サラリーマンの不動産投資は副業禁止規定に抵触するのか?

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副業禁止規定と不動産投資

不動産投資を行っている方は、できれば会社には見つからないようにやりたいと思いますよね。

一方、会社勤めのサラリーマンの方にとっては、万が一副業が会社に見つかった時、会社の副業禁止規定にひっかからってしまい、最悪の場合クビになってしまうのではないかと不安になる方も多いのではないかと思います。

実際に会社に不動産投資が見つかってしまうとどうなってしまうのでしょうか?法律と照らし合わせた副業禁止規定の実態についてお伝えさせていただきます。

1. 副業禁止規定とは?

まずは、副業禁止規定が何に基づいて制定されているのかという点について説明させていただきます。

副業禁止規定は会社(使用者)と従業員(労働者)との間で結ばれる雇用契約に記載されていることがほとんどです。

そして、人と人の間の契約内容については民法が制定するルールにもとづいている必要があるため、民法と照らしてこの副業禁止規定の妥当性を判断する必要があります。

さらに、会社と従業員の雇用に関しては、労働基準法のルールにも従う必要があります。

ここで2つの法律が出てきましたので、副業禁止規定の妥当性について説明させていただく前に、これらの法律体系について整理していきましょう。

1-1. 労働基準法と民法との関係

まずは労働基準法と民法の関係について簡単に整理しましょう。

民法が一般法と言われているのに対し、労働基準法は特別法と言われており、雇用者と労働者の関係について規定された法律となります。

ここで、なぜ特別法というものが存在するのかという点について簡単にお伝えさせていただきます。

民法と労働基準法

まず、民法では「契約自由の原則」を謳っています。つまり、当事者間でどのような契約を行ったとしてもそれは有効なのです。

しかし、契約自由の原則に従うと、労働契約においてはどうしても雇用者側の方が強くなってしまうということから、雇用者による権利の濫用を防ぐために制定されたのが労働基準法です。

例えば、民法では「契約自由の原則」にのっとり、労働の対価である賃金は当事者間で自由に決めて良いですが、その場合、時給100円といった形でも契約は有効となります。

それでは労働者の生活がおびやかされてしまいますので、労働者を保護するために労働基準法によって制限をかけているのです。

民法と特別法

2. 副業とは?

民法と労働基準法の関係について整理した上で、次に副業とは何なのかという点について考えていこうと思います。

実は、民法でも労働基準法でも副業の定義は定められていません。

ではどこに副業という言葉が入るのかというと、雇用者と労働者の間で結ぶ雇用契約や就業規則です。そして、雇用契約の内容は会社によって異なりますので、どこまでの範囲を副業にするかは会社によって異なるのです。

上記をふまえ、ここでは「本業以外で収入を得る一切の行為」のことを副業と定義することにします。

副業の定義

3. 副業禁止規定と労働基準法の関係

次に、副業禁止規定と労働基準法の関係について整理していきましょう。

上述の通り、労働基準法では雇用側の権利の濫用が禁止されています。つまり、副業禁止規定といってもその規定があまりにも雇用者寄りの場合、その規定は無効となるのです。

ここで、労働基準法の中でも副業禁止規定と関連する項目を紹介させていただきます。

まずは労働基準法第13条からの抜粋です。

この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

つまり、副業禁止規定を定めたとしても、それが労働基準法で決めているルールに達しない契約の場合、その部分は無効となるのです。

次に、解雇に関する規定について見ていきましょう。以下労働基準法第19条からの抜粋です。

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。  前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

上記の規定の中で本件に関連する部分を要約すると、「やむを得ない事由のために事業の継続が困難となった場合にのみ解雇が認められる。」ということになります。

他方、労働者も契約に従ってしっかりと労働をしなければいけないという点も定められています。労働基準法第2条を見てみましょう。

労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。  労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

という規定があります。つまり、労働者は就業規則を遵守しなければならず、修業規則に副業禁止規定が含まれている場合、基本的には労働者は契約違反とされてしまいます。

上記の規定を整理すると、労働基準法第19条では不当な解雇を禁止している一方、2条では就業規則(副業禁止等)を遵守しなければいけないという相反する文章が記載されていますね。

労働基準法上の相反する条文

この場合、副業禁止規定は法律上どういった考え方になるのでしょうか?

