不動産投資の勉強もある程度進んだので、次に不動産投資関連のセミナーに参加してみようと考えているが、どういったセミナーに参加するべきか分からない。
限られた中で本当に有益な情報を手に入れたい。
こんな考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、不動産関連セミナーをどういった観点から選べば良いのかという点についてお伝えさせていただきます。
- 目次
- 1. セミナーが行われる背景を知る
- 1-1. セミナー費型
- 1-2. リスト型
- 1-3. 仲介手数料型
- 2. 有益な不動産投資セミナーを選ぶ上でのポイント
- 2-1. 無料かつ無料相談会が行われるセミナーを選ばない
- 2-1-1. セミナーで出てくる非公開物件の価値
- 2-2. 有料で複数回開催されているセミナーを選ぶ
- 2-3. 内容が具体的なセミナーを選ぶ
- 3. セミナーを分析した結果
- 3-1. 有料と無料の有無
- 3-2. 参加業者の数
- 3-3. 自社セミナールームかどうか
- 3-4. 無料相談会の実施可否
- 3-5. セミナー定員
- 4. 最後に
1. セミナーが行われる背景を知る
まずはじめに、不動産投資関連のセミナーが行われる背景、すなわち不動産会社がなぜセミナーを開催するのかという点について説明させていただきます。
不動産投資関連のセミナーが行われる背景は不動産業者が収益を上げること。これに他なりません。不動産ポータルサイトにセミナーの情報を掲載するだけでも費用が発生するのですから、費用が発生している以上、その費用に見合った対価があることがセミナーを開催する絶対条件なのです。
そして、収益を上げるためには大きく以下3つのポイントがあります。
1-1. 参加費型
まず初めはセミナー参加費で収益を上げるという方法です。有益な情報を発信しているセミナー、表には出てこない情報を提供しているセミナーの場合、お金を出してでも参加したいという人もいるのではないでしょうか?
情報提供に対する対価としてセミナー代金を支払うという形です。
1-2. リスト型
ここでのリストとは、メールアドレスや電話番号といった個人情報のことです。リストを集めて物件を紹介し、販売時に貰う仲介手数料で収益を上げるという形です。
リストを取るには広告などを打つ必要があると一般的に言われますが、この広告費に該当するものがセミナー企画に際して発生する費用です。
1-3. 仲介手数料型
最後は実際に物件を売るという方法です。セミナーに来た参加者に収益物件を紹介し、その物件を売ることができれば仲介手数料を得ることができます。
細かい観点では上記の3つ以外の方法もありますが、基本的には上記3点がセミナーを開催する会社の狙いと考えた方が良いでしょう。
このポイントを踏まえつつ、セミナーを選ぶ際のポイントについてお伝えさせていただきます。
2. 有益な不動産投資セミナーを選ぶ上でのポイント
ここから有益な不動投資セミナーを選ぶ上でのポイントについてお伝えさせていただきます。これから紹介させていただくポイントは、上記のセミナー参加者の狙い及び私が300のセミナーを調べた結果を踏まえた上で紹介させていただくものです。
2-1. 無料かつ無料相談会が行われるセミナーはなるべく選ばない
自社のセミナールーム以外でセミナーを開催している業者の場合、セミナーの場所を借りるために費用が発生します。
また、主催者もセミナーの開催時間分の時間が拘束されますので、その分の費用が発生します。
上記のような状況にも関わらず、無料でセミナーを行う目的は、顧客のリストを集めるかセミナー参加者に物件を売るかのどちらかです。
そんな中、無料相談会が開かれるセミナーの場合は特に注意するようにしましょう。
なぜなら、無料相談会とは基本的には物件を紹介する場であることがほとんどだからです。その際、仲介業者は「表に出ていない非公開物件です」というコメントを付けることによってその物件にプレミア感を出し、売り込んでくることが予想されます。
2-1-1. セミナーで出てくる非公開物件の価値
ここで一歩下がって考えていただきたいのですが、表に出ていない優良物件の場合、その不動産会社は誰にその物件を紹介するでしょうか?
