不動産経営における成功のポイントの一つは、所得を戦略的に減らして納税額を減らすことです。
そして、所得を減らすためには経費を計上する方法が一般的です。しかし、不動産経営においてどこまで経費になるのかという点について知らないという方も多いのではないでしょうか?
不動産経営を成功させるためにも、経費として計上することができる項目はしっかりと知っておきたいところですよね。
そこで今回は、不動産経営をする上で経費にできる項目について詳しく解説します。
- 目次
- 1. 経費計上の意味
- 2. 管理費
- 3. 火災保険料
- 4. 地震保険料
- 5. 修繕費
- 6. 交通費
- 7. 通信費
- 8. 交際費
- 9. 管理費(区分マンション保有者)
- 10. 修繕積立金
- 11. 借入金金利
- 12. 減価償却費
- 13. 消耗品費
- 14. 広告宣伝費
- 15. 貸し倒れ引当金
- 16. 固定資産税
- 17. 不動産取得税
- 18. 登録免許税
- 19. 印紙代
- 20. 司法書士への手数料
- 21. 仲介手数料
- 22. 従業員への給料
- 23. セミナーへの参加費
- 24. 書籍・新聞代金
1. 経費計上の意味
まずは簡単に経費計上の意味について説明させて頂きます。
不動産経営においては、儲けた額(所得)に応じて税金を払う必要がありますが、この儲け(所得)は家賃収入から経費を差し引いた金額に対して課されます。
つまり、経費が増えれば支払う税金の額は減るのです。経費として計上できるのに計上しないことほどもったいないことはありません。
今回紹介する経費をしっかりと認識し、抜け漏れがないようにしましょう。
2. 管理費
管理費は不動産業者に管理を委託した場合に支払わなければいけない費用です。基本的には家賃の5%ほどが相場ですが、業務の内容によって異なります。
管理費のポイントは特にありません。賃貸経営という観点で今払っている管理費が妥当かどうかという点についてはしっかりと確認したほうが良いでしょう。
管理費については管理会社から送付される支払い明細書に記載されており、その書類で問題ない場合が多いですが、税務署によっては領収書を求められる場合もありますので、確定申告の前に管理会社に対して領収書の送付請求をするようにしましょう。
3. 火災保険料
損害保険会社に払っている火災保険料は経費として計上することが可能です。
なお、火災保険は1年契約ではなく、複数年契約を行い、保険料は一括で支払うことがほとんどですが、この場合、経費として計上できるのはあくまでも単年度分のみであることに注意しましょう。
例えば、10年分の保険料として100万円を支払ったとすると、1年目に100万円を経費として計上することはできず、1年分である10万円しか経費計上することはできません。
4. 地震保険料
地震保険に関しても火災保険と同様、保険会社から毎年書類が送付されてくると思いますので、その書類を証拠として残しておくようにしましょう。なお、地震保険は1年更新ですので、その年に払った保険料はそのまま費用として計上することが可能です。
地震保険も火災保険と同様、毎年保険会社から明細が送られてきますので、その内容はしっかりと確認するようにしましょう。
5. 修繕費
修繕費は建物を修理するために要した費用なのですが、この費用は一括して費用計上することができる場合とできない場合がありますので注意が必要です。
6. 交通費
交通費は物件の内見、管理会社との面談、仲介会社との面談など、不動産業務に付随して発生した交通費であれば基本的に全て計上することが可能です。
なお、近距離切符など、領収書がでないものに関しては、エクセルなどでまとめて管理すればOKです。
以下交通費管理シートを付けさせて頂きますので、参考にして頂ければと思います。
7. 通信費
通信費は、管理会社や仲介会社と電話した際に発生する費用のことです。実際に不動産事業用に携帯電話を用意している人は少ないと思いますので、全ての会話の記録から仕事用途プライベート用に分けることは簡単なことではありません。
そこで、通信費は全費用のうち3割が不動産事業用といった具合に、大まかな割合による計上も認められています。何割までが経費として認められるかという点に関しては、1週間のうち週末の2日を不動産事業に活用するとすれば、おおよそ30%分は経費として認められるといった具合に、税務署にも論理的に説明できる根拠が必要となることに注意しましょう。
8. 交際費
交際費は、喫茶店での飲食代や、管理会社との飲食・会食費を含みます。
会食の回数が多い方は、誰と会食したのかという点を領収書にメモする等行い、税務署からの指摘に対してしっかりと対応することができるようにしましょう。
