移民政策の恩恵を受け、人口の増加が続いているオーストラリア。とりわけシドニーやメルボルンは世界の中でも住みやすい国として有名です。
今後も安定的な成長が見込まれることから、不動産投資も熱を帯びており、その価格も上昇の傾向が続いています。
また、オーストラリアは比較的外国人でも不動産購入のハードルが低く、今後も外貨の流入が見込まれています。
このように、非常に魅力的な国であるオーストラリアでの不動産投資の一助になればという思いから、オーストラリアの概要と不動産の購入手順についてまとめさせていただきました。
- 目次
- 1. オーストラリアの概要
- 1-1. 6つの州
- 1-2. 人口
- 1-3. 経済成長率
- 1-4. 産業構造
- 2. オーストラリアの不動産市況の現状
- 2-1. 不動産価格の推移
- 2-2. 賃料の推移
- 3. シドニーの詳細
- 3-1. エリアごとの特徴
- 3-1-1. シティ
- 3-1-2. ボンダイジャンクション
- 3-1-3. マスコット
- 3-2. 現在開発中のプロジェクト
- 3-2-1. 鉄道
- 3-2-2. 道路
- 4. オーストラリアの不動産の間取り・内装を紹介
- 4-1. マンション
- 4-2. 戸建て
- 5. 外国人が不動産を購入することはできるのか?
- 5-1. 非居住者でも買うことができるのか?
- 5-2. 非居住者が購入することができる不動産
- 6. 不動産購入までの具体的な流れ
- 6-1. FIRB(外資投資審議会)の許可
- 6-1-1. FIRBからの許可の取り付け手順
- 6-1-2. FIRBへの申請に必要な書類
- 6-2. 手付金を入れて不動産を押さえる
- 6-3. 売買契約を結ぶ
- 7. 融資を組むことはできるのか?
- 7-1. 頭金はどれぐらい必要か?
- 7-2. 融資申請の時期
- 7-3. 金融機関での口座開設方法
- 8. 必要な費用
- 8-1. 印紙税
- 8-2. 仲介手数料
- 8-3. その他費用
- 9. 物件の探し方
- 9-1. オーストラリアのマーケットはオープン?
- 9-2. 物件の探し方
- 9-3. 内見手配に関して
- 10. 最後に
1. オーストラリアの概要
まずは簡単にオーストラリアの概要についてお伝えさせていただきます。
1-1. 6つの州
オーストラリアは6つの州からできています。首都のキャンベラと国内最大の都市であるシドニーがあるのがニューサウスウェールズ州、
度々住みやすい町ランキングで1位を獲得するメルボルンはビクトリア州にあります。
オーストラリアでは弁護士や不動産業を営むには州の許可が必要なのですが、全ての州で仕事をしようとするのであれば、それぞれの州のライセンスを取得する必要があります。
1-2. 人口
次にオーストラリアの人口について見ていきましょう。
まずは、国としての人口の推移をご覧ください。1980年から毎年人口が増加を続けていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
出典:IMF world economic outlook database
次に、州別の人口とその増加率について見ていきましょう。以下の表を見て頂くと分かる通り、ニューサウスウェールズ、ビクトリア、クイーンズランドの3つの州でオーストラリアの全人口の約7割を占めています。
州名 | 代表的な都市 | 人口(百万人) | 前年からの増加率 |
ニューサウスウェールズ | シドニー | 7.6 | 1.4% |
ビクトリア | メルボルン | 6.0 | 1.7% |
クイーンズランド | ブリスベン | 4.8 | 1.2% |
サウスオーストラリア | アデレード | 1.7 | 0.7% |
ウェスタンオーストラリア | パース | 2.6 | 1.3% |
タスマニア | 0.5 | 0.4% | |
ノーザンテリトリー | ダーウィン | 0.2 | 0.3% |
オーストラリア首都特別区 | 0.4 | 1.4% |
出典:3101.0 Australian Demographic Statictics, Sep 2015
1-3. 経済成長率
次にオーストラリアの経済成長率についてお伝えさせていただきます。
1980年から2015年(2015年は予想値)の日本とオーストラリアのGDPの推移をまとめた以下のグラフをご覧ください。
出典:IMF world economic outlook database
また、過去25年及び過去15年のGDPの平均成長率をまとめた表が以下の通りです。ここで特筆するべきがオーストラリアの安定的な成長です。
リーマンショック後もプラスの成長を続けており、安定して国内の経済が発展していることがお分かりいただけるのではないかと思います。
国 | 過去25年平均成長率 | 過去15年平均成長率 |
日本 | 3.12% | 0.91% |
豪州 | 3.17% | 3.12% |
1-4. 産業構造
次に、オーストラリアの産業構造について見ていきましょう。産業別GDPの割合に関し、以下のグラフをご覧ください。
種別 | 産業 | 割合 |
1次産業 | 農林水産 | 2% |
2次産業 | 鉱業 | 9% |
建設 | 8% | |
3次産業 | 金融・保険 | 9% |
