この記事は、以下の記事の続きです。
時系列でお伝えしていますので、こちらの記事から読むと流れが良く分かりますよ!
事前に顧問弁護士に相談。裁判に同席して貰うことに
今回の少額訴訟で請求した金額は6万円と少額でしたので、基本的に弁護士は付けずに自分で対応しようと考えていました。
ただ、当社には顧問弁護士の先生がいるので、事前に報告をすることにしました。
その結果、丁度少額訴訟の日は先生もスケジュールが空いていたので、同席して貰えることになりました。
ありがたいことです。
少額訴訟が始まる
裁判当日、指定された集合時間までに法廷に入ります。
法廷はテレビでよくあるような感じでしたが、少額訴訟の場合はレイアウトが少し違いました。
中華料理のお店にあるような円卓の机があり、そこに当事者が座るという感じです。
また、ここで登場人物についてもご紹介します。
- 裁判官
- 司法委員
- 書記官
- 原告
- 被告
裁判官は、最後に判決を下す人です。この人はテレビに出ている人と同じなので、イメージが湧きやすいかと思います。
次は書記官です。書記官は、裁判の記録を取ったり、書類を送ったりしてくれる人です。
裁判が始まる前のファックスのやりとりなども、この書記官の人が対応してくれます。
最後に、恐らくほとんどの人が馴染みがないのが司法委員の方です。
司法委員の方は、平たく言うと「和解の間を取り持つ人」です。後ほどこの人の役割が分かりますので、ここでは簡単な説明にしますね。
登場人物を整理した上で、実際の裁判の流れについて見ていきましょう。
裁判官から、お互いの言い分の聴取
裁判が始まると、まず裁判官が話し始めます。このような感じでした。
事前に提出していた資料に目を通しつつ、原告、被告の言い分を聞いていきます。
「訴状には○○というふうに書かれていますが、補足などあれば言って下さい。」といった具合で進んでいきます。
つまり、基本的には書類に書かれていることを言うだけです。
私の方からは「原状回復費は敷金に充当されるべきである」という主張を繰り返しました。
その後、裁判官から被告に話を振ります。
被告からは「契約書に、敷金は契約時に償却と書かれているので、精算額から差し引くのは当たり前。」という発言がありました。
つまり、お互い当初の主張を崩すことなく、折り合いがつかない状態です。
ここで、裁判官からは「こういった問題に詳しい司法委員の方もいますので、その人を交えて話し合いで解決した方が良いですね。」という提案があります。
この提案に賛成すると、別室に行くことになります。
ポイント:ここで合意すると、通常訴訟には移行しない
ここで、大切なことをお伝えします。
通常の裁判であれば、判決の内容に納得できないのであれば「控訴」することが認められています。
しかし、少額訴訟においては、司法委員の方と話合いをするという判断をした瞬間「通常訴訟」に移行することはできなくなってしまうのです。
つまり、判決に対して「控訴」することができなくなってしまうのです。
ここは非常に重要なポイントですので、覚えておきましょう。
司法委員と、個別に面談
別室で司法委員の方と話すのですが、この時、話し合いは別々に行われます。
つまり、原告が司法委員と話すときは、被告は別の場所で待っており、被告が司法委員と話すときは、原告が別の場所で待っている。という形です。
まずは、被告と司法委員が話をし、その後、我々が呼ばれて司法委員の方と話しました。
その時に言われたのが、和解金として約1万円という金額。その根拠について確認したのですが、全く整合性がない回答が返ってきました。
そこで、顧問弁護士の先生から、司法委員の方に経緯の説明をして貰いました。具体的にはこのような話です。
「そもそも、敷金の償却という曖昧な言葉を使うことが間違っている。礼金としての扱いであれば、礼金と書くべき。更に、原状回復費用の内容についても、高いと考えている。相手の主張にも全く整合性がないため、こちらとしては相手の主張を受け入れるつもりは全くない」
という感じです。
その話を受け、改めて司法委員の方が、被告と話をすることに。
再度個別に打ち合わせ
司法委員の方と被告が話をした上で、再度司法委員の方に呼ばれました。
「いやあ、これは折り合いがつかないね。被告は全く譲歩しようとしないよ。」
