• 不動産投資に必要な指標のまとめ。まずはこれだけ理解しよう。 – 売主のミカタ

    不動産投資に必要な指標のまとめ。まずはこれだけ理解しよう。

    不動産投資の指標

    不動産投資においては、本当に様々な指標がありますよね。

    それらの指標を調べようとしても、横文字や数字がたくさんあって中々見る気がしない。

    そういった方のために、可能な限り難しい言葉での表現を避けながら不動産投資における各種投資指標について説明させて頂きます。

    投資指標の理解の一助として頂ければ幸いです。

    不動産投資における投資指標の一覧

    不動産投資における投資指標の一覧を以下の表にまとめさせて頂きました。

    それぞれの項目をクリックすると、詳細な説明に飛びます。

      購入 運営 借入 会計 他
    指標 物件価格 物件購入時費用 自己資金額 家賃収入 運営費 減価償却 金利返済 元本返済 税金 割引率
    表面利回り ○     ○            
    DCR       ○     ○ ○    
    実質利回り ○ ○   ○ ○          
    Pay back期間     ○ ○ ○   ○ ○    
    ROI     ○ ○ ○ ○ ○   ○  
    NPV ○     ○           ○
    IRR     ○ ○ ○   ○ ○   ○
    PAT       ○ ○ ○ ○   ○  
    EBITDA       ○ ○          

    表面利回り

    何が分かるのか? 物件にどれほどの収益力があるかが分かります。
    ざっくりとした説明 物件価格に対する家賃収入の割合です。
    使う指標 1 物件価格
    2 家賃収入
    計算式 2 / 1

    簡易計算

    1 物件価格5,000万円

    2 家賃収入500万円の場合、

    500 / 5,000 = 10% が表面利回りとなります。

    表面利回りは不動産投資において最も基本的かつ重要な指標です。

    投資用不動産の情報が掲載されているポータルサイト上にはかならずこの表面利回りが記載されていると思います。

    その計算方法も、家賃収入を物件価格で割るだけであり、非常に簡単で分かりやすい指標であることが特徴です。

    なお、この場合における家賃収入は、入居者がいる部屋に関しては賃貸借契約書に記載されている金額を、空室の部屋に関しては想定家賃を前提とし、全ての部屋が埋まっているとした場合における金額用います。

    そして、不動産が稼ぐ力(家賃収入)というのは基本的には大きくは変わりませんので、この表面利回りはあなたがこれから購入しようとする不動産に期待する収益力を測る上で極めて重要な指標となるのです。

    DCR(Debt coverage ratio)

    何が分かるのか? 借金返済の安全度が分かります。
    ざっくりとした説明 返済額(金利+元本)に対する家賃収入の割合です。
    使う指標 1 家賃収入
    2 返済額(金利+元本)
    計算式 1 / 2 

    簡易計算

    1 家賃収入500万円

    2 返済額300万円の場合

    500 / 300 = 1.66 がDCRとなります。

    Debt Coverage ratioも表面利回りと同様、極めて重要な指標です。

    家賃収入(満室想定)を返済額で割ることによって計算するのですが、この計算において結果が1となるということは家賃収入額と返済額が全く同じということを意味しており、返済以外で費用が発生した場合は持ち出しが発生してしまうことを意味します。

    このDCRの値は一般的な投資の世界ににおいては1.25~1.3が必要と言われていますが、不動産投資において1.25~1.3ではほぼ採算が合いません。

    上記の数字でも大丈夫なのは、20年間一括借り上げといった、長期間の収入が確保されている場合のみなので注意しましょう。

    不動産投資においては空室リスクとリフォーム・現状回復リスクという2つの大きなリスクがありますから、DCRに関しては少なくとも1.85~2.00は欲しいところです。つまり、家賃収入が月々の返済額の倍ぐらいは欲しいということです。

    空室リスクが小さく、かつリフォーム・現状回復費用があまり発生しない都内の築浅物件を購入するという考えもあるのですが、そういった物件は間違いなくDCRが低いですので、家賃収入がほとんど返済に回ってしまい、現金が増えず、次の投資に繋がらないことが多いです。

    すなわち、表面利回りが高くて、DCRも高い物件が目指すべき投資の基本形ということになります。

    実質利回り

    何が分かるのか? 実質的な投資に対する収益力が分かります。
    ざっくりとした説明 購入時諸費用を含む物件価格に対して手元に残る現金の割合(税金を払う前)です。
    使う指標 1 物件価格
    2 物件購入時費用
    3 家賃収入
    4 運営費
    計算式 (3 - 4) / (1 + 2)

    簡易計算

    1 物件価格5,000万円

    2 物件購入時費用が400万円

    3 家賃収入が500万円

    4 運営費が100万円の場合

    (500 – 100) / (5000 + 400) = 7.4% が実質利回りとなります。

    実質利回りも不動産投資において重要な指標です。

    不動産投資においては他の投資商品と比べてもさまざまな費用が発生するため、それらの費用を適切に反映させた実質利回りが他の投資商品との比較において活用されるからです。

