不動産査定の仕組みと、高値で売却するためのポイント

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不動産を売却するためには、その不動産がいくらぐらいで売れるのか、査定を行う必要があります。

そして、査定を行う際、プロでなければ不動産の査定を行うのは難しいと思われている方も多いのではないかと思います。

実は不動産の査定はそこまで難しくありません。そして、何よりも査定の実情を知ることで、不動産仲介会社と対等に会話することが出来るようになります。

そこで、今回は不動産の査定方法と、その査定方法を知った上での高値売却のポイントについてお伝えさせて頂きます。

査定の方法を競売物件から学ぶ

まず、不動産の査定がどれほど正確なものなのか、査定額と実際の売却価格にどれほどの乖離があるのかという点を学びましょう。

査定額と実際の売却価格を知るためには、競売物件の調査を行うことが近道です。 なぜなら、競売物件の査定は不動産査定のプロである不動産鑑定士によって行われているからです。

競売では、不動産鑑定士が不動産価格の査定を行い、売却基準価格を決定します。そして、入札希望者は売却基準価格の80%の金額を下限として入札を行うことができます。

不動産鑑定士が査定するこの売却基準価格は、おおむね市場価格の6割から7割というのが一般的です。つまり、売却基準価格に0.6から0.7という数字で割ることによって、その査定額が妥当であったかどうかを判断することができるのです。

東京都で2015年4月から9月の6か月間に競売に付された物件817件のうち、売却基準価格(不動産鑑定士が査定したその不動産の価格)からどの程度の差異があったのかをまとめたのが以下の表です。

売却基準価格に対する落札額の割合
総数 817
100%以下 38
110%以下 59
150%以下 294
200%以下 525
200%超 101

この表からお分かり頂ける通り、東京都で行われた競売物件に関しては、不動産鑑定士が査定した価格よりも50%以上高い金額で落札された事例が全体の70%以上を占めているのです。

売却基準価格の2倍以上の金額で取引された物件も10%以上あります。 つまり、不動産の売却価格を査定することはプロでも難しく、正確な価格査定を行うことはほぼ不可能なのです。

これから物件の査定を行おうと考えている方は、まずこの事実を認識する必要があります。 査定額はもちろん参考になるのですが、結局はその不動産の買手が見つかって、はじめて取引が成立するものであることを忘れてはいけません。

つまり、世間一般で見たら500万円しか価値がないと思われる物件でも、その不動産に1,000万円の価値を見出す人もいるのが不動産売買の世界なのです。

この不動産価格の査定を知った上で、具体的な査定の方法を学んでいきましょう。査定の方法を知ることによって、仲介業者と対等に会話することができるようになります。

今回ご紹介させて頂く査定法は、基本的には不動産鑑定評価基準に基づいたものです。

不動産査定の方法

さあ、早速不動産査定の具体的なやり方について見ていきましょう。

不動産の価格の3面性

まずは原則論からお伝えさせて頂きます。不動産の価格を決める具体的な方法は、国土交通省が掲載している不動産鑑定評価基準に記載されています。

不動産鑑定基準に基づくと、不動産の価格は3面性があり、それぞれの特性に着目して不動産価格を導くことができると記載されています。 その3面性とは、費用性、市場性、収益性です。すなわち、不動産を建築するには費用がかかりますし、不動産の価格は市場(競合物件)による影響を受けますし、不動産は住むだけではなく、貸すことによって収益を得ることができるので、収益性による影響を受けます。

この3面性を活かしながら不動産の価格は決定されていきます。そして、費用性に着目して導き出された価格のことを積算価格、市場性に着目して導き出された価格のことを比準価格、収益性に着目して導き出された価格のことを収益価格と呼びます。

着目点 価格の種類
費用性 積算価格
市場性 比準価格
収益性 収益価格

そして、不動産の査定においては、上記3種類の価格の中でどの価格を重視して決めるかという点を整理する必要があります。 なぜなら、不動産の価格は市場参加者が決めるものであり、市場参加者が重視する価格はそれぞれ異なるからです。

例えば、田園調布といった高級住宅街にどうして住みたい人は、例えその家を賃貸に出すことによる賃料収入が少ないとしても、田園調布に住むというブランドイメージやステータスを得るため、周辺の物件と同じような価格に基づいてその価値を決めることが一般的であり、どれほどの賃料収入があるかという収益性はほとんど重視されません。

一方で、不動産投資家に代表される投資家は、田園調布といったブランドはどうでも良く、その物件からどれだけの収益を得られるかという点を重視するため、収益性を重視します。

市場参加者による物件の分類

つまり、不動産査定を行うにあたっては、対象となる不動産の典型的な市場参加者(買手の候補)を決め、その市場参加者が重視する項目を踏まえて査定を行う必要があるのです。

