• 不動産売却の無料査定を行う前に知っておくべきポイント4つ – 売主のミカタ

    不動産売却の無料査定を行う前に知っておくべきポイント4つ

    無料査定のイメージ

    不動産の売却を検討する際、まずは無料査定の依頼を出すと思います。複数の仲介会社に対して無料査定の依頼を出すことによって客観的な売却額を確認することができるからですね。

    一方で、ただ何となく無料査定の依頼をすると、ずるずると売却の流れに導かれてしまうということも少なくありません。 そこで今回は、不動産の無料査定を行う際に意識しておくべきポイントについてお伝えします。

    • 目次
    • 1. 無料査定を行った後の流れを紹介
    •  1-1. 個人投資家として無料査定を行った体験談
    •   1-1-1. 業者Aとのやりとり
    •   1-1-2. 業者Aのねらい
    •   1-1-3. 業者Bとのやりとり
    •   1-1-4. 業者Bのねらい
    •  1-2. 同じ仲介業者でも対応はここまで異なる
    • 2. ポイント1 高い価格を提示されたからといってその会社に仲介の依頼をしないこと
    •  2-1. 高い査定額でもその査定額で売れない理由
    • 3. ポイント2 無料査定を行っている仲介会社にもコストがかかっていることを理解すること
    •  3-1. 仲介業者の目的
    •  3-2. 警戒しすぎないことも重要
    • 4. ポイント3 査定している会社の顧客に買手がいない確率の方が高いことを認識すること
    •  4-1. 売手側仲介業者が抱えている買手<<<REINS経由で見つかる買手
    •  4-2. 売手側仲介業者の手口
    • 5. ポイント4 査定された価格の根拠をしっかりと確認すること
    •  5-1. 査定額の根拠が分かる=売却後の納得感に繋がる
    • 6. 最後に

    1. 無料査定を行った後の流れを紹介

    まずは、無料査定を行った後にどういった流れになるのかという点について簡単に説明させて頂こうと思います。 私自身も不動産投資家として活動していましたが、その際に無料査定の依頼をした時の経験談としてお聞き下さい。

    1-1. 個人投資家として無料査定を行った体験談

    まずは無料査定という言葉で検索を行い、検索の結果上位に表示された一括無料査定サイトに売却価格の査定を依頼しました。

    依頼者したのは3社です。 私は日中仕事をしていたのでメールでのやり取りを希望していたのですが(その旨はっきりと記載していたのですが)、3社とも電話での連絡でした。(そのうちの1社はあくまで挨拶の趣旨での電話でしたので、実質2社はメールでのやり取りの希望に対し、電話で連絡がきたという形になります。)

    その後、諸事情もあり、実際に仲介業者との会話が進んでのは2社だけでしたので、その2社を業者A、業者Bとしてお話しをさせて頂ければと思います。

    1-1-1. 業者Aとのやり取り

    業者Aに関しては、査定依頼を行った日が営業店舗の休業日だったため、別途コールセンターから連絡が来ました。 そこで話した内容は、サイト上で入力した情報の確認です。住所地や面積など、一括査定サイトに入力した内容を1つずつ再確認していきました。

    そして、一通りの確認が終わると、電話受付の方から売却までの時間軸についての質問を受けました。 具体的には、「急ぎ売却であれば、背景含めて店舗に来店の上、お話をさせて頂いた方が良いと思います。」という意見です。

    当時私はすぐに売却する予定ではなかったので、その旨を電話受付の方に伝えました。 そうすると、その受付の方は「分かりました。それでは担当者から追って査定額に関する連絡をさせて頂きますが、しっかりした査定を行う場合は、一度来店して頂き、営業担当からしっかりと説明させて頂いた方が良いと思います。」というコメントを頂きました。

    上記の会話からもお分かりの通り、業者Aは店舗への誘導をしようとしていることが明らかなことが会話の中から良く分かりました。 そして後日、業者Aの営業担当者から電話がかかってきました。

    その際に具体的な査定額に関するアドバイスを貰うことが出来たのですが、少し高すぎるなあ、という印象、そして、当方から査定額の根拠を聞いた際にも、「周辺の物件の利回りから考えた結果です。」という砂をかむような回答でした。

