サラリーマンで不動産収入がある場合の確定申告の手続き全て

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サラリーマンが不動産を買った際の確定申告

確定申告、サラリーマンをしていると中々馴染みがない言葉ですが、個人事業主や法人であれば必ず行っている手続きです。

そして、事業用であっても持家であっても家を誰かに貸すことによって賃料収入を得た場合、基本的に確定申告を行わなければいけません。

しかし、いざ確定申告をやろうと思ってもどこから取り掛かれば良いのか分かりませんよね。そこで今回は、サラリーマンが不動産収入を得た場合の確定申告の手続きを詳細に説明させて頂きます。

1. 不動産を購入。まず何をしなければいけないのか?

不動産を購入することが決まりました。すぐにその家に住むつもりはなく、誰かにその家を貸す予定です。この場合、購入後にまずやらなければいけないことについて説明させて頂きます。

1-1. 開業届の提出

不動産購入後、まずやらなければいけないことは、開業届を税務署に提出することです。

開業届

開業届

新たに不動産所得を生ずべき事業を開始したら、開業届を税務署に提出する必要しなければいけません。不動産投資の場合は、不動産の引き渡しが完了した日、すなわち不動産の引渡日から1月以内に開業届を居住地の最寄りの税務署に提出する必要があります。(購入した不動産が存する地域ではないことに注意しましょう。)

開業届を提出しなかった場合のペナルティはありませんが、賃貸経営上、開業届を出さないことによるメリットはありません。強いて言えば手間が省けることぐらいです。

個人事業主であれば立派な経営者ですから、提出が義務付けられている開業届は遅れることなく提出するようにしましょう。

開業届はのリンク先はコチラ

2. 確定申告が必要か判断する

開業届を提出したら、次に確定申告が本当に必要かどうかという点について確認していきましょう。

2-1. 確定申告が必要な人

確定申告は1月1日から12月31日までの所得20万円を超えた場合に必要となります。

つまり、儲けが少しだけであれば、確定申告を行う必要はありません。

例えば、自営業者で1月1日から12月31日まで間に150万円で材料を仕入れ、160万円で販売をしたとします。この場合、確定申告は必要なのでしょうか?

この場合、確定申告をする必要はありません。なぜなら、この自営業者の所得は160 – 150 = 10万円となり、所得が20万円にならないからです。

確定申告が必要となる条件

この点は意外と勘違いしやすいので注意するようにしましょう。不動産投資においては、不動産収入から経費を引いた金額が20万円を下回れば確定申告の必要はないのです。

開業届を出したばかりのタイミングではその年の所得額を判断するのは難しいと思いますが、ざっくりとした計算で確定申告が必要か判断しましょう。

ちなみに、私は所得の計算上確定申告が不要であっても確定申告はやるべきと考えています(理由は後述します。)

*上記はサラリーマンの場合であり、事業所得のみ(専業大家)の場合は所得が38万円以下であれば確定申告がいらないという点に注意しましょう。

3. 開業から確定申告の時期までにやっておくこと

開業後、不動産事業にまつわる収入・支出に関する領収書等を保存しておきましょう。

不動産にまつわる経費に関しては不動産投資における経費の全てというコラムで紹介させていただいておりますので、参考にして頂ければと思います。

経費にならないと思われるような意外な項目も費用として認識できる場合がありますので、不安であれば全ての領収書を保存しておいた方が良いと思います。

4. 確定申告書を作成する

開業届を提出し、領収書が手元にあれば確定申告書を作成することができます。ここから確定申告書の具体的な作成方法について説明させていただきます。

確定申告書はサラリーマン用の確定申告書Aとその他の所得がある事業者用の確定申告書Bがあります。

確定申告書Aは給与収入(所得ではなく、額面)が2,000万円を超える方向けの書類であり、不動産からの収入がある方は確定申告書Bを使います。

また、確定申告において必要とされる書類は白色申告を行う場合と青色申告を行う場合で異なります。白色申告と青色申告の違い等については7.に記載しておりますのでご参照頂ければと思います。

