銀行の意思決定の参考になる情報を開示することでした。

投資家からみると、ある年にいきなり巨額の損が出てしまうような会社には投資したくありませんね。

ところで、この鉱山事業について改めて考えてみましょう。

100億円で100トンある鉱山を購入し、毎年2トンずつ採掘しているのであれば、この2トン分は採掘に応じて費用(資本の減少)とみなさないといけないと思われないでしょうか?

100トンの石炭を掘削できる鉱山を100億円で買った、すなわち、石炭を1トンあたり1億円で購入したと考えることができないのかという議論です。

つまり、毎年2トンの石炭を採掘している以上、2億円分を毎年費用(資本の減少)として認識することができれば、鉱山の売却時に多額の損を出さなくても良いのではないのか、という考え方です。

販売と償却によるPLのバランス

そして、この考え方を会計上に反映させたものが減価償却なのです。

そうすると、減価償却の定義である、資産をその費消(使用)に応じて減らしていく会計手続きという言葉の意味が少ししっくりくるのではないかと思います。

3-2. 家を購入した場合

次に不動産の減価償却について考えてみましょう。不動産も鉱山の場合と同じく、毎年費消していく資産です。居住用の家だと分かりづらいですが、投資用不動産の場合だとイメージが湧きやすいです。

投資用不動産の場合、例えば100億円をかけて家を買い、その家から毎年5億円の家賃収入が入る場合を想定します。

家と家賃収入

そして、20年後に家を20億円で売却したとしましょう。(20年後の売却価格が購入価格よりも低くなるという点は感覚的にお分かり頂けるのではないかと思います。家は築年数が古くなると値段が下がりますよね。)

この時、減価償却費を計上していないと、20年目に購入時の100億円と20億円の差額である80億円の損失を一度で認識しなければいけなくなってしまいます。それでは毎年の収支に大きなブレが生じてしまいます。だからこそ、鉱山の場合と同じように、毎年減価償却費を計上する必要があるのです。

売却損と収入の概念図

ただ、家の場合は鉱山の場合と比べ、1年間でどれぐらい価値が減ってしまったのかという点が分かりづらいです。なぜなら、家はある部分が物理的に減っていくわけではなく、全体として徐々に陳腐化していくからです。

そこで、家の減価償却の場合は、一定の規則に従って費用として計上していくこととされています。

具体例としては、木造建物の場合は国が22年でその価値がなくなる(鉱山の場合、とれる資源がなくなる)と規定しています。

そこから、木造建物の場合においては毎年1/22ずつその価値を減らしていくという形にしたのです。

なぜ一定の規則に従わなければいけないかというと、利益操作ができてしまうからです。例えば、赤字になりそうな年には減価償却費用をあまり計上せず、黒字になりそうな年に減価償却費用を計上してしまうと、意図的に会社の事業収益の操作ができてしまうのです。

会計の目的は投資家や金融機関の意思決定に役立つ情報を提供することでした。だからこそ、家の減価償却においては誰が見ても分かりやすい指標として、毎年一定の額で減価償却を計上していくのです。

4. 最後に

減価償却費について最後に簡単に整理しておきましょう。減価償却費とは、お金を生み出す資産を保有している場合、保有期間中にその価値が減っていくことが想定されるので、価値の減額に合わせてその減少分を費用として認識しておく会計手続きのことです。

減価償却費を計上しておくことで、保有期間中の資産の劣化分を売却時に一度で計上せずに済むのです。

そうすることによって、投資家や金融機関がお金を出す際の検討時に安心して財務内容を検証することができるのです。

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