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    収益物件の価格は上がる?下がる?2017年の収益物件の価格を予想

    収益物件とお金

    リーマンショック後、底値を打ってから日本の収益物件の価格は上がり続けています。

    しかし、収益物件はマーケット商品ですから、価格が上がることがあれば下がることもあります。これから収益物件の購入を考えている方にとって、今後の収益物件の価格の推移は非常に気になるポイントではないかと思います。

    2017年、収益物件の価格はどう推移していくのでしょうか?不動産投資のプロの立場から、2017年の収益物件の価格を予想します。

    1. 2016年の収益物件の価格の推移を振り返る

    まずはじめに、2016年の収益物件の価格の推移を振り返ってみます。

    ちなみに、2016年の不動産価格の予想に関しては不動産価格は上がる?下がる?2016年の不動産市況を予想という記事において、収益物件、住宅物件、共にほとんど横ばいになると予想しました。

    住宅物件の価格の予想は別の記事で記載していますので、この記事では投資用の収益物件の価格の推移に特化してお話をしていきます。

    2016年の収益物件の価格の動きに関し、以下のグラフをご覧ください。

    2016年の価格の推移

    出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )

    どの種類の収益物件についても、おおむね価格が横ばいになっていることが分かると思います。

    2016年、収益物件の価格が横ばいだった理由は、銀行の融資姿勢に変化がなかったからです。銀行の融資姿勢と収益物件の価格の関係は以下2.において詳しく説明していきますが、2016年は銀行の動きに変化がなかったから収益物件の価格が横ばいだったということを頭の片隅に置いておきましょう。

    2. 2017年の収益物件の価格を予想

    ここから、2017年の収益物件の価格の推移について予想していきます。

    まず、収益物件の価格を決定付ける最大の要因について紹介します。不動産価格は上がる?下がる?2016年の不動産市況を予想というコラムで紹介しておりますが、収益物件の価格を決定付ける最大の要因は銀行の融資情勢です。

    銀行の融資が緩くなれば収益物件の価格は上がり、銀行の融資が厳しくなれば収益物件の価格は下がります。銀行の融資情勢と収益物件の価格の関係について簡単に図にしましたので参考にして下さい。

    銀行の融資条件が緩くなると、毎月の返済額が減ります。そうすると、毎月の収支のプラス幅が大きくなるので、その収益物件を買いたい投資家の数が増えます。その結果、収益物件の価格が上がるのです。

    収益物件の価格上昇の流れ

    例えば、不動産バブルが弾けた原因は銀行による「総量規制」です。不動産業に対する貸付の絶対額が決められてしまったため、新規案件の融資を組むことができなくなってしまったのです。

    当時の高金利では、家賃収入で収益物件の運用をするという発想はなかったという意味で、現在の不動産投資のモデルとは異なりますが、今よりもリスクが高い投資だったということができます。

    バブル時は収益物件の価格上昇によるキャピタルゲイン狙いが主流でした。そんな中、銀行の融資が止まったため、赤字物件が続出し、損切する投資家が沢山でてきました。

    不動産を早く売りたいが、融資が付かない。融資が付かないから買手がいない。この負のスパイラルの結果、マーケットがどんどん下がっていったのです。

    つまり、2017年の収益物件の価格の推移を予想するためには、収益物件に対する融資情勢を予想することが極めて重要なのです。

    では、2017年の収益物件に対する銀行の融資姿勢はどうなっていくのでしょうか?

    2017年の融資情勢を予想するために、2016年に出た不動産投資関連の融資に関する記事を2つ紹介します。

    金融庁・日銀、アパートローンの監視強化 過剰供給リスクで

    出典:ロイター

    急拡大するアパートローンを警戒し、融資額の監視を強める方針に舵をきった旨が記載されています。

    不動産融資、バブル期上回る=マイナス金利で流入-4~6月

    出典:時事通信

    不動産業への融資残高がバブル期の数字を超えたということが記載されています。

    この2つのニュースから分かることは、2016年は収益物件に対する融資額は伸び続けていったが、その額が過大になってきたので、少し監視をしていこう。という国の方針が見てとれます。

    他方、私が金融機関と話している限りでは、融資姿勢に対する直接的な指示は金融庁からは来ていないようです。つまり、たちまち銀行の融資が厳しくなるということは現時点では考えづらいと言えるでしょう。

    一方、今の状況で金融機関が収益物件に対する融資条件をさらに緩めるということも考えづらいのではないかと考えています。

    つまり、過去の記事と現在の融資情勢から判断する限り、2017年も収益物件の価格は横ばいになると言えるでしょう。

    ここで、融資以外の要因についても少し考えてみましょう。ここから、収益物件の価格に影響を与える要因を学びながら、もう少し細かく2017年の収益物件の価格について学びましょう。

    3. その他の要因

    ここから、収益物件の価格に影響を与える要素を3つ紹介します。そして、その上で改めて2017年の収益物件の価格がどうなるのか予想していきましょう。

    3-1. 外国人(中国)投資家の数

    まず、外国人投資家の数が挙げられます。外国人投資家と言っても、日本の収益物件の購入に大きなインパクトを与えているのは中国の投資家ですから、中国人の投資姿勢についてお伝えします。

