• 分かりづらい借地権の種類・特徴をスッキリと解説 – 売主のミカタ

    分かりづらい借地権の種類・特徴をスッキリと解説

    建物と土地

    「借地権」、その漢字から何となく土地を借りる権利であることは分かるが、実際に借地権物件を購入しようとした時のためにしっかりと意味を理解しておきたい。

    ネットで借地権のことを調べてみたが、何だか複雑で良く分からない。

    このように考えている方も多いのではないでしょうか?借地権といっても更に細かい分類があるため、中々分かりづらいというのが現状です。

    そこで今回は、借地権の種類とそれぞれの特徴を詳細に説明させていただきます。

    1. 借地権物件とは?

    はじめに、借地権とはどういった権利なのか、簡単に整理しましょう。

    借地権とは、土地と建物の購入において、土地を誰から借りている契約形態のことを言います。

    建物の購入には土地が必ずセットになっています。例えばあなたが物置を買った時、その物置を置くことができる場所は土地の使用権を得ている場所だけです。公道や他人の敷地に置くことはできません。

    しかし、お金を払って物置を置くための土地を使わせてもらうことはできますよね。

    借地権と妨害排除

    つまり、土地は自分で買って使う場合と他人から借りて使う場合があり、土地を借りて使うことができる権利のことを借地権と言うのです。

    2. 借地権を分類する

    ここから借地権を分類していきしょう。不動産の購入時に土地の権利が「借地権」と表示されている場合、大きく4種類に分類されますので、これから購入しようとしている土地の権利がどういったものか確認する必要があります。

    その4種類とは、地上権、旧法賃借権、新賃借権、定期借地権の4種類です。ここから早速それぞれの詳細についてみていきましょう。

    2-1. 借地権を物権と債権に分類

    4種類の借地権は、大きく物権債権に分けることができます。

    物権として分けられるのが地上権です。地上権は物権ですから非常に強い権利であり基本的には地上権は所有権と同じと考えていただいて構いません。

    物権と債権の違いについて理解したい方は、物件と債権の違いを具体例と共に2分で理解し、地上権を学ぶというコラムをご参照いただければと思います。

    地上権と賃借権

    地上権の場合、土地をを借りるというよりも買うという意味合いが強いですので、今回のコラムでの説明では割愛させていただきます。

    ここからは、債権に属する3種類の借地権について説明させていただきます。

    2-2. 債権に属する3種類の借地権のイメージ

    債権に属する3種類の借地権である①「旧法賃借権」、②「新賃借権」、③「定期借地権」はお互いを対比しながら確認していくと理解が深まりますので、双方を比較しながら紹介させていただきます。

    そして、比較に先立ち簡単にそれぞれの権利の大きなイメージついて説明させていただきます。

    旧法賃借権と新賃借権・定期借地権は借地借家法の制定時期にもとづいて分けられます。具体的には1992年8月1日より後に契約された借地契約は新賃借権または定期借地権が適用され、1992年8月1日より前に制定された場合は旧法賃借権が適用されます。以下の図をご参照いただければと思います。

    賃借権の違い

    そして、旧法賃借権 = 新賃借権と考えて頂いて構いません。分かりやすくするため、ここからは、「賃借権」と表現させていただきます。

    厳密には若干の違いはありますが、本質的な違いはありませんので、双方の違いは最後に説明させていただきます。

    3. 賃借権と定期借地権の違い

    上記の通り、債権として分類される3種類の借地権を更にざっくりと分類した賃借権と定期借地権の違いについて紹介させていただきます。大きな違いは①契約更新と②契約期間ですので、この2点を中心に説明させていただきます。

    3-1. 契約の更新

    旧法賃借権と定期借地権の一番大きな違いは法定更新の有無です。法定の意味を理解したい方は「法定」とは何なのか?具体例と共に理解するというコラムを参照いただければと思います。

    旧法賃借権と定期借地権の法定更新の有無は以下の通りです。

    借地権の種類 法定更新
    旧法賃借権
    定期借地権 ×

    定期借地権は法定更新が存在しません。つまり、契約期間の満了にともない、契約が確定的に終了するのです。

    逆の考え方をすると、旧法賃借権の場合、借主は基本的にはずっと土地を使い続けることができるのです。

    3-2. 契約期間

    次に、契約期間の有無について見ていきましょう。

    以下簡単に契約期間をまとめさせていただきましたのでご参照いただければと思います。

    借地権の種類 分類 最低契約期間
    旧法賃借権 硬固建物 *1 30年
    非硬固建物 *2 20年
    定期借地権 一般定期借地権 50年
    事業用定期借地権 10年
    建物譲渡特約付借地権 30年
    *1 契約期間がない場合は60年*2 契約期間がない場合は30年