4-1. 確定申告書をダウンロード

早速確定申告書をダウンロードしましょう。確定申告書は国税庁のHPからダウンロードすることができます。本コラムでは確定申告に必要な書類のリンク先も紹介させていただいておりますのでご安心下さい。

白色申告の場合と青色申告の場合に必要とされる書類をリンク先と共に紹介させて頂きます。

4-1-1. 白色申告

白色申告を行う場合に必要とされる書類は以下の通りです。

①確定申告書B

 (第一表、第二表、添付書類台紙の3枚です。)

確定申告書/第1表

確定申告書B

 

確定申告書/第2表

確定申告書B、第2表

 

確定申告書/添付書類台紙

確定申告書B、添付

確定申告書Bのダウンロードはコチラ

 

②収支内訳書

 (収支内訳書と減価償却明細の2枚です。)

収支内訳書

収支内訳書

 

減価償却明細

減価償却明細

収支内訳書のダウンロードはコチラ

4-1-2. 青色申告

①確定申告書B

 (第一表、第二表、添付書類台紙の3枚です。白色申告の場合と同じ書類ですので表示は割愛させて頂きます。)

②青色申告決算書

 (損益計算書、損益計算書内訳、減価償却明細、貸借対照表の4枚です。)

損益計算書

損益計算書

 

損益計算書内訳

損益計算書内訳

 

減価償却明細

減価償却明細

 

貸借対照表

貸借対照表

青色申告決算書のダウンロードはコチラ

4-2. 確定申告書への記載

書類を準備することができたので、早速確定申告書への記入を進めていきましょう。

4-2-1. 確定申告書B(第1表)への記載

まずは白色申告でも青色申告でも必要となる確定申告書Bへの具体的な記載方法をご紹介させて頂きます。

まずはイメージでどこに何が入るのかという感覚をつかみましょう。右側は左側の数字に基づいて税額を計算をする欄ですので、左側を埋めることができれば確定申告を完成させることが可能です。

確定申告書Bのイメージ

実際に確定申告書Bを埋めるため、源泉徴収票と不動産経営にかかる領収書を準備しましょう。

①源泉徴収票からの転記

まずは源泉徴収票の記載内容を確定申告書Bに転記しましょう。転記の具体的な場所に関しては以下の図をご参照下さい。

確定申告書Bと源泉徴収票

なお、所得控除の内訳に関しては、配偶者控除や医療費控除、地震保険控除などの控除が発生する可能性があることに留意頂ければと思います。(そのような控除がある場合、基本的に源泉徴収票に記載されますので、源泉徴収票と確定申告書Bで同じ記載がある欄に数字を記入すれば良いです。)

また、源泉徴収票にはサラリーマン全員適用できる38万円控除が記載されていない点にも合わせ注意するようにしましょう。

②不動産所得からの経費

次に、不動産から得た収入および所得を確定申告書Bに記載しましょう。運営上の経費は細かい集計が必要ですが、結局は家賃収入と収入から経費を引いた金額の2項目を確定申告書Bに記載します。

不動産所得の確定申告書Bへの転記

③納税額の計算

給与所得と不動産所得を確定申告書Bに記載したら、次に納税額を計算しましょう。

確定申告書B、納税額の計算

今までの計算で控除後の所得が計算できていますので、その所得額に以下の計算式をあてはめ、納税額を出します。

所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超、330万円以下 10% 9.75万円
330万円超、695万円以下 20% 42.75万円
695万円超、900万円以下 23% 63.6万円
900万円超、1,800万円以下 33% 153,6万円
1,800万円超、4,000万円以下 40% 279.6万円
4,000万円超 45% 479.6万円

納税額を出したら、すでに会社が支払っている源泉徴収分納税額から差し引き、あなたが税務署に払わなければいけない納税額を算出しましょう。

4-2-2. 確定申告書B(第2表)への記載

次に確定申告書Bの第2表に必要事項を記載していきましょう。

基本的には源泉徴収票があれば必要事項を埋めることができます。

確定申告書B、第2表への記載

なお、確定申告書B(第1表)と同様、配偶者控除や医療費控除、地震保険控除などが発生する方もいらっしゃると思います。上記は生命保険料と社会保険のみが所得控除対象であるという点に注意して頂ければと思います。

