不動産投資で物件を購入するためには属性が重要であると良く言われますが、実際にはどれほど大切なのでしょうか?
実際に銀行員の方と飲みに行き、担当者から聞いた情報を包み隠さずお伝えします。
属性と物件の関係をしっかりと理解し、物件購入の確率を高めていくようにしましょう。
- 目次
- 1. 属性とは?
- 2. 属性として評価される項目
- 2-1. 勤務先と勤続年数
- 2-2. 年収
- 2-3. 自己資金
- 2-4. 借入人の人柄
- 2-5. 不動産賃貸業に対する考え方
- 3. 融資における物件と属性の関係は?
- 3-1. 物件評価が高くて属性が低い場合
- 3-2. 物件評価が低くて属性が高い場合
- 3-3. まとめ
- 4. 最後に
1. 属性とは?
まず属性とは何なのかという点について考えていきましょう。
結論からお伝えさせていただくと、属性=「融資の返済に影響がありそうなすべての項目」です。
イメージとしては、お見合いで事前に見ることができるプロフィールに似ています。お見合いはこれから一生を共にするパートナーを決めますので、一生お付き合いをするにあたっては、様々な項目をチェックしたいですよね。
融資の場合も同じです。金融機関と借入人は一生の付き合いとまでは言えなくとも、不動産の融資という意味においては数十年という長い期間の付き合いとなるわけですから、融資をするにあたり、金融機関は複数の項目を検討する必要があるのです。
そして、お見合いで重視するのが「一生付き合っていける人か」という観点である一方、金融機関の場合は「ちゃんと返済してくれる人なのか」という観点が重要になります。
2. 属性として評価される項目
それでは、「融資の返済に影響がありそうな全ての項目」とは具体的にどういった項目なのでしょうか?ここからは実際に銀行員と会話した内容に基づき、属性として評価される項目を1つずつ紹介させていただきます。
なお、銀行が借入人のどこを評価するかは銀行によって異なりますので、以下あくまでも私が聞いた範囲内での情報であることに留意いただければと思います。
2-1. 勤務先と勤続年数
勤務先と勤続年数の関係は銀行が融資をするにあたり最も重視する項目です。転職が一般的になった今の時世においても、同じ職場で働く続けるということは金融期間にとって一定の評価基準となるのです。
違う見方をすると、長年の業務の中で確率された銀行の評価システムは簡単には変わらないということを意味しています。
終身雇用が確立されていた時代は同じ職場で働き続けている人が不渡りに陥る可能性は大変低かったと考えられますので、銀行は今でも勤続年数を重視するのです。
とりわけ不動産投資を行う場合、勤続年数が3年未満の場合は融資を組成することが難しいというコメントがありました。
また、勤務先も非常に重要な情報です。とりわけ大企業の離職率は今でも非常に離職率が低く、それが銀行にとってプラスの評価材料に繋がっています。
例え年収が高くても、外資系の金融機関など離職率が高い仕事に従事している場合、金融機関の評価が低いということもありますので注意しましょう。
2-2. 年収
年収も非常に重要な要素です。
例えば、お見合いで結婚相手を見つける際、「年収500万円以上」といった形でフィルターをかけられてしまうのと同様、不動産投資においても、「年収500万円以上」といった最低限の融資条件を持っている金融機関も多いので注意が必要です。
私が話した金融機関の場合は年収による足切りはありませんでしたが、不動産投資分野への融資が積極的な金融機関は年収による足切りを行っている場合が多いですので、意識すると良いでしょう。
また、金融機関によっては夫婦の収入を合算して見てくれる金融機関もありますので、その点も意識されると良いのではないかと思います。
年収をすぐに上げることは簡単ではありませんので、この点はあまり意識せず、あなたの年収に合った金融機関を探すと良いのではないかと思います。
2-3. 自己資金
お見合いでは自己資金はあまり重要視されないと思いますが、金融機関の評価においては非常に重要な要素です。これには大きく分けると3つの理由があります。
①不動産投資においてフルローンをする金融機関はほぼ存在しない
まず、不動産投資においてフルローンを組成する金融機関が存在しないという点が理由として挙げられます。
インターネットで良く見かける「フルローン可能物件」というのはグレーな形でフルローンを組成しているという点は意識しておいた方がよいでしょう。
なぜフルローンをしないのかというと、フルローンは金融機関にとって極めてリスクが高い融資だからです。頭金は金融機関にとっての担保のようなものです。
そもそも自己資金がなければ不動産を購入することは難しいと考えた方が良いでしょう。
②年収と自己資金が分かれば借主の浪費度合いが分かる
次に、自己資金は借主の浪費具合を把握するためのツールとしても機能します。
なぜなら、年収と家賃が分かれば銀行はあなたの月々の支出額を概ね把握することができ、そこから自己資金の額を逆算することができるからです。
年収がいくら多くても手元に全く残っていなければ、保守的な考えを好む金融機関からは間違いなく嫌われてしまうでしょう。
③自己資本比率が融資において重要な要素となる