実際に不動産の鑑定評価を行う場合、市場参加者(買手の候補)を細分化すれば細分化するほど査定の精度が高まりますが(「投資家」よりも、「所得が2,000万あり、都内の企業に通勤している会社役員」の方が重視するべき項目が明確化されますね)、今回は簡潔に考えるため、市場参加者は実需をベースとしたサラリーマン世帯と、投資による収益獲得を目的とする投資家の2パターンしかないと仮定しましょう。

ここからが不動産査定のための具体的な方法です。

まず、対象不動産の典型的な需要者(買手の候補)が家庭を持つサラリーマン世帯である場合を考えてみましょう。

サラリーマン世帯が重視するのは資産性(言い換えると、その不動産を生み出すのにどれだけのコストがかかっているのかという費用性)です。つまり、不動産の査定も資産性が反映された積算価格にて計算します。

あなたが売ろうとしている不動産が居住用の家の場合の査定方法

積算価格は、土地の価格と建物の価格を足すことで計算することができます。

1. 建物

まずは建物の価格をざっくりと計算しましょう。 建物は管理の状況などによってその価値が大きく異なるので正確に計算するのはかなり難しいのですが、イメージを掴むという意味で、簡便な計算方法についてご紹介させて頂きます。

Step1 建物の種別を特定する

まずは建物の種類を特定しましょう。サラリーマン世帯が購入しようとする居住用の家はほとんどが木造住宅だと思いますが、ごくまれに軽量鉄骨、重量鉄骨、RC住宅の場合があります。分からない場合は木造と仮定して計算しましょう。 (分譲マンション場合も考えられますが、この場合だと土地の評価がすこしややこしくなるので今回は割愛させて頂きます。)

Step2 築年数、建築面積を特定する

次に、築年数、建築面積を特定しましょう。 建物の建築確認や登記簿から築年数を特定することができます。ちなみに木造の場合、22年を超えると建物の価値がほぼなくなりますので、古い建物の場合は22年と設定すれば良いでしょう。

Step3 新築価格を算出する

上記を踏まえ、新築価格を算出します。 まず、建築面積に構造別の数値をかけて、新築建物の価格を計算します。 その際使う数字は、木造12万円、軽量鉄骨14万円、重量鉄骨17万円、RC24万円です。

構造 1m2あたりの建築費
木造 12万円
軽量鉄骨 14万円
重量鉄骨 17万円
RC 20万円

例えば、建築面積100m2の木造の場合は100 x 12 =1,200万円となります。

Step4 減価率を算出する

次に、築年数に構造別の数値をかけて、新築から見た減価の割合を計算します。 その際に使う数字は、木造4.5%、軽量鉄骨3.7%、重量鉄骨2.9%、RC2.1%です。

構造 1年毎の減価率
木造 4.5%
軽量鉄骨 3.7%
重量鉄骨 2.9%
RC 2.1%

例えば、築年数20年の木造建物の場合、20 x 4.5%=90%となります。

Step5 建物価格を算出する

最後にStep3とStep4で算出した数字をベースとして、建物価格を算出しましょう。 上記の木造建物の場合、1,200万円 x (100%-90%)=120万円ということで、120万円がこの建物の価格となります。

2. 土地

土地価格の計算の仕方は大きく分けて2種類あります。

(1) 近隣地域の土地の地価から算出する方法

今の土地相場を知るには、インターネットを活用するのが一番正確かつ効率的です。 そして、インターネットを活用して近隣地域の土地の価格を調べるのは大きく2つの方法があります。

(1)-1 国土交通省が作成している土地総合情報システムを活用する

国土交通省土地総合情報システムはコチラ

これは国土交通省が集計している土地の情報をデータベース化したものです。土地を購入した場合は、登記をする必要があり、登記をするとその情報が市町村、国へと伝わっていきます。つまり、登記を軸として物件の売却情報が分かるのです。

このデータベースを活用すれば、対象物件近くの土地の取引実績と取引価格(単価含む)を知ることができます。

(1)-2 ポータルサイトを活用する

2つ目の方法は、賃貸ポータルサイトを活用する方法です。Suumo、At home、Homesなどのサイトでは相当数の土地情報が掲載されていますので、その事例からあなたが売ろうとしている土地の周辺地域の相場観をつかみましょう。

(2) 路線価から算出する方法

上記(1)の方法の場合、あなたが査定しようとしている土地の周辺に取引事例がない場合、売却価格を推測することが難しくなってしまいます。 そこで登場するのが路線価です。

