収益物件の購入をする際に欠かせないのがレントロールです。この資料をどう読みこなすかによって不動産投資の成功確率が変わってきます。
しかし、レントロールの正しい見方を知っている方はあまり多くありません。
そこで今回は、レントロールの見方、注意すべきポイントについて分かりやすくお伝えします。
- 目次
- 1. レントロールとは?
- 2. レントロールを見る際に注意するべき7つのポイント
- 2-1. 空室部分の想定賃料を確認する
- 2-2. 間取を確認する
- 2-3. 入居開始年月を確認する
- 2-4. 入居期間を確認する
- 2-5. 直近の契約時期を確認する
- 2-6. 直近の契約賃料を確認する
- 2-7. オーナーが支払わなければいけない項目がないか確認する
- 3. 最後に
1. レントロールとは?
レントロールとは、収益物件の賃料を一覧で示した表のことです。
レントロールという言葉はアメリカ、イギリスでも一般的に使われているrent-rollという言葉がそのまま日本語になったものです。
収益物件に携わっている不動産会社であれば間違いなく知っていますので、収益物件の資料を求める際に「レントロールを送って下さい」とリクエストすれば貰うことが可能です。
以下にレントロールのサンプルを載せますので、参考にして下さい。レントロール自体、フォーマットは決められておらず、各不動産会社が独自のフォーマットに基づいてレントロールを作成しています。
レントロールはシンプルな資料ですが、確認するべきポイントが詰まっていますので、ここからレントロールを見る際に注意するべきポイントについて一つずつ説明します。
2. レントロールを見る際に注意するべき7つのポイント
レントロールを見る際に注意するべきポイントは以下の7つです。それぞれの項目について、細かく解説していきます。
2-1. 空室部分の想定賃料を確認する
まずは、空室部分の想定賃料を確認しましょう。
レントロールは、賃貸中の部屋については賃貸借契約上の賃料が記入され、空室については想定賃料が記入されます。
この場合に注意するべきポイントとしては、想定賃料が適切かどうかという点です。
ここから、実際にレントロールを見ながら想定賃料が適切かどうか、確認をしていきましょう。
上記レントロールに基づく物件が長野県上田市にあると仮定して進めていきます。
部屋の面積は60.52m2ですので、Suumoで55m2~65m2の物件を調べます。以下の図の通り、専有面積で絞り込みができますので、実際に絞り込みをしました。
絞り込みをした結果の検索画面が以下です。今回は、安い順で物件を載せています。
最も安い物件で4.0万円。次に安い物件で4.8万円という結果でした。
上記2つの物件の中で、4.0万円の物件は温泉地近くの物件であることから今回の対象からは外し、4.8万円の物件を比較の対象としました。
つまり、レントロール上の賃料は5.3万円ですが、保守的に考えると、4.8万円に換算して収支を計算した方が良さそうということが分かります。
2-2. 間取りを確認する
次に確認するべきポイントは、部屋の間取りです。
物件概要書にも間取が書かれていますが、レントロールには部屋の専有面積も書かれていることが一般的です。
最近では、借主の好みが多岐にわたりますので、ワンルーム、2DKといった間取だけでは、部屋の正確な情報が分からないことが多いです。
だからこそ、間取りを確認する際は、専有面積もしっかりと確認するようにしましょう。
例えば、以下の二つの物件はどちらもワンルームですが、占有面積は大きく異なります。
50m2のワンルーム
12m2のワンルーム
2-3. 入居開始年月を確認する
次に、入居開始年月を確認しましょう。
ここで一番気を付けなければいけないポイントは、ある特定の期間にまとまって新規の契約が発生していないのか、という点です。
悪徳な仲介業者の場合、架空の賃貸借契約を結び、収益物件の仲介後に一斉に賃貸借契約を解除するという手法を使ってくる場合があります。
そういった意味では、直近で同時に多数の契約が入っている場合、特に注意するようにしましょう。
2-4. 入居期間を確認する
入居開始年月に加え、入居期間の確認も重要なポイントです。
一般的に、シングル向け物件の場合は4年、ファミリー向け物件の場合は6年が平均的な入居期間と言われています。
つまり、既に6年以上入居している方がいる場合、近々退去してしまう可能性があるのです。
そして、長期間入居した方の場合、部屋が汚れていることが多いですから、退去後の原状回復費用が高額になりがちです。
一方、高齢者がずっと住むことを前提として部屋を借りている場合は安定した入居を見込むことができます。長期で入居している方がいる場合は、その方がどういった方なのか、しっかりと確認をするようにしましょう。
2-5. 直近の契約時期と賃料を確認する
次に、一番直近で決まった契約の時期と賃料を確認しましょう。
契約時期を確認することは、本質的に競争力がある物件なのかどうかを見極めるという意味で重要です。
収益物件の修繕に費用をかけず、そのままにしている大家の場合、部屋の内装も汚くなっており、部屋自体の競争力が非常に低い場合が多いです。
そういった部屋は何をしても決まりませんので、直近1年で新しい入居が決まっていない場合、空室部分に何かしらの問題があると考えることができるでしょう。
そして、直近に決まった部屋の契約時期の確認と同時に、契約賃料を確認しましょう。
直近で決まった部屋の契約賃料が今後の空室を埋める際の目安の賃料となります。今は部屋が余っている時代ですので、東京都心部などの一部の地域を除いて、賃料が上がっていくことは考えづらいです。
そういった意味で、今後の想定収支を計算する上で、直近の契約賃料をしっかりと確認するようにしましょう。
2-6. 法人契約かどうか確認する
入居者の大半が法人契約となっている場合は注意が必要です。
なぜなら、そういった物件の場合は企業の撤退と共に、空室率が高くなる可能性があるからです。
今は大企業であっても向上を閉じるような時代です。特定の法人に頼ることなく、しっかりと入居づけができる物件かどうかを確認する必要があるでしょう。
2-7. オーナーが払わなければいけない項目が入っていないか確認する
最後に、レントロールの中にオーナーが支払わなければいけない項目があるかどうか確認をしましょう。
例えば、賃貸物件の場合は町内会費を別途徴収している管理会社が多いですが、この町内会費はオーナーが払う必要があります。
この町内会費がレントロールに上乗せされて支払われている場合、その費用は賃料から引いて計算する必要があります。
オーナーが払わなければいけない可能性がある項目をまとめましたので、参考にして下さい。
項目 | オーナーが払わなければいけない理由 |
町内会費 | 一般的にオーナーが払う必要があるため |
水道料金 | 部屋ごとにメーターがなく、総額でしか計算できない場合があるため |
駐車料代金 | オーナーが借上げをしている場合があるため |
3. 最後に
レントロールを見る上で注意するべきポイントについてお伝えしました。今回紹介したポイントをチェックしていけば、収益物件を購入した後に想定外のことが発生することはないでしょう。
レントロールはシンプルな資料ですが、重要なポイントが詰まっています。今後の収益物件の購入に向け、今回ご紹介したポイントを是非とも活用して下さい。
また、レントロールの見方だけではなく、収益物件の購入判断に必要な情報は【不動産投資で保有中の収益物件を公開】概要と購入を決めたポイント5つという記事を参考にして下さい。
具体的に検討している収益物件がある場合には、不動産投資で収益物件の現地確認を行う前にチェックするべき9のポイントいう記事を是非とも参考にして下さい。