4-2-3. 確定申告書B(添付書類台紙)への記載

次に、確定申告に関係する書類を添付書類台紙に貼り付けましょう。ここに貼り付けた書類は所得から控除されたことを証明する書類ですので、ここに関係する書類を貼ることができなかった場合、控除を受けることができなくなってしまうかもしれませんので書類はしっかりと保管しておくようにしましょう。

4-2-4. 収支計算書(白色申告)

収支計算書は損益計算書を簡素にしたものですが、実際の記載内容は損益計算書の内容とほとんど変わりません。

また、収支計算書の記載方法は簿記の範囲にて、今回の説明では割愛させて頂きます。

必要事項を埋めた収支計算書のサンプルを以下に付けさせて頂きますので、ご参照頂ければと思います。

収支内訳書、記載例

収支内訳書

4-2-5. 減価償却明細(白色申告・青色申告)

減価償却明細には保有している資産の減価償却の状況について記載します。まずは記載済みの明細書を以下紹介させていただきます。

減価償却詳細、記載例

減価償却詳細

各項目の具体的な記載方法に関しては以下の表をご参照ください。

項目 記載内容
減価償却資産の名称等 マンション名または構造を記載
面積または数量 延床面積または戸数を記載
取得年月 購入した月を記載
取得価額 資産計上した額含め、建物の簿価を記載
償却の基礎になる金額 上記と同額を記載
償却方法 定額を記載(建物は定額償却のみ)
耐用年数 税法上の規定に基づく耐用年数を記載
償却率または改定償却率 1年あたりの償却割合を記載
本年中の償却期間 取得月から12月までの月数を記載
本年分の普通償却額 償却率と償却年から計算した金額を記載
割り増し償却額 記載しない
本年分の償却費合計 本年分の普通償却額と同額を記載
貸付割合 自己保有の場合、その割合を控除した貸付割合を記載
本年分の必要経費参入額 普通償却額に貸付割合を乗じた金額を記載
未償却残高 年初の簿価から本年度の償却額を引いた金額を記載

4-2-6. 損益計算書(青色申告)

損益計算書は収支計算書と同様、簿記の範囲にて、今回の説明では割愛させて頂きます。

必要事項を埋めた損益計算書のサンプルを以下に付けさせて頂きますので、ご参照頂ければと思います。

損益計算書、記載例

損益計算書

4-2-7. 損益計算書詳細(青色申告)

損益計算書詳細は収支計算書の一部分を記載するものにて、損益計算書と同様、説明は割愛させて頂きます。

必要事項を埋めた損益計算書詳細のサンプルをいかに付けさせて頂きますので、ご参照頂ければと思います。

損益計算書、記載例

損益計算書明細

4-2-8. 貸借対照表(青色申告)

貸借対照表は収支計算書、損益計算書と同様、記載方法は完全に簿記の範囲にて、今回の説明では割愛させて頂きます。

必要事項を埋めた貸借対照表のサンプルを以下に付けさせて頂きますので、ご参照頂ければと思います。

貸借対照表、記載例

貸借対照表

5. 税務署に書類を提出する

確定申告書の作成が終わったら、対象年月の翌年の3月15日までに税務署に関連書類一式を書類を提出しましょう。

なお、提出方法は書面での提出とネットでの提出方法がありますので、それぞれの場合における提出方法について説明させて頂きます。

5-1. 書面での提出

結論としては書類を提出するだけですので特段問題はありませんが、以下の点を意識しておくと良いと思います。

5-1-1. コピーを1部準備しておくこと

これは意外に知られていないのですが、税務署に提出した書類は返ってきませんので、1部だけ提出した場合、確定申告が完了したかどうかを証明することができなくなってしまいます。

厳密には、確定申告書に税務署の判子がないので、後日銀行などに確定申告書のコピーを提出する場合、その書類が本当に税務署に提出したものかどうか分からなくなってしまうのです。