路線価は市街化区域内には設定されていますので、極端な田舎などでない限りは路線価から土地の価格をざっくりと査定することができます。

路線価のHPはコチラ

路線価とは、道路に対して設定される価格で、その道路に接している土地の1m2あたりの価格を示しています。

例えば、路線価10万円の道路に面している100m2の土地の価格は10 x 100=1,000で、1,000万円となります。

その際、路線価は概ね市場価格の70%とされていますので、路線価から実勢地価を査定する場合は0.7で割る必要があります。 この場合、1,000万円 / 0.7 = 1,429万円となります。

3. 査定

あとは建物の価格と土地の価格を足せばOKです。 今回の場合、建物価格120万円+土地価格1,429万円=1,549万円ですね。

あなたが売ろうとしている不動産が投資用の家(集合住宅等)の場合の査定方法

次は、あなたが売却しようとしている物件が、1棟もののアパートなどであった場合です。この場合、典型的な需要者は投資家となり、投資家は収益性を重視するので、収益性に基づいて計算される収益価格を算出します。

Step 1 賃料を査定する

あなたが売却しようとしている物件を第三者に賃貸した場合、どれほどの家賃収入を得ることができるかを計算します。

適正な賃料は、SuumoやHomesといった賃貸ポータルサイトから検索してくることが可能です。普段家探しを行う要領と同じですね。

Step 2 期待収益率を計算する

次に、あなたがその物件に期待する収益性を算出します。

期待収益率とは、不動産の価格に対して1年間に手に入れたい賃料の割合のことです。例えば、1,000万円の物件の期待収益率が10%である場合、1年間に1,000 x 10%=100万円の賃料収入が欲しいということを意味します。

この時、期待収益率の算定において参考になるのが、周辺の物件の収益率から計算する場合と、不動産投資特有のリスクを踏まえた上で決定する方法です。それぞれ見ていきましょう。

1. 周辺の物件の利回り(収益性)から計算する方法

この方法は、売却を予定している物件周辺の他の物件の利回り(収益性)から期待収益率を計算するというものです。

この場合、これぐらいの収益性が欲しい!という希望よりも、実際の相場感を見て、これぐらいの収益性だと確保できるのかな、という確認の意味合いが強くなります。 具体的には、賃料の査定と同様に、投資用不動産のポータルサイト(健美家、楽待など)から、類似する物件の利回りを算出します。

2. 不動産投資特有のリスクを踏まえた上で決定する方法

この方法は、リスクフリーである国債の利回りを計算の開始地点として、不動産の非流動性(株みたいにすぐ売れない)、管理の困難性(専門的な知識が必要)などのリスクを具体的な数字に変換し(リスクが高い分、貰える収益も高くないと割に合わないという考え方)、それを積み上げていって求める収益性を計算するという方法です。

具体的なイメージとしては、国債の利回り1%に対し、入居リスクがあるから+2%、管理が大変だから+1%、すぐ売れないリスクがあるから+2%、それらを合計して、6%の収益性を確保することができるなら買うという決断をする。という具合です。

この収益性は割引率と表裏一体の関係であり、本質的にはあまり根拠がない数字なのですが、そのあたりの詳細を理解したい方は、不動産投資と割引率の関係(割引率の正体)というコラムをご覧頂ければと思います。

Step3 土地価格を算出する

最後にStep1で算出した賃料をStep2で算出した利回りで割ることによって、物件の価格を算出します。 例えば、年間賃料が500万円で期待利回り10%の物件の価格は、500 / 10% = 5,000万円となり、収益価格は5,000万円となります。 いかがでしょうか?査定とはいっても、実はそこまでややこしいことはなく、簡単に計算することが出来るのです。

不動産の査定よりも重要なこと

ここまで読んで頂いたあなたは、不動産の査定方法を理解すると同時に、不動産の査定はあくまでも暫定的な数字であり、実際には買手がいなければ売れることはないことを理解頂けたと思います。 結局は、買手がいなければ取引は成立しません。つまり、買手との繋がりをしっかり確保することが一番重要なのです。 一方、これから売却の依頼を考えている方は是非ともこちらの物件の売却前に知っておくべき仲介業者の裏側というコラムを一読下さい。 物件売却を依頼した仲介業者によっては、その物件を買い主に紹介せず、売れ残るのを待った上で売却価格を引き下げ、両手仲介を行うといった方策を取る仲介会社も少なからず存在します。REINSに掲載されても、買い主にその情報が届かない場合も十分考えられるのです。 仲介業者の仕組みと物件査定の方法を理解すれば、きっとあなたの物件は高値で売ることができることでしょう。 売却相談は当社でも受け付けておりますので、お気軽に連絡下さい。

まとめ

  • 不動産の査定はプロでも正しい価格を導き出すのは困難であり、査定する会社によってもばらつきがある。
  • だからこそ、売却価格の査定では、相見積を取ること、そして査定価格の根拠をしっかりと確認することが重要。
  • 最も重要なことは、買手を紹介してくれる仲介業者を見つけること。

 

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