その見解に関し、次の段落から説明させていただきます。

3-1. どこから副業禁止規定にひっかかるのか?

まず、日本の法律の根本的な考え方について簡単に説明させていただきます。

日本の法律は必要最小限のことしか書かれておらず、最後は当事者間の意見を踏まえた上で裁判官が判断を下すという形が一般的です。

そして、一度下された判例が事例となり、次に同じようなトラブルがあった場合は基本的に過去の事例と同じような判断が行われます。

以下に簡単なイメージを作成させていただきましたので参考にしていただければと思います。民法では「相当期間の猶予を与えた上で契約を解除することができる」という言葉がありますが、この「相当な期間」がいったいどれぐらいなのかは人によって意見が異なりますよね。

そういった場合に、裁判での判例を参照するのです。

民法と判例

つまり、上記労働基準法のような相反する条文がある場合などは、実際の判例からどういった考え方になるのかを知ることが重要なのです。

3-2. 判例から見る副業禁止規定の範囲

ここで実際の判例にもとづき、どこまでの副業の場合に解雇が認められるのかという点について紹介させて頂きます。

結論としては、以下2つのポイントが重要です。

  1. 会社の収益に悪影響を及ぼさないこと
  2. 副業が本業の労働に悪影響を及ぼさないこと

一つずつみていきましょう。

3-2-1. 会社の収益に悪影響を及ぼさないこと

まず、副業を行う場合、会社に悪影響を及ぼさないことが絶対条件です。

例えば、働くことによって得られた社内の機密情報を売ることによって収益をあげたり、会社が保有している資産を使って利益を上げたりした場合です。

このような場合は、明らかに雇用者と労働者の公平を欠いていますので、副業禁止規定に基づいて会社は解雇することができるという考えが一般的です。

3-2-2. 副業が本業の労働に悪影響を及ぼさないこと

次に、副業が本業の労働に悪影響を及ぼさないことが条件として挙げられます。

具体的には、就業時間後に長時間のアルバイトを行うことによって睡眠不足になってしまった場合や、副業を理由に会社からの残業指示に従わない場合などがあげられます。

結果として本業に支障をきたしているので、これも雇用者と労働者の公平を欠いているとみなされるという考え方が一般的なのです。

4. 副業と不動産投資の関係

上記にて紹介させていただいた労働基準法と副業の関係性をふまえ、以下それぞれの条件で不動産投資を行った場合に副業禁止規定にひっかかってしまうのかという点について考えていきましょう。

4-1. 営業時間中に不動産投資を行っている場合

まず、営業時間中に不動産投資を行っている場合です。これは明らかに会社の収益に悪影響を及ぼしており、労働者側に言い訳の余地はありません。

そもそも誠実に働いていない以上、労働基準法に照らしても解雇は有効ということができるでしょう。

4-2. 営業時間外に不動産投資を行っているが、本業には支障をきたしていない場合

次に、営業時間外に不動産投資を行っているが、本業には支障をきたしていない場合です。これは労働契約の範囲外で行っていることであり、さらに会社に迷惑をまったくかけていません。会社に迷惑をかけていないにも関わらず副業禁止規定に違反しているという理由で解雇することは労働基準法に違反するとみなされるのです。

4-3. 営業時間外に不動産投資を行っており、本業に支障をきたしている場合

最後に、営業時間外に不動産投資を行っており、本業に支障をきたしている場合です。この場合の判断は難しいですが、著しく会社に不利益な影響を及ぼしている場合は解雇が認められるというのが判例の見解のようです。

5. 最後に

副業規定に違反した場合の考え方についてお伝えさせていただきました。給料を貰っている以上、仕事は全力で行い、その上で不動産投資を行う分には万が一会社に見つかったとしても会社との関係は悪くならないと思います。

他方、週末に不動産投資を行っている限りにおいては会社としても簡単に解雇することはできませんので、心配せず不動産投資を行うようにしましょう。

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