収益物件の購入の検討を進める中で、浄化槽付きの物件を見かけたことがあるでしょうか。
浄化槽付きの収益物件は、下水管が通っている物件と比べて、支出が多くなってしまいますので、その費用や、事前に確認するべきポイントについてしっかりとおさえておきたいところ。
そこで今回は、浄化槽付の収益物件を購入する際のポイントと、保有することによって発生する費用についてお伝えします。
- 目次
- 1. 浄化槽とは?
- 2. 浄化槽が設置される場所
- 3. 浄化槽の維持費用は?
- 3-1. 管理費
- 3-2. 清掃費
- 4. その他知っておくべきポイント
- 4-1. 賃借人は、下水費用がかからない
- 4-2. 維持管理費用の値下げ交渉は難しい
- 4-3. 浄化槽の清掃を忘れると、壊れてしまうことがある
- 5. 最後に
1. 浄化槽とは
まずはじめに、浄化槽とは何なのかということについて説明します。
浄化槽とは、汚れた水をきれいにするために使われる「槽」のことです。槽の中に微生物がいて、その微生物が汚れを分解することによって、水をきれいにする仕組みです。
浄化槽では、台所やお風呂から出る汚れた水だけではなく、トイレから出てくる汚れた水もきれいにすることができます。
浄化槽の図を載せますので参考にしてください。
上記図の中で、家と配管の間にあるのが浄化槽です。
東京23区では浄化槽を見ることはほとんどありませんが、地方ではまだまだ浄化槽は数多くあるというのが実態です。
2. 浄化槽が設置される場所
次に、浄化槽が設置されのはどういった物件なのかという点についてお伝えします。
結論としては、浄化槽は下水管が通っていない地域に設置されます。
逆の考え方をすれば、下水管が通っている地域であれば、基本的には排水は下水管を通して行わなければいけません。
全ての家に下水管を引くことは費用の面から考えても効率的ではないということから、特に住宅が密集していない地域では浄化槽を設置することが多いです。
3. 浄化槽の維持費用は?
次に、浄化槽の維持管理費用についてみていきましょう。
浄化槽を持っていることによって発生する費用というのは大きく分けて2種類あります。
そして、この費用は法律に基づいており、避けることはできないという点は意識しておいた方が良いでしょう。
対象となる浄化槽法10条を引用しますので、参考にして下さい。
第10条 浄化槽管理者は、環境省令で 定めるところにより、毎年1回(環境省令で定める場合にあっては、環境省令で定める回数)、浄化槽の保守点検及び浄化槽の清掃をしなければならない。
ここでの浄化槽管理者というのは、浄化槽を持っている人のことを言います。
つまり、自宅に浄化槽を持っている人は、浄化槽の点検と清掃が必要になります。そして、この点検と清掃で費用が発生するのです。
3-1. 点検費
上述の通り、点検と清掃の費用が発生します。ここから各項目の費用について見ていきましょう。まずは点検費用です。
浄化槽の点検とは、浄化槽にゴミなどが溜まっていないか、微生物がしっかりと生きているか、といった点を確認するものです。
実際の点検回数は浄化槽の大きさにもよりますが、概ね3か月~6か月に一回というのが一般的です。
そして、その費用は概ね1万円~1.5万円/回です。
3-2. 清掃費
次に、清掃費があげられます。
清掃費というのは、ごみの汲み取りの費用と言った方が分かりやすいかもしれません。
汚れは微生物が分解してくれますが、それでも処理しきれない汚れや、ティッシュなどのゴミが溜まっていきますので、そのごみを回収する必要があるのです。
清掃によって発生する費用は浄化槽の大きさによって異なるのですが、ファミリー10世帯規模の浄化槽の場合で概ね15万円前後、一戸建ての場合はおよそ4万円前後の費用がかかります。
清掃費用は会社によって異なりますが、上記のような金額が相場になるということを頭の片隅に置いておきましょう。
つまり、浄化槽を持っているオーナーが負担するべき費用は、戸建の場合は5万円前後、ファミリー向けの集合住宅の場合は17万円前後と考えておくと良いでしょう。
4. その他知っておくべきこと
最後に、浄化槽付きの収益物件の購入にあたり知っておいた方が良い点についてお伝えします。
4-1. 賃借人は、下水費用がかからない
浄化槽の維持管理の負担するのはオーナーです。つまり、浄化槽が設置されている収益物件に住んでいる方は下水道の費用がかからないのです。
入居者にとっては月々数千円の出費の節約になりますので、入居希望者へのアピール材料として使うことができるでしょう。
4-2. 維持管理費用の値下げ交渉は難しい
浄化槽の清掃を行うことができる会社は法律で決められています。
つまり、浄化槽の清掃業に新たに参入するということは簡単ではありません。その結果、 競争環境が生まれづらくことから、値下げの交渉することが難しいと言えます。
エリア毎の縄張りのようなものがある地域もあるようですので、費用とは関係なく、保有している収益物件の近くの清掃業者に頼まざるを得ない。という状況も考えられるでしょう。
4-3. 浄化槽の清掃を怠ると、壊れてしまう恐れがある
浄化槽は、以下の図のように槽の中が区切られています。
それぞれの区画で汚水を処理ながらきれいな水を次の区画に送っていく仕組みになっていますが、住居の中からゴミが出てくると、区画を区切っている板に力がかかります。
そして、ゴミがさらに増えていくと、この板が壊れてしまうことがあります。
そうすると、浄化槽を交換しなければいけなくなる可能性があり、非常に高額の費用が発生してしまうのです。
余分な費用をかけないためにも、浄化槽の確認は必ず定期的に行うようにしましょう。
5. 最後に
浄化槽の概要と知っておくべきポイントについてお伝えしました。
浄化槽付きの収益物件の購入を検討する際には、今回紹介する内容をしっかりと押さえた上で購入の判断を進めるようにしましょう。