そこで、確定申告書を提出する場合にはコピーを準備しておくようにしましょう。そうすると、税務署の職員の方がコピーに判子を押してくれます。

5-1-2. 直前の提出は避けること

やはり確定申告の提出直前は大変混み合います。特に、税務書職員への相談コーナーはかなり混雑しますので、早い段階で書類を作成・提出することを心がけるようにしましょう。

提出直前の2~3日が最も込み合いますが、それ以外であれば比較的空いてますので、税務署の職員に税額計算が合っているか確認して貰うこともできます。

5-2. ネットからの提出

ネットからの提出には少し作業が必要です。

ネットから確定申告書を提出すると、3,000円分を納税額から控除することができるというメリットがありますが、個人的には書面を税務署に持っていったほうが良いと考えています。

なぜなら、納税額が正しいかどうかをその場で確認することができるからです。

ネットで確定申告手続きを進めたい方は、以下リンク先の情報をご参照頂ければと思います。

確定申告を電子利用で行う(国税庁ホームページ)はコチラ

6. 税金を納める

税務署に書類を提出すると、同時に納税書を貰うことができます。これは郵便局に提出する支払い書のようなものです。納税書の金額部分は空白となっており、確定申告書に基づく納税額を納税書に記載の上、その紙を郵便局に持っていって納税を行います。

以下に納税所のサンプルを付けさせて頂きますのでご参照頂ければと思います。

納税書

確定申告は申告書を3月15日までに提出することが必要と思われている方が多数いらっしゃいますが、実際には3月15日までに納税を完了する必要があります。税務署では納税できませんので、この点もしっかりと意識されると良いと思います。

ここまでの作業が完了すれば、確定申告は完了です。次の年の確定申告に向け、改めて準備を始めましょう。

7. 白色申告と青色申告

ここからは、白色申告と青色申告の違いについて説明させて頂きます。

具体的には、開業届を出した後まずは全員白色申告を行う必要があり、ある条件を満たすことによって青色申告を行うことができるようになります。

経営の規模が大きくなることによって白帯から青帯に昇格するというイメージです。

白色申告と青色申告のイメージ

白色申告と青色申告

7-1. 青色申告を行うための条件

では、青色申告を行うためにはどれぐれい経営の規模を大きくすることが必要なのでしょうか?

青色申告を行うためには事業的規模であることが必要とされるのですが、不動産所得の場合、この事業的規模は10部屋とされています。

ただし、1戸建ての場合や駐車場は1部屋の換算方法が異なりますので、1部屋の定義について紹介させて頂きます。

  • 1戸建の場合は2部屋
  • 一棟マンション・アパートの場合は世帯数
  • 駐車場の場合は5区画

事業的規模とは

上記が1部屋の換算方法です。

現実問題としては、10世帯以上のアパート・マンションを購入することによって事業的規模になる方が多いのではないかと思います。

7-2. 青色申告の申請方法と具体的なメリット

次に、青色申告の申請方法について説明させて頂きます。

具体的な手続きは非常に簡単です。その手続き方法とは、事業的規模になった際にその年の確定申告のタイミングまでに青色申告承認申請書を提出すれば終わりです。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書のダウンロードはコチラ

書類名は「承認申請書」ですが、審査などはなく、書類を提出すれば完了します。

上記が完了すれば、その年の確定申告から青色申告を行うことが可能です。

7-2-1. メリット1 所得から65万円控除することができる

まず、青色申告を行うと65万円を所得から控除することができます。白色申告の場合は10万円控除ですので、55万円分の節税効果を見ることができます。

65万を所得から控除するというのは、65万円を経費として計上することであり、65万円納税額が減るということではない点に注意しましょう。

青色申告を行うと、所得の金額から10万円又は65万円を差し引くことができます。

白色申告と青色申告の所得控除

青色申告において控除額が10万円になるか65万円になるかの違いは、複式簿記で帳簿を付けるかどうかで変わってきます。複式簿記で帳簿を付けることによって65万円控除を行うことが可能となります。