    旧法賃借権の場合は法定更新が可能ですので、契約期間は実質的に意味をなしていません。

    一方、定期借地権の場合は確定的に契約を終わらせることができますので、その期間に注意するようにしましょう。

    3-3. 賃借権と定期借地権の違いのまとめ

    賃借権と定期借地権の違いのポイントは、契約をずっと継続することができるかどうか。これに尽きます。

    土地を借りる契約が終了してしまった場合、建物の所有者はその建物を撤去して更地として土地の所有者に土地の明け渡しをしなければいけません。

    定期借地権の場合はこの返還リスクがあるということを認識しておくと良いのではないかと思います。

    4. 債権に属する3種類の借地権の詳細な違い

    ここからはさらに深く借地権を理解していただくため、それぞれの借地権の違いについて詳細に説明させていただきます。まずは簡単なイメージを作成させていただきましたので以下を参照いただければと思います。

    4-1. 旧法賃借権と新賃借権の違い

    まずは旧法賃借権と新賃借権の違いについてみていきましょう。

    違いについて表にまとめましたので、以下ご参照いただければと思います。

    4-1-1. 契約期間・更新後契約期間

    まずは契約期間に関してです。旧法賃借権では土地の上に建てる建物として2種類の分類がありますが、新賃借権においてはこの分類はありません。

      分類 契約期間 更新後契約期間
    旧法賃借権 硬固建物 30年 30年
    非硬固建物 20年 20年
    新賃借権 分類なし 30年 20年

    また、上記において、新賃借権の場合、2回目の更新時の契約期間は10年になる点も合わせて確認しておくようにしましょう。

    4-1-2. 更新条件

    次に更新条件をみていきましょう。

    更新条件に関しては旧法賃借権と新賃借権において大きな違いはありません。

    どちらの条件においても土地の貸主から契約を解除するためには正当事由が必要とされますが、判例からも正当事由とみとめられるには基本的に多額の立ち退き料を支払う必要あり、裁判費用を加味しても得するとはいえないことから、簡単には決められません。

    4-1-3. 旧法賃借権と新賃借権の違いのまとめ

    つまり、旧法賃借権と新賃借権はほとんど同じ権利であると理解しておきましょう。

    4-2. 定期借地権の更なる詳細

    最後に、定期借地権の更なる詳細について簡単に説明させていただきます。不動産投資を行っている方はここで説明させていただいている分類を活用することはほとんどありませんので、飛ばしていただいて構いません。

    定期借地権には更に細かく3つに分けることができます。その3種類とは①一般定期借地権、②事業用定期借地権、③建物譲渡特約付き借地権です。

    そのイメージとしては一般定期借地権を基準として、土地の借手と貸手の公平感を保ちながら少し特徴を加えたものが事業用定期借地権と建物譲渡特約付き借地権と考えていただければ良いと思います。

    以下の表の右側をご覧ください。建物譲渡特約付借地権の場合、契約期間が一般定期借地権よりも短い(貸手有利)ですが、逆に契約期間後に貸手は建物を時価で買い取る義務があります(借手有利)。

    建物譲渡特約付借地権は一般定期借地権に比べてデメリットがありませんが、イメージとしてとらえていただければと思います。

      事業用
    定期借地権
      一般定期借地権   建物譲渡特約付
    借地権
    契約期間 10年以上50年未満
    貸手有利
    50年以上
    貸手有利
    30年以上
    事業目的 事業のみ
    貸手有利
    何でもOK   何でもOK
    特約      
    借手有利
    貸手は建物を時価で買い取る

    5. 最後に

    借地権と一言でいっても、かなり細かい分類がありますが、ポイントとして抑えておくべき点は、地上権か賃借権か、そして、賃借権の場合はそれが定期借地権かどうかという点のみです。

    この点を押さえておけば、借地権物件購入後に予想していなかった事態が発生する可能性は低くなるでしょう。

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