• 不動産売却時に発生する税金の控除措置で知っておくべきポイント – 売主のミカタ

    不動産売却時に発生する税金の控除措置で知っておくべきポイント

    税金のイメージ

    不動産の売却を検討するにあたっては、やはり税金の金額をできるだけ少なくしたいですよね。

    特に日本は住宅の購入を強く後押ししており、非常に多くの控除措置がありますので、どういった制度があるのかという点は頭にしっかりと入れておきたところ。

    そこで今回は、不動産を売った場合に発生する税額を減らす制度の内容について説明させていただきます。

    1. 払うべき税金の計算方法を知る

    まずは、不動産を売った場合にどういった税金が発生するのかという点について理解しておきましょう。

    不動産を売った場合に発生する税金は、別途コラムにまとめさせていただきますので、払わなければいけない税金の金額正確に知りたい方は参考にしていただければと思います。

    2. 税金を減らす上での2つのパターンを整理する

    上記1.でご紹介させていただいたのが控除措置を除いた純粋な税額となります。

    日本ではマイホームという言葉が浸透しているように、家を購入することは非常に一般的です。政府としてもマイホームや不動産の購入の後押しができるよう、数多くの控除措置が決められています。ここからは具体的にどういった控除措置があるのかという点についてお伝えさせて頂きます。

    減税措置の内容については、大きく分けて2つの種類があります。

    一つ目が、税金の金額を減らすパターン。そしてもう一つが税率を減らすパターンです。

    どちらも納税額を減らすという意味では同じなのですが、この違いを把握しておいた方がしっかりとした理解につながりますので、この場で紹介をさせていただきます。それぞれの場合について、図と共に理解していきましょう。

    2-1. 税額を減らすパターン

    まずは、税額(税金の金額)を減らすパターンです。税額を減らすということがどういうことか、以下のイメージを参考にしていただければと思います。

    税額控除のイメージ

    2-2. 税率が小さくなるパターン

    次に、税率が小さくなるパターンです。税率が小さくなるということのイメージについては、以下の図を参考にしていただければと思います。

    税率低減のイメージ

    3. 税金の金額を減らす措置

    上記で減額の具体的な形を2種類紹介させていただきました。ここからは、それぞれの場合においてどういった制度があるのかという点について見ていきましょう。

    まずは、税額控除のパターンについてです。上記で紹介させていただいた図を常に意識しながらそれぞれの説明を見ていくと、イメージが湧きやすいと思います。

    3-1. 3,000万円控除

    正確には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と言いますが、少し長いですので、ここからは3,000万円控除という形で説明させていただきます。

    3-1-1. 内容

    その名の通り、納めるべき税金の金額から3,000万円を引くことができる制度です。以下に図を載せさせていただきましたので、参考にしていただければと思います。

    3,000万円控除のイメージ

    3-1-2. 条件

    3,000万円控除を適用するための条件は以下の通りです。イメージを湧きやすくするため、図と共に説明させていただきます。

    ①売却する家が”居住用”であること

    居住か非居住か

    基本的にはこれだけです。マイホームを売った場合は基本的に適用することができるという意味では、非常に使い勝手が良い制度と言うことができるでしょう。

    又、他にも細かいルールがありますが、当てはまる方はあまり多くないと思いますので、簡単に記載させていただきます。

    • 以前に住んでいた家を売る場合には、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること
    • 売った年の前年及び前々年にこの特例を含む控除特例を受けていないこと
    • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

    3-2. 5,000万円控除

    次に、5,000万円が控除される制度について見ていきましょう。

    この制度は、正しくは”公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例”と言います。

    3-2-1. 内容

    その名の通り、おさめるべき税金の金額から5,000万円を控除することができる制度です。

    5,000万円控除のイメージ

    3-2-2. 条件

    5,000万円控除を受けるための条件は以下の通りです。

    ①収用権が認められている公共事業のために土地建物を売ること

    収用権のイメージ

    収用とは、国が強制的に土地や建物を買い取る制度のことです。少し表現は悪いですが、国が強引に土地や建物を売らせたのだから、その分税金は減らしてあげよう。という考え方です。

    上記以外におさえておくべきポイントも合わせて記載させていただきます。

    • 買取等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること
    • 売った土地建物は固定資産であること。

    また、この制度を適用するためには更に知っておくべき細かい規定があり、詳細な条件についてしっかりと確認をしたい方は、以下国税庁のホームページを参考にしていただければと思います。

    国税庁:収用等により土地建物を売ったときの特例

    4. 税率を減らす措置

    次に、軽減税率の措置について見ていきましょう。

    4-1. 10年保有の軽減措置

    まずは、10年保有の軽減措置です。正確には”マイホームを売ったときの軽減税率の特例”と言います。

    4-1-1. 内容

    売却益に対して課される税率を下げることができます。以下にイメージを載せさせていただきます。

    税率低減のイメージ

    税率に関しては、以下の表に基づいて決定されます。

    譲渡所得(利益) 税率
    ~6,000万円 利益 x 10%
    6,000万円超 (利益-6,000万円)×15%+600万円

    表だと少し分かりづらいですので、譲渡所得に応じて納税額がどう変化していくのか、以下のグラフも合わせ参考にしていただければと思います。

    軽減税率の特例、税額のイメージ

    4-1-2. 条件

    条件は以下の通りです。

    ①居住している家であること

    居住か非居住か

    ②売却した年の1月1日時点で10年以上住んでいること

    軽減税率の特例、適用の条件

    上記に加え必要とされる細かい条件について下記させていただきます。

    • 住まなくなった家を売る場合、すまなくなってから3年目の年の12月31日までに売ること
    • 売った年の前年及び全前年にこの特例を受けていないこと
    • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