    一方、この運営費は物件による大きな違いはないため、1つ1つの物件の実質利回りを計算するよりは、ポータルサイトに掲載されている表面利回りから概算で実質利回りを計算することが一般的です。

    ざっくりとした計算では、表面利回りの75%ぐらいが実質利回りになると考えて頂ければ良いと思います。

    Pay back期間

    何が分かるのか? 投資額回収のスピードが分かります。
    ざっくりとした説明 投資額(自己資金)が全て返ってくる年を示します。
    使う指標 1 自己資金額
    2 手残り現金の累計
    計算式 1 / 2 

    簡易計算

    1 自己資金額が1,000万円

    2 手残り現金が400万円/年の場合

    1,000 / 400 = 2.5年 がPay back期間となります。

    あなたが行った投資額が何年目に返ってくるのかという時点を示したのがPay back期間です。

    不動産の購入後に市況が高騰すれば、その不動産の売却によって投資額を回収することができますが、将来の市況の高騰を正確に当てることはできませんので、不動産投資におけるPay back期間は基本的にインカムゲイン(家賃収入)に基づく投資回収期間を示します。

    頭金を短期間で貯めることが難しいサラリーマン世帯においては、Pay back期間は短いほど良いです。Pay back期間が2~3年であれば、毎年新しい不動産の購入に向けて動くことができるでしょう。

    一方、フルローンなどで不動産を購入した場合、Pay back期間は0日となりますが、借入額が多い分運営中のリスクが増すので注意が必要です。

    ROI(Return on Investment)

    何が分かるのか? 投資額に対する回収の効率性が分かります。
    ざっくりとした説明 毎年の現金手残収入に対する投資額の割合です。
    使う指標 1 PAT
    2 自己資金
    計算式 1 / 2

    簡易計算

    1 PATが300万円

    2 自己資金が500万円の場合

    300 / 500 = 60% がROIとなります。

    ROIは一般的な投資の世界で重要視される指標ですが、不動産投資においてはあまり重要視されない指標です。

    なぜなら、不動産投資においては金融機関の融資条件によって自己資金額が決定されてしまうことが一般的であり、自己資金の金額をコントロールすることができない、すなわち、ROIの分子である自己資金額は物件によって大きく異なるからです。

    NPV(Net present value)

    何が分かるのか? 資産増加という観点から投資の是非が分かります。
    ざっくりとした説明 各年度の家賃収入を一定の割引率で割り引いた額(収入)と物件価格(支出)の合計
    使う指標 1 物件価格
    2 手残り現金
    3 割引率
    計算式 (2(各年の合計) - 1) / 2 

    簡易計算

    1 物件価格5,000万円

    2 手残り現金が400万円/年

    3 割引率が5%の場合

    -5000 + 400/1.05 + 400/(1.05)2 +400/(1.05)2 +400/(1.05)2 + ……. = 1,876万円がNPVとなります。

    (この場合、NPV>0なので投資を実行するべきという判断になります。)

    NPVは簡単に言えば、物件の価格と、物件が将来生み出す賃料収入の現在価値の合計です。

    一般に広く用いられている投資指標であり、NPVがゼロを超える場合は投資実行の意味あり(資産が増加する)という決断ができるのですが(支出額よりも将来額の方が多いため)、将来いつ売却するか、そしてその売却価格をいくらに設定するのかという点や、割引率をどれぐらいに設定するのかといった点に応じて数字が大きく変動しますので、不動産投資においてはあまり参考にならない指標です。参考程度に捉えておけば良いと思います。

    例えば、空室率0%、将来の物件価格は現時点での物件価格の1.5倍の値段になっている。といった前提においては支出額よりも収入額の方が大きくなるのは明らかであり、その場合は投資実行という決断に至ってしまいます。

    すなわち、NPV>0だから投資実行、というのではなく、その過程をいかに細かく計算するのかという点がとても重要です。

    IRR(Internal rate of return)

    何が分かるのか? 投資額を預金したと想定した場合の金利が分かります
    ざっくりとした説明 NPVがゼロとなる割引率
    使う指標 1 自己資金額
    2 手残り現金
    3 割引率
    計算式 計算式はありません(方程式のようなイメージとなります。)

    IRRは簡単に説明することができない難しい投資指標ですが、別途コラムにて解説しておりますので、

    IRRについて理解を深めたい方はIRRとは何なのか、具体例と共に理解するというコラムをご覧頂ければと思います。 

    PAT(Profit after tax)

    何が分かるのか? 会計上の儲けが分かります。
    ざっくりとした説明 家賃収入から減価償却を含む経費と金利を除したものです。
    使う指標 1 家賃収入
    2 運営費
    3 減価償却
    4 返済額(金利)
    5 税金
    計算式 1 - 2 – 3 – 4 - 5