医療・社会扶助 | 7% | |
専門・科学・技術サービス | 6% | |
行政・国防 | 6% | |
教育・訓練 | 5% | |
運輸・郵便・倉庫 | 5% | |
小売り | 5% | |
その他 | 31% |
オーストラリアは資源国という印象が非常に強い国ですが、実はGDPに占める鉱山ビジネスの割合はそこまで高くありません。
堅調な人口の増加に裏打ちされた内需の拡大がオーストラリアの経済を支えているのです。
2. 不動産市況の現状
次に、オーストラリアの不動産市況の現状について見ていきましょう。今回は、人口が集中しているシドニー、メルボルン、ブリスベンを中心に紹介させていただきます。
2-1. 不動産価格の推移
まずは不動産価格の推移について見ていきましょう。
シドニー、メルボルン、ブリスベンの不動産価格の推移を示した以下のグラフをご参照下さい。
出典:Outline of Australia
各都市共に不動産の価格が堅調に伸びていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
2-2. 賃料の推移
次に、シドニー、メルボルン、ブリスベンの賃料の推移についてご紹介させていただきます。
戸建 |
ユニット | |||
平均賃料 | 前年比 | 平均賃料 | 前年比 | |
シドニー | $520 | 4.0% | $500 | 2.0% |
メルボルン | $380 | 0.0% | $360 | 2.9% |
ブリスベン | $400 | 0.0% | $370 | ▲1.3% |
ブリスベンでのユニットで若干の賃料の下落が見受けられますが、総じて堅調に伸びているということができます。
3. シドニーのエリアを分析
ここからは、オーストラリア最大の都市であるシドニーを例に、より詳細な地域に絞り込んだ上でエリアの分析を進めていこうと思います。
3-1. エリア毎の特徴
ここからは更にエリアを絞り込み、新宿や渋谷といった細かい地域毎の特徴についてお伝えさせていただきます。
3-1-1. シティ
シティはシドニーの中心地です。有名なオペラハウスもシティに位置しています。
高層ビルが建ち並んでおり、町は常に人でにぎわっています。ここで簡単にシティの街並みについて写真と共に紹介させていただきます。
シティは土地も限られているため、非常に物件の価格が高くなっています。
3-1-2. ボンダイジャンクション
ボンダイジャンクションはシティの東部にある駅です。
ボンダイジャンクションから車で数分走ることでボンダイビーチというビーチに行くことができます。
日本で言えば成城のような閑静な住宅街というイメージです。シドニーの中でも人気のエリアの一つであり、不動産の価格も上昇しています。
駅前の様子と住宅街の様子をご紹介させていただきます。
3-1-3. マスコット
マスコットはシドニー空港から一駅の場所にある住宅地です。
シドニー空港からシティまでは電車で10分程度ですので、空港と町の距離が非常に近いことが特徴です。
昔から工業地帯として発展してきた場所ですが、近年は住宅価格の上昇に伴い、マンションが複数建築されています。
シティまでも電車で10分未満でいくことができますので、今後人気が増していくものと考えられます。
3-2. 現在開発中のプロジェクト
次に、現在開発が進んでいるプロジェクトについてお伝えさせていただきます。
3-2-1. 鉄道
現在オーストラリアでは大規模な鉄道の伸長計画が実施されています。以下の図をご覧ください。
シドニー中心地はCentral駅周辺ですが、そこからかなり広い範囲にわたって鉄道の拡張が行われていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
出典:Sydney metro
3-2-2. 道路
次に、道路の拡張計画について見ていきましょう。シドニーでは様々な場所で道路の拡張工事が行われていますが、大規模な拡張計画という観点でピックアップさせていただきました。
以下の図をご覧ください。電車と道路を繋げ、新しい移動方法を確立させるようにプロジェクトが進められていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
出典:Westconnex.com.au
4. オーストラリアの不動産の間取り・内装をご紹介
オーストラリアの不動産市況や町の現状について見てきましたが、ここからはオーストラリアの不動産の間取りについて写真とともにご紹介させていただきます。
4-1. マンション
最初にマンションの間取り・内装についてご紹介させていただきます。シドニー中心部にある1LDKの部屋です。
4-2. 戸建て
次に戸建住宅の間取りについてご紹介させていただきます。今回ご紹介させていただくのは、ブリスベン近くのゴールドコーストという場所にある一戸建ての家です。
オーストラリアでは家族のだんらんを非常に重要視する傾向がありますので、リビングが広いのが特徴的です。
5. 外国人が不動産を購入することができるのか
オーストラリアの概要及びオーストラリアの不動産市況について理解していただいた上で、ここからは具体的にどうやって不動産を購入すれば良いのかという点についてご紹介させていただきます。
5-1. 非居住者でも買うことができるのか?
