相続対策|不動産の時価と相続税評価額の違いを個別に詳しく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
相続対策のイメージ

相続対策の有効な手段の一つとして不動産関連商品の購入が挙げられます。

これは時価と相続税評価額のかい離をうまく使った節税方法なのですが、具体的にどういった不動産を購入すれば節税につながるのかという点について説明されていることは少ないというのが現状です。

そこで今回は、具体的な数字と共に、相続対策としてどういった不動産商品を購入すれば有効な相続対策になるのかという点についてご紹介させていただきます。

1. 相続対策をするということは?

まず初めに、相続対策をするということがどういうことなのか、簡単に整理していきましょう。

相続対策をするということは、相続税の対象となる財産の評価額を下げることを言います。

そして、財産の評価額を下げるとは、時価よりも相続税評価額が低い商品を購入することです。といっても、これではイメージが湧きづらいと思いますので、ここから具体例で説明させていただきます。

なお、厳密には相続税評価額という言葉はなく、財産評価という言葉が正しいのですが、わかりやすい表現を優先するため、本コラムでは財産税評価額と表現させていただきます。

1-1. 現金を相続した場合

まず、現金を相続した場合について考えてみましょう。相続人の財産が現金100万円だったとします。

そうすると、相続税法にもとづき、この100万円に対応した税金を納付しなければいけなくなってしまいます。

現金の時価と相続税評価額

なぜなら、現金は時価も相続税評価額も100万円だからです。

1-2. 相続前に現金を仏具にした場合

次に、上記の場合において、お葬式の準備のために仏具をあらかじめ購入したとしましょう。

100万円全額を払って仏具を購入したとします。

この場合、相続税法では仏具は相続財産には入りませんので、仏具の相続税評価額は0円となります。

仏具の時価と相続税評価額

つまり、仏具は時価よりも相続税評価額が低い商品ですので、結果として仏具を購入することは相続対策につながるのです。

2. 時価と相続税評価額の違いとは?

具体例についてみていただいた上で、今一度、時価と相続税評価額の違いが何なのかという点について整理していきましょう。

大きなくくりで考えていくと、時価はマーケットが決めた金額、そして相続税評価額は財産評価基準に基づいてきめられた価格となります。

時価と相続税評価額

実際に市場で取引される価格は変わっていきますが、相続税評価額の計算においては、財産評価基準が変わらない限り、評価額は変わりません。

この点が時価と相続税評価額の違いを生み出す要因となっているのです。

3. それぞれの不動産の時価と評価額の差を解説

時価と評価額の違いについて理解して頂いた上で、ここから具体的に、個別の不動産の時価と評価額の差についてご紹介させていただきます。

それぞれの商品別に、時価と相続税評価額の金額が異なる背景も踏まえた上でお伝えさせていただきます。

3-1. 土地

まずは土地です。土地の相続税評価額は時価の約7割と言われています。

この背景としては、相続税評価額を計算する場合において、評価額が時価よりも高くなってしまうと、課税において不公平感が生じてしまうという点が背景として挙げられます。例えば、時価1,000万円の土地の評価額が2,000万円であり、相続税が2,000万円に対して課されると、納税者から見ると納得感がないと思います。こういった背景から、土地の相続税評価額は時価よりも小さいものとされているのです。

土地の時価と相続税評価額

つまり、普通の土地を購入することによって、相続税の額を低くすることが可能になるのです。

土地は購入も容易ですから、非常に有効な相続対策といえるでしょう。

3-2. 建物

次に建物について考えていきましょう。建物の場合も基本的には土地と同じく、相続税評価額は時価の7割と言われています。

これも土地と同様、相続税評価額が時価を超えてしまうことによる不公平感を避けるという観点から、相続税評価額は時価よりも小さくなっています。

建物の時価と相続税評価額

最近話題になっているタワーマンションを購入することによる相続対策も同じような考え方です。

現金を保有しているよりも、土地+建物を購入したほうが相続税評価額を下げることができるのです。そして、タワーマンションの場合は一般的な土地+建物よりもさらに相続税評価額が低いことから、相続税対策として話題となったのです。

3-3. 借地権

一般的な土地と建物の評価方法について見ていただきましたが、次に借地権についてみていきましょう。借地権とは、その名の通り土地を借りることができる権利のことを言います。

もう少し具体的に説明させていただくと、土地というのは借地権と底地に分解することができます。借地権者と底地権者が同一人になると、借地権は消え、普通の土地となります。