    簡易計算

    1 家賃収入が500万円

    2 運営費が100万円

    3 減価償却が25万円

    4 返済額(金利)が25万円

    5 税金が50万円の場合

    500 – 100 – 25 – 25 – 50 = 300万円 がPATとなります。

    PATは一般的な企業においては極めて重要視される指標です。なぜなら、株主はPATを重要な投資指標として投資判断を行うこと(株価と直結)、そして会社員のボーナスは基本的にはPATに準ずるからです。

    一方、個人の不動産投資においてPATが重要視される場面はほとんどありません。なぜなら、不動産の購入後にPATをコントロールすることは出来ず、物件の購入時に参考にするような指標でもないからです。

    ただ、銀行からの印象を良くするという観点では、黒字経営を行うことは極めて重要なので、赤字になりそうな場合は修繕を少し先送りにするといった形で期末にしっかりと数字をコントロールするようにしましょう。

    EBITDA(earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization)

    何が分かるのか? 物件が純粋に稼ぐことができる力を示します。
    ざっくりとした説明 家賃収入から運営費を引いたものです。
    使う指標 1 家賃収入
    2 運営費
    計算式 1 – 2

    簡易計算

    1 家賃収入が500万円

    2 運営費が100万円の場合

    500 – 100 = 400万円がEBITDAとなります。

    EBITDAは厳密には税前利益を計算の出発点にするのですが、その場合複数の指標が入ってくることによって煩雑になってしまいますので、不動産投資における計算方法としては家賃収入-運営費という形で紹介させて頂きます(厳密な計算方法と結果は変わりません。)

    EBITDAは減価償却費と金利を計算から除外します。なぜ除外するのかというと、金利は借入時の利率によって金額が変わり、かつ減価償却も構造や築年数によって数字が変わるため、例え同じ物件であっても、利率や構造の違いによってPATの数字、すなわち、不動産が生み出す収益の値に違いが生じてしまうからです。

    金利や減価償却の数式は金融機関や国によっても大きく異なることから、物件が純粋に生み出す価値を把握するという観点では検討から除外しよう、ということで考えられたのがEBITDAです。

    一般的な企業分析で活用されることはありますが、不動産投資の世界においてはほとんど活用されませんので、あまり気にせずとも良い指標です。

    不動産投資の指標計算において活用される項目の説明

    次に、不動産投資の指標計算において活用される各項目について簡単に説明させて頂きます。

    物件価格

    不動産投資のポータルサイトに掲載されている物件の販売価格です。

    物件購入時費用

    物件の購入にあたって発生する費用です。基本的には仲介手数料、登録免許税、不動産取得税が大きな費用であり、概ね物件価格の7~9%の費用が発生します。

    自己資金額

    物件の購入にあたり、銀行からの借り入れ以外でまかなう部分です。

    家賃収入

    物件が満室だった場合に入居者が支払う賃料の合計額です。物件購入時に入居者がいる場合は当該入居者と締結している賃貸借契約書に記載されている賃料を、空室の場合は想定賃料を入力します。

    すなわち、長期入居の場合は賃料が高くなっている場合がありますので、その場合は当該入居者が退去した場合も想定の上、家賃収入額を計算しましょう。

    運営費

    一般的には管理費、客付け時の仲介手数料、固定資産税、火災保険などの費用を言います。概ね家賃収入の10~20%というイメージをお持ち頂ければ良いと思います。 

    減価償却

    会計上、建物の価値を毎年定額で減らしている処理のことです。 

    金利返済

    借入に対する金利部分の返済額です。

    元本返済

    借入に対する元本部分の返済額です。

    税金

    利益に対して課される税金です。

    サラリーマンの場合は、給料収入と不動産収入は同じ所得として合算されて計算されますので、注意が必要です。

    (給与所得1,000万円で所得税率が30%とすると、不動産所得100万は1,000万円に上乗せされ、合計の1,100万円に対して30%の所得税が発生します。)

    割引率

    将来の価値を現在の価値に換算する際に用いられる率のことです。

    割引率の詳細はこちらの不動産投資と割引率の関係(割引率の正体)というコラムをご参照頂ければと思います。

    まとめ

    不動産投資においてどれだけ指標の知識を身に付けたとしても、物件を購入できなければ意味がありません。

    一方、様々な指標が頭の中に入っており、それらが自由に使いこなせるようになっているのであれば、物件の概要を見るだけでその物件が良い物件かどうかある程度判断することが出来るようになります。

    指標に頼りすぎてはいけないですが、指標を知ることによって優良物件を購入できる可能性が高まる。そういった縁の下の力持ちのような役割を担っているのが指標です。

    優良物件が出てくる前に、それぞれの指標を頭の中に入れておくようにしましょう。

    この記事を書いた人:大橋亮太

    三井物産株式会社で約7年働いた後、2015年に株式会社ムーブウィルを設立。両手仲介への違和感から買側の仲介に入ることを止め、売主側の味方だけをするサイト「売主の味方」を立ち上げる。

    ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

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