    中国人は投資に対して非常に貪欲で、且つスピード感を持って動くことで有名です。私は2016年にオーストラリアに行き、現地のディベロッパーや不動産会社と面談してきましたのですが、その際にも中国人の投資姿勢に驚かされました。どのディベロッパーも、「日本の投資家は慎重すぎる。中国人は見てすぐに収益物件を買っていくよ」と言っていたのです。

    中国人の投資意欲はそれほど高く、スピード感を重視しているということです。逆の立場で考えると、日本人はバブルを経験しているので、どこかで慎重になっている部分があるのかもしれません。

    そう考えると、円安によって中国人投資家の流入が見込まれると考えてしまいがちですが、現時点では中国人による日本の収益物件購入意欲は低いというのが現状です。その最も大きな理由は、中国政府による資金流出抑制策です。以下参考記事を紹介します。

    中国の資金流出抑制策、企業や個人は悲鳴

    出典:Wall Street Journal

    中国では一年間で外貨両替できる金額を5万ドルまでに制限するという規制が行われているのです。

    中国の両替規制

    この規制が原因かどうかは分かりませんが、2016年は中国人投資家による動きは活発とは言えませんでした。

    今後更なる円安が続けば、外貨の流入も考えられるかもしれませんが、中国人投資家による収益物件の爆買いは期待できないと考えた方が良いでしょう。

    3-2. 国内投資家の数

    次の要因として、国内投資家の数について考えてみましょう。収益物件の価格の上昇に伴い、収益物件の購入に興味を持つ投資家の数は増え続けています。

    以下に、収益物件の大手ポータルサイトである健美家の月間の訪問数の推移を示しました。

    健美家、訪問者の推移

    出典:健美家ホームページ

    上記の通り、収益物件に興味を持つ方の数は増え続けているということがお分かりいただけるのではないかと思います。

    そういった観点では、好況なマーケット状勢を背景として、今後も収益物件を保有したいと考える投資家の数は増えていくものと思います。

    そう考えると、需要家が増えることによって収益物件の価格がさらに上がっていくことも想定されますが、私はあまり影響は大きくないと考えています。

    なぜなら、投資家が増えたとしても、最終的に収益物件価格にインパクトを与えるのは銀行の融資姿勢であるということと、ここ数年で不動産投資家に対する融資姿勢が若干選択的になってきているからです。

    属性が高い投資家には融資が集中する一方、属性があまり高くない投資家向けの融資の難易度が若干上がっている傾向にあります。

    不動産投資家の数は増えていくことが予想されますが、その影響はあまり大きくないと言えるでしょう。

    3-3. 短期譲渡税と長期譲渡税

    最後に、不動産売却時の税率について紹介します。税率も収益物件の価格に影響を及ぼす可能性があります。その最も大きな要因が、短期譲渡税と長期譲渡税です。

    個人が収益物件を保有している際、売却時に発生する税率は保有期間によって変わってきます。

    保有期間が5年を超えると、税率が19%になり、保有期間が5年以下の場合は39%となります。その差は2倍以上です。以下簡単な表にまとめましたので、参考にして下さい。

    購入した年 税率
    2010年 19%
    2011年 19%
    2012年 39%
    2013年 39%
    2014年 39%
    2015年 39%

    2011年より前に収益物件を購入した場合、2017年以降に売却すると短期譲渡税となり、税率が19%になるのです。

    今と比べると2011年の収益物件の価格は安いです。だからこそ、利益確定をするために売却に動く投資家が出てくることが予想されます。

    つまり、売り物件が市場に出てくることによって、収益物件の価格が下がる可能性があるということです。

    4. 上記から導き出される結論

    ここまで、2017年の収益物件の価格を決定づける要因についてお伝えしました。

    ここから導き出される結論としては、2017年は収益物件の価格の上昇要因はほとんどなく、下落する可能性の方が高いということです。

    ただし、収益物件の価格が下落する傾向である可能性があるというだけであり、2017年に関しても、収益物件の価格はほぼ横這いで推移するというのが私の考えです。

    ただし、リーマンショックのような大規模な金融危機が発生した場合はこの限りではありません。たちまち融資の窓が閉じ、収益物件の価格は大幅に下落していくでしょう。

    5. 収益物件の買いのタイミングは?

    上述の通り、収益物件の価格は横ばい、もしくはじりじりと下がっていくことが予想されると伝えました。

    つまり、今のタイミングは「基本的には買場ではない」ということが私が伝えられることです。

    ただし、融資の条件が緩いということも事実です。有利な条件で融資を組成することができ、潤沢なキャッシュフローを得ることができる収益物件であれば、積極的に購入の検討をしても良いでしょう。

    どのようなマーケットでもできることがあります。今のマーケットで収益を最大化するためになにができるのか、個別で考えていくと良いでしょう。

    6. 最後に

    2017年の収益物件の価格がどうなっていくのか。不動産投資のプロの立場から、私の見解をお伝えしました。

    2017年も基本的には買いのマーケットというよりは、売りのマーケットということができるでしょう。収益物件の売却を考えている方は、【保存版!】マンションを高く売却するために知っておくべき16のテクニックいう記事を是非参考にして下さい。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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