内見の時だけでは分からないのが、隣の部屋や外から聞こえる騒音。入居した後に、思ったおりも騒音が激しいなあ、と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、音漏れの具合を構造毎に徹底的に解説します。
音とは何なのか?
音とはどういったものなのかを考えてみましょう。
人間に耳がついていなければ、音を認識することは出来ないですね。人間や動物には耳があり、この耳の中の膜が振動し、その振動が信号に変換されることによって音として認識されるのです。
そして、音がどういった信号に伝わるかを決めるためには、耳の膜が揺れなければいけません。耳の膜が揺れるためには、耳の膜に何らかの物理的な力が加わらないといけないですね。
その役目を果たしているのが、空気です。地球上において何らかの物理的な動きがあった場合、その動きは空気を動かします。(お風呂などが分かりやすいですね。お風呂に入って手を動かすと、波がどんどん先まで伝わっていくのと同じです。)
ものが動く → 空気が動く → 耳の膜が揺れる → その揺れが音に変換される → 聞こえる
というのが簡単な人間の「聞こえる」のプロセスなのです。
音の圧力と周波数を理解する
まず、音のうるささについて理解しましょう。
音の大きさとしては基本的にデシベルという単位が使われますが、このデシベルについて簡単に説明させて頂きます。
デシベルとは、人間が最低限聞こえる音圧を20μpaと設定し、この最低限聞こえる音からどれぐらい圧力が大きいかということを示した指標です。
音圧というと少しイメージが分かりづらいですが、今座っている場所も常に空気圧がかかっています。空気のプールの中にいるというイメージですね。
地表面でも約1,000hPa(hは100倍という意味ですから、10万Paの大気圧が地表面でかかっているということになります)。そんな中、20μPaというそうとう小さい圧力まで聞き取れるというのはすごいことですよね。
(1,000hPaは20μPa の50億倍です!)
更に、上限は20Paぐらいまでは耐えられるようです。しかし、これでは幅がありすぎる(例えば、日時会話は0.002Pa、道路では0.6Paなどの記載があっても、どれぐらいの違いなのか今一つピンとこないですよね)ということから、もっと分かりやすい資料を作らないといけない、ということで開発されたのがデシベルです。
デシベルは、数字が20上がるたびに、音圧が10倍になっていくことを意味します。
0デシベルが20μPaとすると、20デシベルは200μPa、40デシベルは2000μパスカルといった具合です。
つまり、デシベルの上昇具合と実際の音圧の上がり具合は比例しないという点に注意しましょう。
周波数について理解する
次に周波数について理解しましょう。周波数とは音の振動の頻度のことを言います。
ギターで同じように弦をはじいても、長さが変わると音色が変わったりしますね。この音色の変化に影響を与えているのが周波数なのです。
そういった意味で、音のうるささを絶対的に抑えるためには音圧を制御することが必要です。周波数も関連していますが、あまり気にしなくても良いと思います。
家で音が聞こえる仕組み
次に、実際に家にいる時にどういった形で音が聞こえてくるのかという点について理解していきましょう。
音が聞こえる仕組み その1 隙間から音が入ってくる
また、障害物にわずかな隙間が空いていても、その隙間から空気の振動が伝わってしまいます。結局振動が耳に入れば良いのですから、わずかな隙間であっても耳に直接振動が伝われば、その音は大きく聞こえてしまいます。レーザー光線のようなイメージだと分かりやすいでしょうか。わずかな隙間でも、レーザー光線が入れれば、その光は反射してあなたのもとに届きます。まして音はその音源から360度全ての方向にレーザー光線を放っているようなものですので、隙間を作ることがいかにまずい状況を生み出すのかということがお分かりになると思います。
また、耳栓をして音を防ごうとしても、その耳栓に直径1ミリほどの穴が開いていれば、防音の効果が著しく落ちてしまうということは簡単に想像できるのではないかと思います。
音は貫通するのです。
音が聞こえる仕組み その2 物が媒介として間に入る
もう一つ大きな背景としては、音とあなたの間に入っているものが媒介することによって音が聞こえてしまうという点が挙げられます。
例えば、隣の家のひそひそ話を聞く際には、壁に耳を当てると良く聞こえますね。これは壁が振動を受け、自らも振動しているからに他なりません。
ただ、この壁がコンクリートである場合、耳を当てても中々音は聞こえないのではないかと思います。なぜなら、コンクリートは振動しづらいからです。
つまり、防音性能を高くするためには、隙間をなくすということと、振動しないようにさせるということが重要なのです。
賃貸用物件でできる防音対策
具体的な防音対策についてご紹介させて頂きます。
窓の隙間をテープで埋める
音が漏れてしまう一番の原因は窓です。窓は基本的に動くものですので、隙間ができてしまうのは仕方がないことです。
隙間が出来てしまう以上、その隙間をガムテープなどで埋めてしまいましょう。
防音カーテンをつける
防音カーテンをつけるということも効果的です。防音カーテンといっても、実際は少し厚めのカーテンと考えて頂いて構いません。防音カーテンを付ける際に注意するべきことは、可能であれば窓の外にカーテンを設置するようにすることです。窓の中にカーテンを設置するだけでは、どうしても外からの音の侵入を防ぎきることができず、防音効果が落ちてしまいます。イメージとしては、窓よりも大きめのカーテンを窓の外に設置することによって、窓の中への音の侵入を防ぐというイメージです。