というコメント。被告がかなり強気な様子にて、金額面での折り合いがつかないという結論になりました。
そうなると、司法委員による和解は失敗ということになり、法廷に戻ることになります。
原告・被告・司法委員が揃って法廷に戻りました。
裁判官から和解の提案。
再度法廷に戻り、別室にて司法委員から裁判官に対してやり取りに関する報告が行われました。
その後、裁判官が戻ってきて、「まずは原告(私たち)と話したいので、被告は席を外して下さい。」との言葉が。
判決が出るかと思っていたのですが、法廷で改めて和解に向けた話し合いが行われたのです。
この時、裁判官からは、改めて和解で解決できないか、話を受けました。具体的にはこのような話がありました。
「判決を出すとなると、最終的には裁判官である私の決定になってしまう。」というコメントです。裁判官としてもシロかクロで決着をつけたくはないので、できれば和解で終わらせたい。というものです。
また、このようなコメントもありました。
「今回のような性質の裁判では、少額訴訟ではなく通常訴訟の方が良かったかもしれないですね。」というもの。
つまり、法律の解釈上、相手が悪いことが明らかな場合は、一回で結論が出る少額訴訟が有効なのですが、解釈がある程度グレーな内容の場合、通常訴訟をして、お互いの言い分をしっかりと伝えた上で判決を出した方が良い。というものです。
6万円の請求に対して通常訴訟をするという発想はなかったのですが、どうせやるなら徹底的にやる。という観点で考えれば、通常訴訟にしても良かったかな、と後から思ったのでした。
実は、少額訴訟でも通常訴訟でもかかる費用な同じみたいです。
話を戻しましょう。
裁判官から和解の提案があり、具体的にいくらぐらいであれば和解に応じられるのか。という提案がありました。
あまり強硬な意見を出してしまい、敗訴していまうリスクがあることや、高い金額を出して和解につながらなかったらまずい、という気持ちもあり、3万円という金額を提示しました。
改めてこの記事を書きながら思ったのですが、裁判をする前は6万円から1円たりとも譲るつもりはない!と考えていたにも関わらず、実際には3万円まで譲歩している自分がいることに驚きました。
もちろん、当初は100%勝てると思っていたので、状況が変わったということもあるのですが、人の気持ちというのは結構簡単に変わるな。と改めて感じたのでした。
3万円という金額を提示した後、裁判官と被告があらためて話をすることに。我々は席を外して結果を待ちました。
数分後、改めて我々が呼ばれ、被告は席を外します。
その時、裁判官からは「被告からは改めてめちゃくちゃなことを言われたが、取り敢えず2.5万円までは出すということで譲歩を引き出しました。これでどうですか?」
というコメントがありました。
この点についても、改めて考えれば、めちゃくちゃなことを相手が言っている以上、こちらとして譲るつもりはないのですが、裁判官が譲歩を引き出したという流れになっている中、強硬姿勢を出すことは得策ではない。という考えになっていました。
最後は、これ以上手間をかけたくないという気持ちが芽生えてきてしまい、2.5万円での和解に応じました。
和解成立
和解が成立すると、裁判官が和解内容を読み上げます。
これで裁判は終了。後日和解条項が記載された書類が裁判所から送られてきます。
裁判を通じて学んだこと
基本的に和解で解決するということを考えると、相手に対して提示する条件は「理不尽」ではない範囲で、かなり強気で行った方が良いです。
なぜなら、実際の裁判では和解になることが多く、和解するためにはコチラ側としてもある程度譲歩したという姿勢を見せる必要があるからです。
こちらが正当な意見を言い、相手が理不尽なことを言ったとしても、和解するためにはある程度譲歩することが必要。
そうであれば、こちらとしても強硬な姿勢を取った方が最終的に取れる金額が増えるということです。
最後に
敷金を取り戻すために行った少額訴訟の流れについてお伝えしました。
これから少額訴訟を起こすことを考えている方は、是非今回の記事を参考にして下さい!
また、書類の書き方についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、参考にして下さい。