数年前に比べたら、不動産の価格は驚くほど上がりました。 その理由として、一般的にはオリンピックの開催に伴う地価の上昇期待が理由と言われています。
一方、不動産の価格は国の政策によっても大きく変わるということをご存じでしょうか?
不動産は金額が大きい資産であり、どの国も不動産取引を活性化させることによて国の収益の増加につながることから、どの国も不動産取引の活性化を重視しています。
そして、今はアベノミクスによる金融政策が不動産の価格に非常に大きい影響を与えています。
今後の市況動向を見極める上でも、アベノミクスが不動産の価格にどういった影響を与えているのか理解しましょう。
目次
1. アベノミクスとは一体何なのか?
「アベノミクス」、この言葉はご存知だと思いますが、アベノミクスが一体何なのか説明できる方はあまり多くないのではないかと思います。
そこで、今回は、アベノミクスとは何なのかということ、そして、アベノミクスと不動産投資の関係について分かりやすくお伝えしますね。
まずは、アベノミクスが何なのかということを簡単に整理しましょう。アベノミクスには3本の矢があるということはネットで検索すれば簡単に出てきますので、3本の矢に関する説明は省略させて頂きます。
この3本の矢によって安倍政権がやりたいこと、それは、国内においてお金が出回る量を増やすことです。
イメージとしては、 家でタンス預金をするのではなく、 皆が町でお金を沢山使うといったものです。 (バブル期の銀座のようなイメージです。)
身近な例では、地方公共団体のプレミアム商品券などはお金の出回りをよくするための施策ですね。
では、みんなが町でお金を使うとなぜ良いのでしょうか。
2. アベノミクスの狙い
皆が町でお金を使うことのメリットは、 ケインズの有効需要の原理が背景にあるのですが、 この原理は簡単に言うと以下のような流れによって景気が良くなることを言います。
みんながお金を使う → 企業が儲かる → 一人一人の給料が上がる → 可処分所得が増える → みんながお金を使う・・・
という形です。このようにしてお金を実体経済の中で循環させることにより、賃金が上がり、雇用の創出が生まれ、景気が良くなる、という考え方が有効需要の原理です。 (物を買いたい!という需要が雇用(物を作る為には人を雇わないといけない)を作る、ということです。)
逆に、みんながタンス預金をしてしまうと、 みんながお金を使わない →企業が儲からない →給料が上がらない →みんなお金を使わない・・・ という悪循環に陥ってしまいます。
この悪い流れを断ち切り、お金の出回りを良くしよう!という考えの下で行われている政策がアベノミクスなのです。
3. アベノミクスと不動産投資の関係
では、このアベノミクスが不動産業界において どのような影響を及ぼしているかという点について 考えてみようと思います。
東京に住まれている方の中には実感されている 方もいるかと思いますが、今、東京では各地でマンションの 新規開発を目にする機会が非常に多いです。
とりわけ、ファミリー向け分譲マンションの 建設はかなりのスピードで進んでいます。
では、人口が減少している日本において、 なぜこんなにも大量の住宅を建設することが できるのでしょうか?
それは、買う人(正しくは、「買える人」)がいるからです。
では、なぜ多数の買手が存在するのか。 それは、銀行が、非常に低い利率、融資期間で融資を 行っているからです。
今の住宅ローン(フラット35)の金利は、ネットで調べると、1%台前半ですね。 そして、融資期間は35年に及びます。
一方で、法人向けで35年融資を組んでくれる銀行は ほとんどありません。(あったとしても相当な高金利になります)
では、なぜ銀行がここまで安い金利で お金を貸してくれるのでしょうか。それは、政府が貸付債権を買い取っている (政府がリスクを負っている)からと考えています。
つまり、政府が一手に低金利の長期ローンを 引き受けているからこそ、銀行が長期、低金利で 融資を行うことができているのです。
その結果、賃料よりも毎月の住宅ローンの返済の方が高いのであれば、家を買ってしまおう、という発想になり、今、家の買手が増えているのです。
そう考えると、政府が低金利、長期間のローンを引き受けるという方針がまさにお金の出回りをよくすることであり、これがアベノミクスによる政策ということができます。
政権交代によってこういった政策も変わってくると思いますので、状況をしっかりと注視しないといけないですね。
4. 最後に
アベノミクスとは、お金の出回りを良くすることであり、お金の出回りが良くすると、給料が上がり、雇用が生まれ、景気が良くなります。
そして、不動産投資においてはお金の出回り(銀行からの融資条件) が改善されることで、購入希望者が増え、結果として利回りが下がっていくのです。