7-2-2. メリット2 赤字を繰り越すことができる

さらに、青色申告をしている場合には赤字を3年間繰り越すことができます。

赤字を繰り越すということがどういうことなのかという点についてイメージと共に説明させて頂きます。

赤字の繰り越しの前に、損益通算について簡単に説明させて頂きます。損益通算とは、給与所得と不動産の所得を合計した上で納税額の計算を行うことを言います。

以下の図をご覧ください。

損益通算のイメージ

損益通算

上の図において、左側は黒字の場合、右側は赤字の場合を示しています。

黒字の場合は、給与所得と不動産所得を合算し、合計された所得から納税額を計算します。

一方、赤字の場合は、給与所得から不動産所得を引いた額に対して納税額が決定されます。実務においては給与所得に基づく納税は企業があなたの代わりに行いますので、企業は不動産事業の赤字を考慮することなく税金を税務署に払います。

そこで、不動産所得の赤字部分に関して確定申告を行うことにより、会社があなたに代わって払いすぎた税金が還付されるという仕組みです。

ここから赤字の繰り越しについて説明させて頂きます。以下の図をご覧ください。

赤字繰り越しのイメージ

赤字の繰り越し

上の図で1年目は不動産事業が大赤字になってしまい、給与所得以上の損が出てしまったとします。

一方、2年目は経営が安定し、大きな利益が出たとします。

損益通算とは、この場合において、1年目に発生した赤字(給与所得から不動産所得を引いた後のマイナス分)を翌年以降の所得から控除することができるという制度です。

不動産所得の赤字が給与所得以上になることはあまりないと思いますが、青色申告をしなければマイナス分を翌年に持ち越すことができないという点は意識しておきましょう。

8. その他知っておくと得すること

ここからは、確定申告を行うにあたって知っておくべき知識について紹介させて頂きます。

事業において、税金を納めるという事実以上の影響があるのが確定申告です。重要なポイントをしっかりと押さえるようにしましょう。

8-1. そもそも確定申告とは?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を確定させ、その金額を税務署に申告し、税金を納めることを言います。

国は全ての国民の収入・支出を把握することはできませんので、各自が自ら所得の額を確定させ、税務署に申告する必要があるのです。

8-2. 3月15日を過ぎてしまった場合や、申告漏れがあった場合、どうなってしまうのか?

確定申告の期限を過ぎてしまった場合や、税務署に納税していないことが見つかってしまった場合にはペナルティがあります。

これは、確定申告をしていなかったということに対してペナルティが課せられるのではなく、納めるべき税金を納めなかったこと(税の滞納)に対してペナルティが課されるという性質のものです。

具体的には、本来納めるべき税額に対して納めなかった額が50万円までであれば15%、50万円を超えた部分には20%分を追加の納税額として払わなければいけません。

加算税のイメージ(期限内に納税しなかった場合)

加算税のイメージ

ただし、これは税務署から指摘を受けた後に追加分を払う場合に適用されるものであり、自主的に申告した場合はこの上乗せ分が5%で済みます(犯罪時に自首すると罪が軽くなるのと同じですね)。

8-2-1. 重加算税以上の弊害

本来よりも多額の税金を払わされてしまうことによる負担は勿論ですが、現実問題として、納付期限までに確定申告を行わないことは税金のペナルティ以上の弊害があります。

それは、金融機関からの信頼です。確定申告を忘れる人=お金や法律に対する意識が低い人というレッテルを貼られてしまい、銀行からの融資を受けることが非常に難しくなってしまいますので、注意しましょう。

8-2-2. 納税額が少ないことがなぜばれてしまうのか?