企業経緯においては一般的に融資7:自己資本3が重要と言われます。自己資本がほとんどない場合、不測の事態に耐えることができず、経営破綻してしまう可能性があるからです。
不動産事業の運営においても、雨漏りや退去の連続などによって、不測の支出が発生する可能性がありますが、その際に自己資金がないと対応することができません。
自己資金がない人に融資をするということは、借主に余裕が全くない状況を意味します。銀行としても、自己資金がない人に積極的に融資をすることはできないのです。
2-4. 借入人の人柄
意外に思われるかもしれませんが、借入人の人柄・雰囲気も融資にあたっては重要な要素となります。
あなたが金融機関の融資担当者だったとして、だらしない私服で来た人とスーツで来た人に対し、どちらに融資するかというと後者であることは明らかですよね。
見た目の清潔感はいくらでも改善することができますので、金融機関との面談前はみだしなみにしっかりと注意するようにしましょう。
また、金融機関の都合や全体感を把握できないような発言をしてしまうと、自己中心的な人などと判断されてしまい、銀行からの評価が下がってしまいますので注意するようにしましょう。
例えば、融資の振り込みは絶対に1か月以内に必要だ。といった具合に、自分の都合だけを押し付けてしまわないようにしましょう。お互いのメリットをしっかりと把握しながら会話を進めることが重要です。
2-5. 不動産賃貸業に対する考え方
不動産賃貸業に対する考え方、すなわち不動産事業の経営方針も重要な要素です。なぜなら、事業がうまくいくかどうかは経営者の考え・行動に依るところが大きく、いくら物件が良くても事業に対する知識がなければ経営破綻に陥ってしまう可能性が高いからです。
ここで求められているのは、賃貸経営についてどこまでの知識があるのかという点、将来どういった方向にしていくのかという点、そして不測の事態に対してどこまで対応策を練っているのかという点です。
金融機関からは様々な質問が来ることが予想されますので、経営者としての素質を疑われてしまうことがないよう、注意しましょう。
3. 融資における属性と物件の関係は?
属性について紹介させていただきましたが、ここからは属性と物件の関係について見ていきましょう。
銀行は基本的に属性と物件のハイブリッド方式による評価を行います。
ハイブリッド方式による評価とは、属性だけ高くても物件の評価が悪ければ融資することは難しく、逆に物件がいくら良いものであっても属性が悪ければ融資を取り付けることは難しいという評価方式です。
なぜこのような融資方針になるのかという点について、以下2パターンに分けて説明させていただきます。
3-1. 物件評価が高くて属性が低い場合
まずは物件の評価が高くて属性が低い場合を考えてみましょう。
ここでの物件の評価が高い場合とは、積算評価が高い物件であり、且つローンに対する賃料収入が高い物件と仮定します。
しかし、属性が低く、サラリーマンだったとしても離職率が高い会社に勤めているとします。そうすると、無職になってしまった場合に物件からの余剰資金が生活費に充当されてしまう場合も考えられますので、金融機関はこのリスクも踏まえた上で融資の判断を行います。
金融期間がこのリスクをどう見るかという点は金融機関によって意見が分かれますが、基本的には物件がいくら良くても、属性が伴っていなければ融資を組成することは難しいのです。
3-2. 物件評価が低くて属性が高い場合
次に、物件評価が低くて属性が高い場合について考えてみましょう。以下のようなイメージです。
この場合、家賃収入よりも返済額の方が多いため、しっかりと収支が回るように見えます。以下のイメージをご参照ください。給与収入が生活費よりも多いため、余剰資金を銀行への返済にまわすことができているとしましょう。
この場合、融資に際して問題が無いようにも見受けられますが、物件評価が低い物件というのは担保価値の方が融資額よりも低い物件であるということを忘れてはいけません。
つまり、どんなに給与収入が高くても、そもそも担保余力がないことから、金融機関内では「万が一競売になった場合、赤字になってしまうが、そのリスクに対してはどう対処するのか?」という点を論破する理論を立てることができないため、金融機関内の審査を通すことができず、融資をすることが難しくなってしますのです。
金融機関が担保として積算価格を重視する理由を知りたい方は、不動産投資における積算価格の本質というコラムをご参照いただければと思います。
3-3. まとめ
上記の3-1.と3-2.の場合を整理すると、物件の評価が低い場合はどれだけ属性が高くても融資の土台には乗らない。そして、物件の評価が高くても属性が低ければ融資の組成は難しい。という結論が導き出されます。
属性は重要だが物件ありき。というイメージを持っていただければと思います。
4. 最後に
融資にあたり、金融機関は「総合的な評価」を行うと言われますが、総合的な評価がどういったことを意味するのか、このコラムで少しでもイメージが膨らんだのであれば幸いです。
不動産の購入において属性と物件は切っても切れない関係です。物件自体が良いことはもちろん、属性も融資に非常に大きな影響を与えます。
属性をすぐに高めることはできませんが、日々の積み重ねで着実に高めることができますので、これから物件を購入しようと考えている方は少しずつ属性を積み上げていくようにしましょう。