こういった言い方をすると失礼かもしれないですが、セミナーに参加した一見の顧客ではなく、自社が抱えている優良顧客に対してまず紹介するはずです。
つまり、初見のセミナー参加者に紹介される物件は、市場で判断しても良い物件ではない可能性が高いのです。
かつ、セミナーに参加する方は不動産投資に対する知識が低い方も少なからずいらっしゃると思いますので、そういった方にとって非公開物件はたとえ良い物件ではなくても良い物件に見えてしまうのです。
無料相談会の前に非公開物件を公開し、購入の興味がある方と具体的な話をするという手法です。
全ての仲介業者がそうではないと思いますが、注意するようにしましょう。
非公開物件の本当の価値について理解したい方は、非公開物件は本当に価値があるのか?その価値を徹底的に検証というコラムをご参照いただければと思います。
2-2. 有料で複数回開催されているセミナーを選ぶ
有料で開催されているセミナーは基本的に価値がある情報の対価としてセミナー参加費を貰うという形が一般的です。
有料セミナーの場合は評判が悪ければ長く続けることはできません。つまり、長く続いている場合は有益な情報を提供しているセミナーと判断することができるのです。
一方、金額が高いから有益な情報を貰えるわけではないという点には注意するようにしましょう。
楽待では、セミナーの開催履歴を見ることができますので、有料のセミナーがどれほど続いているかという点を調べた上で参加されることをお勧めします。
2-3. 内容が具体的なセミナーを選ぶ
セミナー主催者の立場としては、セミナーで参加者に何を持って帰ってもらいたいのか。何を気づいてほしいのかといったそのセミナーでのゴールを明確に定め、そのゴールに沿った形でストーリーを組み立てていきます。
そして、ストーリーを組み立てていく中でアイディアが膨らんでいき、伝えたい内容がどんどん増えていってしまうことが一般的です。
伝える内容が増えていくということは、セミナーのテーマもどんどん具体的になっていくということを意味します。
だからこそ、セミナーの内容が具体的ではない場合、伝えたい内容がない可能性が高いです。
伝えたい内容がないということは、その会社におけるセミナーの目的は情報の提供ではないことを意味します。つまり、リストを集めるか物件を売ることが目的というセミナーである可能性が高いのです。
セミナー概要を読み、何を得ることができるかがしっかりと分かるセミナーを探すようにしましょう。
3. セミナーを分析した結果
上記においてセミナーの選別基準についてお伝えさせていただきましたが、その選別基準の根拠となったデータとして、調査時点で楽待に掲載されているセミナー300件を確認した結果を紹介させていただきます。
3-1. 有料と無料の有無
まずは有料と無料の割合について見ていきましょう。以下の図の通り、おおむね10%のセミナーが無料であることが分かりました。
次に、有料セミナーの費用分布について見ていきましょう。一番安いセミナーは500円、最も高いセミナーは30,000円とかなりのばらつきがあります。
ただ、優良セミナーを謳っているだけあり、「物件を売りつけるようなことは一切行いません」といった文章や、「今は売り時ではありません」といった物件の売り込みとは逆のコメントを行っているセミナーも見受けられました。
有料であっても無料相談会が行われるセミナーもありましたが、セミナーの内容からみても物件の無理な売り込みにもっていくようなセミナーではないだろうということが予想できました。
3-2. 参加業者の数
次に、業者毎のセミナー開催回数を見ていきましょう。業者の数は76社でしたので、概ね1社が4回のセミナーを行っているということになりますが、以下のグラフの通り、セミナー主催回数の上位10社で半分以上のセミナーを開催しているという計算になっています。
また、6回以上の複数回にわたって開催する会社も多数あることが分かりました。以下は開催回数別で業者の数を整理したものです。
3-3. 自社セミナールームかどうか
次に、セミナーの開催場所が自社スペースである割合を見ていきましょう。以下の図の通り、自社でセミナーを開催している会社が約6割と、半分以上の会社は自社セミナールームをうまく活用していることがわかりました。
自社スペースを有している以上、何か企画をしなければそのスペース分の費用がもったいないですので、有効な戦略だと思います。一方、自社セミナールームを有している企業はある程度規模が大きい会社であることが想定され、大企業は常に売上を立て続けなければいけませんのでその点は頭の片隅に置いておくと良いのではないかと思います。
3-4. 無料相談会の実施可否
次に、無料相談会が開催されるセミナーの割合を調べてみました。以下の図の通り、相談会が開催されるセミナーが80%以上という結論になりました。
この割合は、セミナーの有料:無料の割合とほとんど同じですので、無料セミナーには基本的に相談会がセットになっていると考えていただければ良いと思います。
3-5. セミナー定員
次にセミナーの定員について見ていきましょう。以下の図をご参照ください。不動産投資関連のセミナーは少人数参加型のセミナーが極めて多く、20名以下のセミナーが8割以上を占めています。
一般的なセミナーで参加者が10名以下というのはまれなケースであるにも関わらず、なぜこんなにも少人数参加型のセミナーが多いのでしょうか?
その答えは、やはり物件の「売り込み」にあります。大人数のセミナーの場合、どうしても講師対参加者という構図が出来上がってしまい、対話が生まれません。
対話を生み出し、物件売却への流れを作るのに最適な人数が10人前後だからこそ、以下のグラフでも定員10名が一番多いという結果が出ているのです。
定員別の詳細グラフは以下の通りです。定員10名のセミナーが最も多いことが分かります。少人数のセミナーに参加する際は、その内容をしっかりと確認した上で参加するようにしましょう。
4. 最後に
セミナーへの参加にあたっては、今自分がどういった知識を求めていて、その知識を埋めてくれるためにそのセミナーに参加する。という心構えが必要です。
ただ漠然とセミナーに参加するだけでは、仲介会社の営業の結果いつの間にか物件を買ってしまったということにもなりかねません。
上記のポイントを踏まえつつ、参加するべきセミナーを選定するようにしましょう。