敷金は預けるお金ですので、退去後に戻ってくるのは当たり前ですよね。
しかし、実際には敷金の返還トラブルは沢山起こっています。
私も敷金返還のトラブルに巻き込まれてしまい、色々と考えた結果、裁判を起こすことにしました。
もしあなたが今後、敷金の返還訴訟を起こす場合、どういった形で進むのか理解しておきたいですよね。
そこで今回は、実際に私が敷金の返還で裁判を起こした経緯と、実際の裁判の流れについて詳しくお伝えします。
契約内容を簡単に整理
まず、契約の内容を簡単に整理してみました。
普通の賃貸借契約ですから、押さえておきたいポイントだけ書きますね。
- 借主は法人(社宅として使うため)
- 敷金は家賃の2ヶ月分
- 1ヶ月分の敷金は、契約時に償却という記載あり
ここでのポイントは3番目の表現ですね。「契約時に償却」という聞き慣れない言葉があります。
結論としては、この「契約時に償却」という言葉がトラブルの元になってしまいました。
少額訴訟を起こした理由
まずはじめに、今回少額訴訟を起こした理由についてお話します。
少額訴訟を起こした理由はシンプルです。それは、管理会社の対応が今ひとつだったからです。
例えば、退去の前年、夏にエアコンが故障してしまいました。
都内の部屋で夏にエアコンが無いというのは死活問題です。
故障した時、今回の被告である管理会社に対し「すぐに交換の手配をしてください」とお願いしたのですが、その後、全く連絡がありませんありません。
結局、1週間後に再度こちらから電話を行ったタイミングで工事業者の手配が始まりました。
さらに、そこから工事まで約3週間。結果として1ヶ月もの時間がかかってしまったのです。
更に、エアコンの交換費用を私に請求するという始末。
滅茶苦茶ですよね。
他にも細かい対応の不備がありました。恐らく他の借主も不満が溜まっていることが予想できました。
今までの経験から良く分かるのですが、ちょっとしたリクエストに対し、ずさんな対応をする会社にろくな会社はありません。
このままだと、多くの借主が不快な思いをする可能性がある。そうであれば、今回ある程度の抑止力を働かせないといけない。
そう思い、少額訴訟をすることにしたのです。
つまり、もう少しまともな対応をしてくれれば、今回のような訴訟は起こしませんでした。
実際に裁判するかどうかは、気持ちの部分が大きいのです。
さあ、ここからがメインコンテンツです。退去時から裁判までの流れを見ていきましょう。
退去時に立会を実施
物件を借りたのは2016年の1月。丁度2年経った2018年の1月に退去することになりました。
退去の一ヶ月前に管理会社に連絡を行い、2018年1月に退去立会いを実施しました。
借主側で立会をしたのは私。そして貸主側からは委託を受けた協力会社の担当者が来ました。
部屋はきれいに使っていたので、クロスの張替えなどは不要でした。
部屋の中を一通り回った後、担当者からは「償却敷金1ヶ月分は、原状回復費に充当されますよ。なので、部屋にある物干し竿は残置物として撤去費用貰って良いですか?」
という質問がありました。
「撤去費払っても手残り額が変わらないのであれば撤去費として処理して下さい。」と回答しました。
つまり、原状回復費用は償却敷金に充てられる。ということを立会業者もハッキリと認識していました。
その場でサイン、原状回復費用について合意しました。
そして、担当者は現場で精算書類を作成。その場で精算書類に署名をしました。
敷金償却の解釈についてしっかりと記録に残しておけば、後々揉めることはなかったのですが、、
立会の担当者の言うことを信じたのも、ミスでした。。
立会後、一向に連絡が来ない
立会をした後、敷金精算の連絡を待っていたのですが、一ヶ月たっても連絡がありません。
元々、家賃の2ヶ月分の敷金(18万円)を預けていましたので、クロスの張り替えなどもないことから、敷金が返ってくることは明らかでした。
まあ、だからこそ(管理会社としては払いたくないので)ずるずると対応を引き伸ばしていたのでしょう。私から督促がなければ黙って持ち逃げしていたかもしれません。
1ヶ月経っても何ら音沙汰がないので、メールで数回、電話でも督促をしてようやく書類が送られてきました。
私が督促したメールの内容をご紹介します。
3回にわたって相手に督促し、ようやく書類が届いたという形です。
精算の書類を見てビックリ。
メールでの返信などが何もなく、精算内容について書かれた書類が送られてきました。
その書類は以下のリンクからご確認下さい。
一言で言うと、償却敷金が原状回復費に充当されていません!