    5. その他(繰り延べ措置)

    上記3.4.と少し質が異なる内容として、繰り延べ措置という内容があります。知っておいた方が良い制度ですので、この場で紹介させていただきます。

    5-1. 高い家に買い替えた場合の特例

    高い家に買い替えた場合において、納める税金を先延ばしできる制度が準備されています。この制度は正確には”特定のマイホームを買い替えた場合の特例”と言います。

    5-1-1. 内容

    上記の通り、税金を先延ばしすることができる制度です。簡単に図で説明させていただきます。

    課税の繰り延べのイメージ

    上記の通り、家を買い換えた時に利益が出ても、課税は買い換えた家を売った時に先送りすることができるという制度です。

    5-1-2. 条件

    次に、この制度を適用するための条件についてお伝えさせていただきます。

    ①居住用の家であること

    居住か非居住か

    ②売却した年の1月1日時点で保有期間が10年を超えていること

    課税繰り延べの特例、適用の条件

    ③売却代金が1億円以下であること。

    ④買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること。

    その他細かい条件につきましては、国税庁のホームページを参考にしていただければと思います。

    国税庁HP : 特定のマイホームを買い換えた場合の特例

    6. 知っておくと得をする情報

    ここまで何種類かの減額措置についてお伝えさせていただいてきました。

    これらの制度の中で、知っておくと得をする情報がありますので、ここでその情報を紹介させていただきます。

    6-1. 3,000万円控除と10年保有の軽減措置は一緒に適用することが可能

    まず知っておいていただきたい点として、3,000万円控除と10年保有の軽減措置は合わせて適用することが可能ということが挙げられます。

    基本的には納める税金の金額を減らすということは重ねて適用することができないのですが、3,000万円控除と10年保有の軽減措置は一緒に適用することが可能なのです。

    6-2. 住宅ローン控除を使うと、3,000万円控除は適用できない

    次に、住宅ローン控除制度についてもご紹介させていただきます。

    住宅ローン控除とは年末時点のローンの残高の1%分が返ってくるという制度です。つまり、実質的に金利が1%低くなると考えていただければと思います。

    住宅ローン減税のイメージ

    ここで知っておいていただきたいことは、不動産購入後、住宅ローン控除を選択すると3,000万円控除を適用することができなくなってしまうという点です。

    だからこそ、事前にしっかりとシミュレーションを行い、どちらを選択するべきかしっかりと整理するようにしましょう。

    6-2-1. どういった場合に住宅ローン控除を選択するべきか

    ここから、具体的にどういった場合に住宅ローン控除制度を選択するべきかという点についてお伝えさせていただきます。

    住宅ローン減税を適用した場合と、3,000万円の税金の減額のどちらが得になるのかを表にまとめましたので参考にしていただければと思います。

    住宅ローンの減税の場合は、いくら借り入れをしたのか。そして、3,000万円控除の場合は売却時の利益がいくらかを変数として、それぞれの場合について表にまとめさせていただいております。

    住宅ローン減税と3,000万円控除、どちらが得か

    保有してすぐに売った場合は住宅ローン減税による節税効果が取れないですが、保有期間が長くなるにつれて住宅ローン減税による税金の返還額が大きくなっていくことがお分かりいただけるのではないかと思います。

    どういった場合にどちらの方が得になるのか、上の図で何となくのイメージを持っていただければと思います。

    7. 上記以外の減額内容を紹介

    普通に生活をされている中で適用される期間が少ないということから、細かい説明は割愛させていただきますが、上記で紹介させて頂いた措置に加え、他にも何種類か減額・低減措置がありますので、この場でご紹介させていただきます。

    7-1. 譲渡所得の特別控除の種類

    まずは、税額を減らすことができる制度に関してです。

    ここで紹介させていただく内容は、マイホームの売却でなくても当てはまるという点に注意しましょう。

    • 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
    • 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
    • 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
    • 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例

    これらの条件の詳細を知りたい方は、国税庁のHPを参考にしていただければと思います。

    国税庁:譲渡所得の特別控除の種類

    7-2. マイホームを売却した場合に適用されるその他特別な税制

    日本ではとりわけマイホームを購入することが一般的とされていますが、そのあと押しとして数多くの制度が準備されています。

    あまり使う機会はないかもしれませんが、その内容についてご紹介させていただきます。

    • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

    この制度の詳細を知りたい方は、国税庁のHPを参考にしていただければと思います。

    国税庁:特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例

    8. 最後に

    不動産売却時に発生する税金を減らす減額措置の内容と、その他知っておくべきポイントについてお伝えさせていただきました。

    このコラムが税金の支払額を減らす上での一助となれば幸いです。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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