借地権のイメージ

3-3-1. 借地権の時価

借地権と底地のイメージをつかんでいただいた上で、次に借地権の時価について考えていきましょう。

借地権の時価は案件ごとに異なるのですが、基本的には時価の半額ぐらいになることが多いです。そして、底地の時価は半分以下であることが多いです。

すなわち、借地権の価格と底地の価格は合計しても普通の土地の価格にならないことが一般的です。これは、土地を分けてしまうことによって使いづらくなってしまうという点が背景として挙げられます。

借地権の時価のイメージ

3-3-2. 借地権の相続税評価額の評価方法

借地権のイメージについて簡単に理解していただいた上で、ここから借地権の評価方法について説明させていただきます。

借地権の評価評価方法は以下の通りです。

借地権の相続税評価額 = 土地の更地価格 x 借地権割合

借地権割合とは、その土地全体の価格における借地権の割合のことです。借地権と底地の価格は地域毎によって異なりますので、国があらかじめ大まかなくくりで借地権と底地の割合を決めてくれているのです。

借地権割合は国税庁の路線価図のページから確認することが可能です。いかに路線価図のページのリンクを載せておきますので、参考にしていただければと思います。

路線価図のホームページはコチラ

実際に路線価図を検索した結果を下記致します。

路線価図

上記の図において、青く丸がついている部分の数字の右側にDというアルファベットが記載されているのがわかると思います。

このアルファベットが借地権割合です。Dの場合は借地権割合60%ですので、普通の土地と比べて相続税評価額が60%になるということを意味します。

3-3-3. 借地権の時価と相続税評価額のかい離

最後に、借地権の時価と相続税評価額の違いについてみていきましょう。

上記で計算した通り、借地権の時価は普通の土地と比べて半分、そして固定資産税評価額は時価の約70%ということから、借地権の場合は普通に土地を持っている場合よりも損をしてしまうのです。

借地権の時価と相続税評価額

つまり、借地権を購入することは、相続対策にならないどころか、納付する税額が増えてしまうことになりますので注意しましょう。

3-4. 借家権付き建物

次に借家権付き建物、すなわち、建物を保有しているものの、その建物を賃貸に出している場合についてみていきましょう。

借家の場合の評価額

建物を賃貸に出している場合は、固定資産税評価額がおおよそ30%減額されます。

なぜ固定資産税評価額が減額されるのかというと、建物に借家権がついている場合、建物の所有者はその建物を自由に使うことができず、必要に応じて立ち退きなどを行った場合に多額の費用が発生してしまうからです。

すなわち、所有権を有している建物と比べて自由度が低いことから、その分評価額が減額される形になっているのです。

3-5. 貸家建付地

次に、賃貸に出している建物が存する場合における土地の評価についてみていきましょう。

この場合における考え方は、上記3-4の借家権付建物の場合と同じです。すなわち、自分で自由にすることができない建物がついているので、その分の評価額を下げなければいけないという考え方です。

貸家建付地の評価

減額幅も建物の場合と同じく、おおよそ30%分が減額されると考えておくと良いでしょう。

3-6. 無道路地

該当する方はほとんどいないかもしれませんが、保有している相続対策として非常に不利になってしまう不動産の例として、無道路地の評価方法について説明させていただきます。

無道路地というのは、道路に接していない土地のことです。

土地の上に建物を建てるためにはその土地が道路に接している必要がありますので、無道路地というのは建物の建築をすることができない土地ということになります。

土地と無道路地

3-6-1. 無道路地の相続税評価額

ここから無道路地の相続税評価額について説明させていただきます。

非常にシンプルな考え方としては、無道路地の評価の場合「道路に接していると仮定して評価額を計算する」というものになります。つまり、無道路地は「土地」として評価されてしまうのです。

無道路地の時価はかなりばらつきがあるのですが、土地の場合と比べて30%とすると、無道路地の相続税評価額は時価の約2倍という結論になります。

無道路地の相続税評価額

詳細につきましては国税庁の以下ページを参考にしていただければと思います。

国税庁、無道路地の評価

4. 最後に

不動産を相続した場合の時価と相続税評価額の違いについてご紹介させていただきました。

不動産以外の相続税評価額について詳しく知りたい方は、相続対策を行う前に知っておくべき相続税の基礎知識というコラムを参考にしていただければと思います。

基本的には、マーケットで売られている土地、または建物を購入することによって、相続税の金額を下げることができると認識しておくと良いでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*