「法定」とは何なのか?具体例と共に理解する

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法定

「法定相続人」や「法定地上権」など、たまに目にする「法定」という言葉。

法定という言葉がついているから何となくややこしいと感じる方もいらっしゃる と思います。

しかし、具体例と共に「法定」の意味を考えることによって、その意味をスッキリと理解することができます。

そこで今回は法定の意味について具体例と共に説明させて頂きます。

1. 「法定」の定義は?

まずは法定の言葉の定義を整理します。頭の片隅に置いておきましょう。

民法上で法定という言葉の定義は記載されていません。

一般的な意味として、法定とは、「法令によって定められている」と定められています。つまり、法律によって自動的に設定されてしまっているということです。 

一方、これだけではイメージが湧かないと思いますので、この定義を頭の片隅に置いて頂いた上で早速具体例に移っていきましょう。    

2. 「法定」の具体例

早速具体例と共に法定の意味を考えてみましょう。今回は「法定相続人」、「法定後見人」、「法定地上権」の3つの具体例と共に「法定」の意味を理解して頂ければと思います。

2-1. 法定相続人

まず、相続の場合で考えてみます。

サザエさんファミリーを考えます。念のため、サザエさんファミリーの家系図を下記します。

サザエさんファミリー家系図

若干縁起が悪いですが、ある日波平さんが亡くなったとします。そうすると、波平さんの財産を誰が相続するのか決める必要があります。

一方、波平さんは自身の資産を遺書を残しておらず、誰に相続させるのか決めていなかったとしましょう。

この場合、誰が波平さんの資産を相続することになるでしょうか?

以下の図を参照して頂ければと思います。

相続方法

この場合は、奥さんのフネさん、娘のサザエさんなどが 波平さんの財産を継承することになります。サザエさんの夫であるマスオさんは孫のタラオちゃんは波平さんの資産を相続することはできません。

ところで、この相続人は波平さんの意思とは 関係なく決まっていますが、なぜ勝手に決まっているのでしょうか?    

ここで「法定」の登場です。民法では、基本的には権利を持ったり与えたりするのは自由(誰に何を相続させるかは自由)ですが、それ以外に法律によって既に決められている権利があるのです。

なぜなら、波平さんが遺言を残さないで亡くなった場合、 誰が相続するかという取り決めがないともめてしまうからです。

だからこそ、民法によって誰が相続するか、 あらかじめ決められているのです。そして、この法律で決められている 権利のことを「法定」といいます。

上記の例では、フネさん、サザエさん、カツオ君、ワカメちゃんは 波平さんの法定相続人です。

一方で、波平さんが遺言で財産をタラオちゃんに譲ると書いた場合、 ワカメちゃんにも波平さんの財産を相続する権利が生まれます。

この時、タラオちゃんは法定相続人ではありません。ただの相続人です。

相続人と法定相続人

2-2. 法定後見人

別の例で考えてみましょう。後見人を例に考えてみます(後見人とは「面倒を見る人」という意味です。)

カツオ君が、隣の家の窓ガラスを割ってしまったとします。

この時、隣の家の人は、カツオ君だけではなく、カツオ君の母であるフネさん(もしくは波平さん)に対しても、「この窓ガラス代を弁償しろ!」ということができます。

なぜかというと、民法では親は未成年の法定後見人だからです。 カツオくんは未成年でお金を持っておらず、ガラス代を弁償する能力を有していないことから、未成年の代わりに責任を取る人が法律によって定められているのです。

(厳密には未成年の後見人は法定代理人となるのですが、本記事の趣旨は「法定」の理解ですので、あえて法定後見人と表現させて頂きます。)

法定後見人とは

次に後見人の例について考えてみましょう。

これも縁起が良い例ではありませんが、例えばマスオさんに不慮の事故がおこってしまい、 物事を判断する能力がなくなってしまったとします。

この時、サザエさんは、裁判所に申請をすることによって、マスオさんを被後見人とすることができるとともに、サザエさんはマスオさんの後見人となることができます。

この場合、サザエさんは法定後見人ではありません。ただの後見人です。

後見人になることによって、サザエさんはマスオさんの財産を管理したり、マスオさんが詐欺にあった場合にマスオさんに代わって取消権を行使することができます。

裁判所に申請することによって、能力を失った人を守るための権利を手に入れるというイメージです。

後見人のメリット

2-3. 法定地上権

最後に法定地上権について考えていきましょう。地上権とは、土地を利用する権利です。

土地と建物の関係において土地を利用する権利がなぜ必要なのか。それは、土地を利用する権利がなければ、 土地の上に建物を建てることができないからです。

土地と建物は別人が所有できるからこそ、建物の所有権しか有していない人は、土地を使うための権利が必要となるのです。

以下のような場合を例に、法定地上権とは何なのか考えていきましょう。

法定地上権1

なお、地上権の詳細を詳しく知りたい方は物権と債権の違いと共に借地権(地上権と賃借権)を理解するというコラムを参照頂ければと思います。

上記の図の場合において、 競売によって土地と建物の所有者が別人になった場合を考えます。

法定地上権2

この場合、建物の所有者Aは土地を所有しておらず、 さらに土地を利用する権利も有していません。すると、民法上、土地の新たな所有者Cは建物の所有者に対し、 建物の撤去の請求をすることができるのです。

なぜ建物の撤去を請求することができるのかという点については上記リンク先のコラムに記載させて頂いてますが、簡単に説明させて頂くと、土地の所有権を有している者は、その土地を自由に使うことができるため、自由に使うことを妨げている建物は土地所有者の要求に従って撤去しなければいけないというのが理由です。

つまり、土地を落札した人は、その上にある建物を撤去させることができるのです。

法定地上権3

しかし、それでは社会的な損失につながる(まだ使える家を壊すのはもったいない) ということで、競売によって建物と土地の所有権を有する人が異なった場合には、建物の所有者に対し、建物の下にある土地を使うことができる権利、すなわち、法定地上権を法律に基づいて付与するという整理になるのです。

法定地上権4

法定地上権の成立要件は民法の判例等で規定されているのですが、このコラムは「法定」の意味を理解頂くことが趣旨ですので、法定地上権の成立要件に関する記載は割愛させて頂きます。

3. 最後に

上記3つの具体例を見て頂いた上で改めて「法定」の意味をおさらいしましょう。

法定とは「法律によって定められている」という意味でした。上記の例を見た上で定義を確認して頂くと、「法定」の意味を少し身近に感じることができるのではないかと思います。

法定という言葉が重要になるのか、競売時の「法定地上権」だと思います。競売物件の入札を行う場合には、法定地上権が成立するのか(建物の所有権を得た時、土地の所有権を取得することができるのか)という点についてしっかりと確認するようにしましょう。

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