日本にいながら不動産を購入しようとする人は、「非居住者」となります。
つまり、日本にいながら不動産を購入する場合、「非居住者」として不動産を購入することになります。
国によっては「居住者」でなければ不動産を購入することができないことも多いですが、オーストラリアでは非居住者でも不動産を購入することが可能です。
5-2. 非居住者が購入することができる不動産
次に、非居住者が購入することができる不動産について紹介させていただきます。
オーストラリアにおいて非居住者が購入することができる不動産は、「新築」の不動産です。
もう少し具体的な整理としては、①現在建築中の家、②既に完成しているが12か月間誰も住んでいない家が対象となります。
この背景としては、投資資金の流入による不動産バブルを防ぐという国の狙いがあります。
ただし、地域によっては特別区という場所が決められており、その場所では非居住者であっても不動産を購入することが可能です。
6. 不動産購入までの具体的な流れ
ここからは不動産購入までの具体的な流れについてご紹介させていただきます。ここでご紹介させていただく内容は、非居住者が購入することができる新築物件の場合を前提としてお伝えさせていただきます。
6-1. FIRB(外資投資審議会)の許可
オーストラリアで不動産を購入するために必要なステップとして、FIRBの許可を取り付けるということが挙げられます。
FIRBとは、Foreign Investment Review Boardの略で、日本語では外資投資審議会と言います。
6-1-1. FIRBからの許可の取り付け手順
インターネット上から申請をすることが可能です。
申請フォームにつきましては、以下のリンク先をご参照下さい。
なお、このFIRBの許可はディベロッパーが行っている場合もありますので、許可取り付け済みかどうかは個別に仲介会社にご相談下さい。
6-1-2. FIRBへの申請に必要な費用
次に、FIRBに申請するために必要な費用についてご紹介させていただきます。
この費用は申請のために必要な費用ですので、許可がおりなかった場合でも返金されることはないという点に注意する必要があります。
ただし、難しい条件はありませんので、申請をすれば基本的には許可を取得することが可能です。
内容 | 費用 |
$1Million 以下 | $5,000 |
$1Million – $2Milioon | $10,000 |
その後$1Million毎 | $10,000 |
6-2. 手付金を入れて不動産を押さえる
FIRBからの許可の取り付け後、または取り付け前にまず行うのが手付金を支払って不動産を押さえることです。
手付金の制度は法律上定まっているわけではありませんが、一般的な慣習として行われているものです。
基本的に手付金はFIRBの許可がおりなかった場合や、売買契約締結に至らなかった場合は戻ってきますが、仲介会社によってルールが異なる場合がありますので、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
6-3. 売買契約を結ぶ
FiRBからの許可を取り付ることができれば、契約を結ぶことが可能です。
契約を結ぶことによって売手と買手の双方に契約上の義務が発生します。
売買契約締結の前には弁護士から契約書の内容について説明を受ける必要があります。
日本では宅建業者が契約書の内容を説明しますが、オーストラリアは契約社会ですので、契約のスペシャリストである弁護士が契約書の説明を行うのです。
7. 融資を組むことはできるのか?
次に、オーストラリアで不動産を購入する際の融資付けの進め方についてお伝えさせていただきます。
一般的には非居住者に対して融資をすることはほとんどないのですが、オーストラリアでは非居住者であっても融資付けすることが可能です。
ここからは、融資の条件と、融資を組むためのステップについてお伝えさせていただきます。
7-1. 頭金はどれぐらい必要か?