立会の時に言われたことが全く反映されていないのです。あり得ないですよね。
そこで、このようなメールを相手に送りました。
まあ、返信が来るはずはないと考えていたのですが、案の定、返信が来るはずはありませんでした。
少額訴訟の準備を開始
上述の通り、今までの対応のひどさに加え、敷金返還に対してもひどい対応だったことから、少額訴訟を行うことを決めました。
この時、少額訴訟にするか普通の訴訟にするか悩んだのですが、請求額が少額であり、1日で判決がでる(手間がかからない)ということを考え、少額訴訟にて対応することにしました。
実は、今回の件は少額訴訟ではなく、通常訴訟の方が良かったのですが、その辺りの背景は後ほどご説明しますね!
裁判所のホームページから書類をダウンロード
訴訟をするのは初めてでしたので、何からすればよいのかも分かりません。
取りあえず、インターネットで「少額訴訟 敷金」と検索して書類をダウンロードし、必要事項を記入しました。
準備した書類の内容などは、こちらの記事でまとめていますので参考にして下さい。
裁判所に訪問、書類の内容について事前確認を実施
必要書類を持参して、裁判所に行きました。少額訴訟を起こすひとは裁判の経験がない人も多く、書類に不備があることも多いので、まずは相談センターのような場所に行き、書類の過不足などをチェックする必要があります。
私も、実際に書類を見て貰ったところ、記載内容に不備があることが判明。
再度書類を書き直し、相談センターに行きました。
担当の相談員の方に「前回相談した時の修正内容を反映させました。」というと、内容の細かいチェックは行われずに、書記官に提出する書類を整理。
「この書類を持って、受付に行って下さい」と言われました。
書類を提出、受付完了
書類を受領してくれる場所に行き、準備した書類一式を提出。
その後、担当者から「中身を確認しますので、椅子に座って少々お待ち下さい」との話が。
相談センターで見てもらった上で、更に事務担当の方が内容をチェックします。
10分から15分ほど待ったかと思います。
裁判手続きをする際には、複数人によるチェックが入るので時間に余裕を持った方が良いですよ!
担当の方に呼ばれ、その場で書類に受付印を押してくれました。
その上で、後日裁判をする日についての相談があります。という連絡がありました。
書記官から、裁判日の相談あり
書類の受付をした次に日に、書記官の人から電話があり、裁判の日取りについて相談がありました。
裁判をする日は、原告(訴える側)の都合に合わせて決定されます。実際は、おおよそ一ヶ月後の日にちで書記官から候補日の連絡がきます。
私の場合は、書類を提出してから丁度一ヶ月後の午前中を指定されました。
その後、裁判所から呼び出し上の送付がありました。
その呼出状がこちらです。
こちらが出れる日を確認していますので、出席できる旨を書いて裁判所に送り返しました。
相手からの反論
その後、相手からの反論がきました。その書類を無くしてしまったのでお見せすることができないのですが、基本的にはこちらの主張を全く無視した一方的な反論です。
裁判を仕掛けたらすぐに折れるかと考えていたのですが、意外と強硬な姿勢で少しびっくりしました。
裁判はやってみないと相手の反応が分からないということも、この時に学びました。
いざ、少額訴訟の裁判へ
相手からの反論が来てから裁判が行われるまでは基本的には何もすることはありません。
必要に応じて追加の証拠を集めたりできますが、こちらが言いたいことは書類に全て書いてますので、特段追加の準備はせず、どういった会話をするのか、頭を整理した上で裁判に臨みました。
実際の裁判の流れについては、次の後編でお伝えしています。
裁判の結論がどうなったのか、知りたい方は是非後編をお読み下さい。