ここで、国が全ての人の所得を把握することができない以上、少しぐらい所得を少なく見積もってもばれないだろう、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かに小さい金額であれば見つからないかもしれないですが(見つからないからといってごまかしてはいけません)、大きい金額であれば見つかる可能性が高くなります。なぜなら、所得を構成する儲けと費用は相対の関係にあるからです。

具体例で説明しましょう。AさんとBさんがいたと仮定します。BさんはAさんから200万円で材料を仕入れたとします。

その後、確定申告のタイミングでAさんはBさんに売った200万円の売上を認識しないまま確定申告をしてしまいました。

一方、Bさんはこの200万を費用として認識しないという可能性があるでしょうか?現実的にはその可能性はほとんどないはずです。

なぜなら、Bさんにとってその200万円は費用として認識すれば所得を減らすことができる、つまり、税務署に納める税金の金額を減らすことができるからです。

Bさんの確定申告書を見て、税務署は200万円の費用はAさんは収益として認識していないといけないと把握します。そしてAさんの確定申告書を確認してみたところ、この200万円の売上を計上していないことが分かってしまうのです。

売上と費用の関係

収入と費用の相関関係

このように、費用と収益は常に相対する関係であることを意識し、ごまかすことがないようにしましょう。

8-3. 所得が少ない場合、確定申告しない方が良い?した方が良い?

サラリーマンで年末調整を行っている方で所得が20万円以下の場合、確定申告を行う必要はないのですが、経営という観点から考えると確定申告をしておいた方が良いです。

なぜなら、確定申告書は銀行が融資の検討を行う際に必要とされる書類であり、確定申告書がない場合、銀行内部で共有するべきあなたの情報が減ってしまうからです。

確定申告は所得が20万円以下の場合に必要とされます。つまり、1,000万円の赤字の場合においても確定申告を行う必要はないのです。

だからこそ、銀行に不要な不安をあたえないためにも、確定申告は必ず行うようにしましょう。 

8-4. 会社に見つからずに確定申告を行うためには?

サラリーマンの方で不動産投資を行っている方は、会社には公言せずに不動産投資を行っている方がほとんどではないかと思います。できることなら会社には知られずに投資をやりたいですよね。そこで、不動産所得による確定申告を行った事実が会社に見つからないようにする方法を説明させていただきます。

まず、不動産等を行っていることがなぜ会社に見つかってしまうかもしれないのかという点について説明させて頂きます。

ポイントは「住民税の納付」にあります。

住民税とは、前年の所得に応じて払わなければいけない税金です。そして、その税率は概ね所得の10%です。

例えば、X1年の所得が1,000万円だった場合、住民税はX2年に100万円払います。そして、この住民税はサラリーマンの場合は会社が払ってくれますので、あなたは何もせずに住民税は納付されます。

住民税納付

一方、新しく不動産を購入し、不動産からも1,000万円の所得を得ることが出来たとしましょう。その場合、所得は2,000万円となり、住民税は200万円払う必要があります。

この場合、200万円の納税所が税務署から会社に送られます。会社の経理担当者はあなたへの給料が1,000万円であるにも関わらず住民税の請求が200万円であることを見て、あなたが何か副業をしているのではないかと気づくのです。

給与所得、不動産所得と住民税

この不動産所得に基づく納税は基本的に会社経由で行われますが、青色申告書内にある住民税の納付に関するチェックリストから「住民税を自分で納付する」という点にチェックを入れることによって自分で納税することが可能となります。

確定申告書、住民税を自分で納付

「住民税を自分で納付する」という点いチェックを入れると、住民税の納税所があなたの家に直接送られてきます。これで会社に見つからずに納税をすることができるようになるわけです。

住民税を自分で納付

 

一方、「自分で納付」をチェックすると、給与所得以外の所得に関し、あなた自身が住民全を支払うことができます。そうすると、会社の経理担当が見るのは1,000万円の給料に対応した100万円の住民税の請求ですので、何も怪しいことはありません。

9. 最後に

長いコラムを最後まで読んで頂きありがとうございました。不動産収入がある場合の確定申告に関し、少しでもイメージを固めて頂けたのであれば大変嬉しいです。

確定申告は早目の準備がものを言います。早い段階で所得の概算を計算することができれば、節税のための方策の範囲が広がるからです。

普段の仕事が忙しいとどうしても先送りになってしまいがちです、隙間時間でも良いので少しずつ確定申告の準備を進めるようにしましょう。

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