9. 管理費(区分マンション保有者)
ここでの管理費は、管理組合に払う経費のことを言います。領収書を都度発行する管理組合は少ないと思いますので、確定申告前にまとめて領収書を作成してもらうようにしましょう。
10. 修繕積立金
修繕積立金も経費として計上することが可能です。
11. 借入金金利
投資用の物件を購入した際に銀行から借り入れをした場合、借入金に対する利息は経費として計上することが可能です。
ただし、金利を経費に計上できる範囲は黒字額分までです。つまり、賃料収入が100万円で借入金金利が150万円の場合、経費として計上することができるのは100万円までですので注意しましょう。
また、借入金金利は他の経費計上に劣後します。
つまり、賃料収入が100万円、管理費100万円、借入金金利が150万円の場合、借入金金利を経費として計上することはできないので注意しましょう。
12. 減価償却費
減価償却費は建物部分に対して形状することができる経費です。詳細についてはコチラのコラムをご参照頂ければと思います。
13. 消耗品費
消耗品費とは、コピー代や文房具など、不動産を購入するために発生した事務関連費用のことを言います。
14. 広告宣伝費
広告宣伝費は不動産の管理会社などに支払った金額のことを言います。
賃貸管理会社ではなく、個人に対して広告費を支払っている場合などは領収書を貰うことが困難な場合もありますので、そういった場合はデパートなどの商品券などを購入してその領収書を貰う、またはインターネットバンキングでの振り込みを行う形にするとスムーズに進めることができるでしょう。
15. 貸し倒れ引当金
貸倒れ引当金は、貸し倒れを想定して見積もる経費のことを言います。もう少し具体的な例で説明しましょう。
まず、会計の目的を考える必要があります。会計の目的は、企業の経営成績を開示することによって、投資家や金融機関の判断の助けにすることです。
例えば、ある銀行が100万円を融資しましたが、貸付先の経営が火の車状態になっているとします。そうすると、この100万円はもしかしたら返ってこないお金になってしまうかもしれませんので、会計の目的に鑑み、損するかもしれないことを事前に投資家や金融機関に伝える必要があります。そして、その伝える手段が貸し倒れ引当金なのです。簡単には、将来これぐらい損がでるかもしれません。ということを伝え、その額を経費として認識してしまうのです。
そうすると、どういった基準で貸し倒れ引当金を認識するべきなのかという問題が生じてきますよね。つまり、税務署から見ると、企業が勝手に多額の引当金を計上して納税額を減らすことは好ましくないのです。
ここから、貸し倒れ引当金の金額には上限額が設定されており、この額は債権額の2%とされています。
不動産投資の場合、この対象となるのは未収家賃です。基本的に家賃は前払いですので、延滞しないかぎり、回収できないリスクが生じているとはいえません。
家賃の滞納があって初めて経費として計上できるのです。
ちなみにですが、この経費は毎年計上できるものではありません。なぜなら、引当金を計上しているということは、お金を回収することができないかもしれない状況が続いているだけであり、その状況が続いている限りにおいては、新しい事象が生じない限りできないからです。
16. 固定資産税
固定資産税とは、1月1日時点で不動産を保有している人に対して課される税金です。納付書をコンビニに持って行って払えば領収印を押してもらえるので、その書類はしっかりと保管しておきましょう。
17. 不動産取得税
不動産取得税は不動産の取得後に発生する税金のことです。
18. 登録免許税
登録免許税は登記をする際に国に払わなければいけない税金のことです。
19. 印紙代
印紙代とは、課税文書の作成に対して課される税金のことです。
20. 司法書士への手数料
司法書士への手数料は、不動産の購入時に登記を行った際、登記を代理で委託した司法書士に対して支払う手数料のことです。
21. 仲介手数料
仲介手数料は不動産を購入・又は売却する際に間に入った不動産業者に対して支払う費用のことをいいます。
22. 従業員への給料
従業員への給料に関しては、若干細かい規定があります。
23. セミナーへの参加費
セミナーへの参加費も経費として計上することが可能です。その際のポイントとしては、不動産を購入する前、すなわち不動産事業を開始した前に発生した費用であっても経費として計上することができる点です。
24. 書籍・新聞代金
不動産を購入するために発生した費用に関しても、経費として計上することが可能です。その際、上記23.と同様、不動産事業を開始する前に発生した費用であっても経費として計上することができるという点を意識するようにしましょう。