    1-1-2. 業者Aの狙い

    業者Aの狙いは明らかですね。店舗に来店させ、専任媒介契約か専属専任媒介契約を締結させることを狙っているのです。 実際の会話では私が店舗には行かない旨を伝えたので、営業担当がある程度見切りをつけ、簡易な査定を行ったのだと思います。

    1-1-3. 業者Bとのやり取り

    一方、業者Bです。業者Bは、当初の当方からの依頼通り、終始メールでのやり取りとなりました。 業者Bからは私が無料査定サイトで入力した情報を基にメールで数点の質問を受けました。

    その内容は、「保有期間が短いのになぜ今売るということを考えているのか?」というものや、「現在締結している賃貸借契約は契約してからどれぐらい経っているのか?」といったものであり、店舗への来店や媒介契約の締結を促すものではありませんでした。

    そして、私が売却の理由を伝えると、業者Bからは、まずは私の言い値で掲載してみるのはどうか?という提案を受けました(もちろんその値段で売れるかどうかは分かりません、というコメント付きでした)。

    1-1-4. 業者Bの狙い

    業者Bはとにかく営業をしかけるというものではなく、こちらの意向に沿った形で収支やりとりが進みました。その根底には顧客の満足度を高めるという会社の理念があり、その理念が社員にも浸透しているのだと思います。

    1-2. 同じ仲介業者でも対応はここまで異なる

    ここまで2社の業者の対応の違いについて簡単にお伝えさせて頂きましたが、無料査定に対する対応一つとっても、ここまで仲介業者間で差が生まれるのです。 何となく無料査定を出すと、意識しないまま仲介業者の意図する方向に流れてしまうことがお分かり頂けるのではないかと思います。 ここからは上記の会話内容も踏まえ、無料査定を行う際に注意するべきポイントについてお伝えさせて頂きます。

    2. ポイント1 高い価格を提示されたからといってその会社に仲介の依頼をしないこと

    上記の例において、業者Aは私が何となくイメージしている価格よりも高い査定額を明確な根拠なく提示してきました。 この場合、その仲介業者があなたと媒介契約を結びたいがために、あえて高い査定額を提示している可能性が高いです。

    なぜなら、1円でも高く売りたい=高い査定額を提示した仲介業者に仲介を依頼すれば高く売れる。という売手の心理を巧みに利用し、あえて高い査定額を提示し、媒介契約締結に持っていく業者が少なからずいるからです。

    2-1. 高い査定額でもその査定額で売れない理由

    しかし、実際には査定額が市場価格よりも大幅に乖離しているのであれば、その不動産はどの仲介業者に仲介を依頼したとしてもほぼ間違いなく売れません。

    なぜなら、その不動産を購入するのは業者Aではなく、仲介業者の先にいる買手であり、買手は市場価格のイメージを少なからず持っているので、市場価格から大幅に乖離した価格の物件には見向きもしないからです。

    一方、あなたが高いと思っても、仲介業者から提示された金額に納得感があればその仲介業者に対して仲介を依頼して構いません。 仲介業者が提示してきた査定額の根拠についてはしっかりと確認するようにしましょう。

    3. ポイント2 無料査定を行っている仲介会社にもコストがかかっていることを理解すること

    仲介業者は無料査定サイトにお金を払った上であなたの物件を査定する権利を得ています。つまり、仲介業者にはコストが発生しています。 そして、コストが発生している以上、しっかりと売上を上げなければ、会社として存続することはできません。つまり、仲介会社は営業としてあなたに連絡を取ってくることが大前提なのです。

    3-1. 仲介業者の目的

    仲介業者としてのゴールは基本的には専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結することです。

    なぜなら、専任媒介契約又は専属専任媒介契約を締結することによって、その仲介業者にはあなたから仲介手数料が入ってくることが約束されるからです。

    この点を意識しなければ、気が付いたら仲介業者と専属専任媒介契約を結んでいた、ということにもなりかねません。 すぐに面談を組ませようとする仲介業者、こちらの背景などをしっかりと聞こうとしないで、一方的に早く売らせようとする仲介業者などは要注意です。

    3-2. 警戒しすぎないことも重要

    一方で、このように書くと仲介業者からの提案に対して身構えてしまう方もいるのですが、必要以上に身構える必要はありません。

    仲介業者も基本的には真剣にあなたの物件を売却しようとしているのですから、その仲介業者があなたの物件をどう査定したのか、その背景を身構えすぎずに素直に聞いてみましょう。 そして、その仲介業者が誠心誠意査定していることを感じたのであれば、しっかりとその誠意に応えることも重要だと思います。

