一般的な不動産価格よりも安いという理由で、競売物件に興味を持つ方も多いのではないでしょうか?
しかし、実際にどれぐらいの金額で落札されているか気になるところ。安く落札できないのでは、競売に参加する意味がありません。
そこで今回は、過去実際に競売に付された物件の落札価格と売却基準価格の違いについて解説します。
- 目次
- 1. 売却基準価格とは?
- 2. 落札価格とは?
- 3. 売却基準価格と落札額の差異の調査結果
- 4. 調査結果から分かること
- 4-1. 競売物件だから安く買えるとは限らない
- 4-2. 本当に安く買える可能性は低い
- 4-3. 良い物件は高値で落札される
- 4. 最後に
1. 売却基準価額とは?
まずはじめに、売却基準価額とは何なのかという点について説明します。
売却基準価額とは、競売に付された物件について不動産鑑定士が評価した不動産の価値のことです。
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価基準に基づいて不動産の価値を決めます。その価格に競売による補正を加えたものが売却基準価額です。
不動産鑑定士が査定するこの売却基準価格は、おおむね市場価格の6割から7割というのが一般的です。
つまり、売却基準価格に0.6から0.7という数字で割ることによって、その査定額が妥当であったかどうかを判断することができるのです。
2. 落札価格とは?
次に、落札価格についてお伝えします。
落札価格とは、落札者が実際に提示した価格のことです。競売では、指定された時期までに購入の意思表示をします。
そして、意思表示をした人の中で最も高い金額を付けた人に購入の権利が与えられます。
3. 売却基準価額と落札額の差異の調査結果
ここから、売却基準価額と落札額の際の調査結果についてお伝えします。
東京都で2015年4月から9月の6か月間に競売に付された物件817件のうち、売却基準価格(不動産鑑定士が査定したその不動産の価格)からどの程度の差異があったのかをまとめたのが以下の表です。
売却基準価格に対する落札額の割合 | 数 |
総数 | 817 |
100%以下 | 38 |
100%~110% | 59 |
110%~150% | 294 |
150%~200% | 525 |
200%超 | 101 |
この表からお分かり頂ける通り、東京都で行われた競売物件に関しては、不動産鑑定士が査定した価格よりも50%以上高い金額で落札された事例が全体の70%以上を占めているのです。
また、売却基準価格の2倍以上の金額で取引された物件も10%以上あります。
4. 調査結果からわかること
ここで、上記の調査結果からわかることについてお伝えします。これから競売物件に取り組もうとされている方は、是非とも参考にして下さい。
4-1. 競売物件だから安く買えるとは限らない
競売物件を購入すれば安く買えると考えている方には残念な調査結果となってしまいました。
競売物件は、決して安くはないのです。
とりわけ、今のようなマーケットが良い状況の場合、市場価格よりも高い金額で落札されるということも見受けられます。
競売物件だから安く買えるとは考えない方が良いでしょう。
4-2. 本当に安く買える可能性は低い
調査の結果、売却基準価額の110%内で落札できている物件の割合は、全体の約10%という結果になりました。
競売物件の中には、権利関係が複雑なものや、地主との交渉が必要なものなど、癖がある物件もあります。
そう考えると、安い金額で落札された競売物件は上記のような癖がある物件と判断することができます。
つまり、本当に安い金額で落札することができる可能性は決して高くないということを認識しておきましょう。
4-3. 良い物件は高値で落札される
権利関係が複雑な物件がある一方、本当に収益性が高い良い物件があることも事実です。
しかし、売却基準価額の200%超の金額で落札された物件が全体の1割強を占めているということから、良い物件はそれなりの金額で落札されるという事実をしっかりと認識しておいた方が良いでしょう。
最近では、競売物件を専門に扱う不動産会社も数多く出てきました。
こういった会社は、少し高い値段で落札し、リフォームを行うことによって価値を高め、高い金額で売却するという方針を取っていることもあります。
つまり、高い金額で落札することを前提としている会社があるのです。こういった会社よりも高い金額を提示することは難しいということもしっかりと認識しておいた方が良いでしょう。
5. 最後に
競売物件の売却基準価額と落札額の差異と、そこから導き出されるポイントについてお伝えしました。
競売だから必ず安く買えると考えることは危険です。
競売物件の入札に取り組む際は、個別の物件についてしっかりと検討を行った上で進めるようにしましょう。
競売物件でも収益物件でも、物件を見る上でのポイントは同じです。競売物件や収益物件を購入する際のポイントについてしっかりと理解したい方は、【不動産投資で保有中の収益物件を公開】概要と購入を決めたポイント5つという記事を参考にして下さい。