まずは頭金がどれぐらい必要なのかという点についてご紹介させていただきます。
オーストラリアでは居住用の不動産と投資用不動産で融資上の扱いが異なることはなく、投資商品として扱われることが一般的です。
そして、銀行がどれほどの頭金を要求してくるのかという点に関しては、マーケットの状況などによっても異なってきます。
例えば、シドニーの場合、2016年4月時点では概ね30%は頭金が必要と考えておくべきです。
このように記載するとオーストラリアでの不動産購入メリットがないと思われる方もいるかもしれませんが、オーストラリア金融が非常に発達しており、やり方次第では頭金を出さずに不動産を購入することもできます。この情報は秘匿性が高いのでこのコラムではお伝えできませんが、別途セミナーなどでお伝えさせていただく予定です。
7-2. 融資申請の時期
上記で頭金が30%はあった方が良いとお伝えしましたが、この金額はオーストラリアで不動産を購入する際の融資のタイミングと深く関係しています。
非居住者が購入することができる不動産は基本的に建築中の新築物件に限られますが、オーストラリアの銀行は完成前の不動産に対して融資の内諾を出しません。
建築中の不動産は銀行としても担保価値を計算することができないからです。つまり、売買契約締結時に融資の内諾を取ることはできないのです。
マーケットが上がれば必要とされる頭金は少なくなり、マーケットが下がれば必要とされる頭金は多くなります。そういった意味で、安全に投資を進めるためにも頭金(自己資金)を30%は準備しておいた方が良いのです。
7-3. 金融機関での口座開設方法
オーストラリアでは比較的簡単に銀行口座を開設することが可能です。非居住者による口座開設は年々厳しくなってきておりますので、今後購入を検討されている方は早いタイミングで口座開設されることをお勧め致します。
2016年4月時点で口座開設に必要な書類は以下の通りです。
- 飛行機の搭乗券
- 運転免許証、国際免許証
- 初回入金に必要なお金
上記書類を持ち、銀行に訪問すればすぐに口座を開設することが可能です。
弊社では日本語を話すことができる現地の銀行員をご紹介させていただくことも可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います。
8. 必要な費用
次に、オーストラリアで不動産を購入する際に発生する費用について紹介させていただきます。
オーストラリアで不動産を購入する際に発生する費用は以下の通りです。概ね物件価格の5%前後の費用が発生すると考えていただければ良いです。
8-1. 印紙税
印紙税は日本でも発生しますが、オーストラリアでの不動産購入における印紙税の金額は非常に高いのが特徴です。
印紙税の金額は州によって異なりますが、概ね物件価格の3.5%~4.5%ほどと考えていただければ良いです。
8-2. 仲介手数料
オーストラリアでは一般的に買主は仲介手数料を払いません。これは逆の考え方をすると、仲介会社は売主側のエージェントとして動くことになりますので、しっかりと信頼することができる不動産会社を見つけることが極めて重要です。
また、日本から不動産を購入する場合は、オーストラリア国内の住民が購入する場合と比べて手続きがややこしくなりますので、その分としてコンサルティングフィーを払うことが一般的です。
8-3. その他費用
上記に加え、弁護士費用、ローン申し込み手数料、物件査定費用、モーゲージブローカーへの報酬、証明書取得費などの費用が発生しますが、上記2つの費用と比べると割安ですので、詳細な金額については割愛させて頂きます。
9. 物件の探し方
最後に、オーストラリアでの物件の探し方についてご紹介させていただきます。
9-1. オーストラリアの不動産マーケットはオープン?
オーストラリアでは不動産の売買に関連する情報は政府に報告をする義務があります。つまり、情報の透明性が非常に高いということができます。
しかし、実際には日本と同じように物件情報が表に出る場合と水面下で物件の情報が流れていることが一般的なのです。
なぜかというと、政府に報告する義務がある一方で、報告するべき内容は「秘密」とすることができるからです。日本の不動産マーケットと概ね同じと考えていただければ良いでしょう。
9-2. 物件の探し方
上記を踏まえ、具体的にどうやって不動産を探していけば良いのかという点についてお伝えさせていただきます。
オーストラリアでの不動産の探し方は、①インターネットを活用して調べる、②現地の不動産会社に訪問の上、表に出ていない情報を紹介してもらうという2点が考えられます。
オーストラリアの不動産を紹介している会社を何社かご紹介させていただきます。
1. australia realestate.com.au
2. LJ hooker
9-3. 内見手配に関して
希望する物件が見つかった場合、仲介会社に対して内見の依頼を行いますが、オーストラリアの場合は内見に費用が発生する場合がありますので、事前にしっかりと確認をするようにしましょう。
10. 最後に
オーストラリアでの不動産の購入方法についてご紹介させていただきました。人口の増加を背景として今後も順調な成長が見込まれるオーストラリア。
日本以外のポートフォリオの形成として、オーストラリアでの不動産の購入の一助となれば幸いです。