    不動産の査定は本当に真剣に行うと数万円のコストが発生します(交通費、書類の取得、人件費等)、仲介業者には多大なコストが発生していることは意識しておくべきと思います。

    無料査定を依頼する背景は人それぞれであり、今売る気はないが、将来の売却に先立って何となく査定額を知りたい、という方もいらっしゃると思います。

    そういった方は今無理して売却に出す必要は全くありませんが、無料査定の段階でお世話になった仲介業者がいた場合、将来売却するタイミングでその仲介業者に仲介の依頼を行うことを念頭に置くべきではないかと思います。

    そして、そういった「感覚が合う」仲介業者に依頼した方が結果として双方満足した形で売却を終えることができる場合が多いです。

    4. ポイント3 査定している会社の顧客に買手がいない確率の方が高いことを認識すること

    これは上記の1番目のポイントと重なる部分もありますが、査定額が適正な限りにおいて、すなわち、査定額が市場価格と同じ水準である限りにおいては、買手はどこかのタイミングで必ずみつかるものです。 買手が見つからないのであれば、それは市場価格ではないということです。

    4-1. 売手側仲介業者が抱えている買手<<<REINS経由で見つかる買手

    そう考えると、査定を依頼した会社が自ら買手を見つけてくる場合とREINSに登録している仲介業者が買手を見つけてくる場合において、どちらの方が潜在的な買手の数が多いかということは明らかです。

    つまり、市場価格で売却に出している限りにおいては、REINSに掲載されている仲介業者経由で買手が見つかる確率の方が極めて高いと考えるのが普通です。

    4-2. 売手側仲介業者の手口

    一方、仲介会社の営業手口として「まずは当社の顧客に対して内密に話を通してみます」という話があるかもしれません。

    内密に話をして決まれば良いのですが、基本的には内密に話を通している買手(お得意様)はそこまで多くはないというのが現実です。 なぜなら、その仲介業者が抱えている買手がお得意様であるほど、そのお得意様に安い金額で物件を紹介している(だからこそ、お得意様はずっとその仲介業者と繋がっている)可能性が高いからです。

    一方で、お得意様ではない一見の買手はネットで常に物件を探していますし、1社に絞って不動産を購入することはまれです。

    なぜなら、複数業者に当たった方が不動産を買える確率が高まるにも関わらず、あえて1社にする必要はないからです(上述の通り、安値で紹介してくれる業者がいる場合を除きます。)

    すなわち、査定額が適正な価格であるほど、売手と買手を同じタイミングでつなげることは難しいのです。

    5. ポイント4 査定された価格の根拠をしっかりと確認すること

    これも上記の1番目のポイントと重なるのですが、査定額の根拠をしっかりと確認することはとても重要です。

    不動産は常に複数の物件が市場に出ているため、不動産業界での経験が長い営業担当の場合、蓄積された情報量を基に「何となく」査定を行うことが出来てしまいます。

    一方、あなたは不動産業界で働いている訳ではありませんので、その仲介業者の感覚に基づく査定である場合に対して心からの納得感を得ることはできないでしょう。

    不動産の査定額を正確に算出することはほぼ不可能なのですが、そうであっても、不動産査定の裏側にどういった背景があるのかという点についてはしっかりと理解しておいた方が絶対に良いです。

    不動産の査定方法は国土交通省によってある程度体系的にまとめられています。これを活用しない手はないでしょう。

    5-1. 査定額の根拠が分かる=売却後の納得感に繋がる

    そして、その体系的な知識を一つでも頭の中に入れることによって、後になって「なぜあの価格で売却したのか」という疑問を払拭することができるのです。

    だからこそ、売却にあたっては疑問に思う点があれば仲介会社に対して徹底的に質問するべきです。そうすることによって、最終的に満足する形で売却できる可能性が高まります。

    不動産(マンション)を高値で売却するためのポイントについては、【保存版!】マンションを高く売却するために知っておくべき16のテクニックいう記事にまとめていますので、ぜひとも参考にして下さい。

    6. 最後に

    仲介会社と話をしない限り、売却活動は始めることができません。無料査定を上手に活用していきましょう。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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