サラリーマンで不動産投資を行っている方は、不動産の管理を管理会社に任せことが一般的です。
他方、管理会社の選定は不動産から得られる収支を大きく左右するとても重要なことであるにも関わらず、情報がオープンになっていないこともあり、実際には不動産近くの管理会社に何となく依頼するという流れになりがちです。
不動産投資は収益を最大化させることが目的ですから、管理会社はしっかりと選定したいもの。
そこで今回は、力がある管理会社を選ぶ上でのポイントについてご紹介させていただきます。
- 目次
- 1. 管理会社とは?
- 2. 力がある管理会社とは?
- 3. 力がある管理会社を選ぶポイント(管理委託前)
- 3-1. 客付けをするための戦略を持っている
- 3-1-1. 戦略を持っているか確認する方法
- 3-2. 電話対応が良い
- 3-3. 入居者の立場に立って行動することができる(自社管理物件への客付けを優先しない)
- 4. 力がある管理会社を選ぶポイント(管理委託後)
- 4-1. 報告・連絡・相談がしっかりしている
- 4-2. 募集条件等に関して具体的な提案をしてくれる
- 4-3. 簡単に募集家賃を下げない
- 5. 最後に
1. 管理会社とは?
まずは管理会社とは何なのか?という点についてご紹介させていただきます。
管理会社とは、不動産の価値を高めるためにオーナーに代わって様々な業務を行う会社のことをいいます。以下に管理会社のイメージを載せさせていただきましたので参考にしていただければと思います。
また、管理会社の業務内容(不動管理業)について詳しく知りたい方は、不動産管理業とは?その仕事内容を分かりやすく解説というコラムを参考にしていただければと思います。
2. 力がある管理会社とは?
力がある管理会社を選ぶ際のポイントについてお伝えさえていただく前に、どういった会社が力がある管理会社なのかという点について整理しておきましょう。
力がある管理会社とは、不動産から生み出される利益を最大化することができる会社のことです。
なぜなら、不動産投資を行う目的は、最終的な収益を最大化させることだからです。
不動産から生み出される利益を最大化させるための条件は沢山あるのですが、重要な項目としては、①空室時に入居者を決めることができる能力、そして、②入居者が長く住んでくれるように配慮する能力、この2つの能力が高い会社と言うことができるでしょう。
3. 力がある管理会社を選ぶポイント(管理委託前)
ここから、力がある管理会社を選ぶ際のポイントについてお伝えさせていただきます。
今回は、①不動産を購入して管理会社を決めなければいけないタイミングと②管理会社を選定し、実際にパフォーマンスを見ながら他の管理会社への移管を検討するタイミングの2つに分け、それぞれの場合においてどういったポイントに注目すれば良いのかという点についてお伝えさせていただきます。
まずは不動産を購入して初めて管理会社を決めなければいけないタイミングにおけるポイントについてお伝えさせていただきます。
3-1. 客付けをするための戦略を持っている
上述の通り、不動産のオーナーにとって重要なことは部屋に入居者がいる状態を維持することであり、空室が出てもすぐに入居者を決めることができる(客付けをすることができる)能力を持っていることが非常に重要です。
そして、客付けを行う際に重要になるのが、「この条件であれば高い確率で入居者が決まる」という具体的な考えを持っている管理会社を選ぶことです。
なぜなら、具体的な考えや戦略がない場合、入居付けを運に任せるだけになってしまい、結果として入居率の低下に繋がってしまうからです。
具体的な考えや戦略を持たない会社は、オーナーから何か言われたタイミングや、他の仲介会社から何か意見を言われたタイミングで初めて対応策を打ちますので、結果として対応が後手後手になり、それが入居率の低下につながります。
そして、入居者が決まらない理由を「賃料が高い」、「オーナーが頑固」と他人のせいにするのもこういった具体的な考えがない管理会社の特徴です。
3-1-1. 戦略を持っているか確認する方法
では、管理会社が具体的な戦略を持っているかどうかをどうやって確認していけば良いのでしょうか?ここからは管理会社が具体的な客付けの戦略を持っているか確認する方法についてお伝えさせていただきます。
管理会社が入居付けの戦略を持っているかどうかを確認するためには、具体的な質問をぶつけてみるのが良いでしょう。
例えば、「この物件で入居者を付けるには、家賃はいくらであれば良いでしょうか?」という質問であったり、「家賃5万円で客付けをするためには、どういった条件が必要でしょうか?」といった質問を行ってみると良いでしょう。
この質問に対し、具体的な戦略を持っている管理会社の場合、具体的な回答をしてくれる場合が多いです。
例えば、「独立洗面台とインターホンがあれば、4.5万円であれば十分に客付けは可能ですが、この2つの設備がない場合は家賃を下げても入居は決まりづらいです」であったり、「この辺りではペット可の物件が少ないので、ペット可の物件にすれば敷金を1か月分増やしても家賃5万円で十分入居者は付くでしょう。」といった回答です。
ただ「4万円ぐらいでしょうか」という回答してくる管理会社の場合は、しっかりとした戦略を持っていないと考えて良いでしょう。
あなたも拘りがある趣味について誰からから質問を受けたら、話したいことが山ほど出てくるのではないでしょうか?管理もこれと同じで、しっかりと思いを持ってやっている会社はノウハウが溜まっていますので、伝えたいことが沢山出てくるものなのです。
3-2. 電話対応が良い
2点目は電話対応の良さです。
基本的な電話対応がしっかりしている管理会社は管理の能力も高く、電話対応がしっかりしていない会社はそのパフォーマンスも低くなる傾向があります。
あなたも電話をした相手の対応が悪いと、その相手のみならず、その会社の能力まで疑ってしまうという経験はないでしょうか?
電話での第一声はその後の印象を決定付ける非常に重要な要素ですので、電話対応をおそろかにしている会社=客がどういった印象を持つかイメージできない=入居者やオーナー目線で考えることができない=パフォーマンスが悪い会社と考えることができるのです。
私も管理会社の倒産の被害を受けたことがあるのですが、その管理会社も電話応対がとても悪かったです。管理会社が倒産する前に見られた兆候について把握しておきたい方は、管理会社が倒産!倒産前に見られた5つの兆候というコラムを参考にしていただければと思います。
3-3. 入居者の立場に立って行動することができる(自社管理物件への客付けを優先しない)
3点目は、入居者目線で営業を行っているということです。
管理会社は自社で管理を行っている物件の客付けを優先して行う傾向があります。なぜなら、管理している不動産の客付けをすることにより、オーナーからの広告料、入居者からの仲介手数料、毎月の管理料と大きな収入を得ることができるからです。
管理を行っている物件とその他物件の内装等に差がない場合、管理を行っている物件を優先的に紹介するのは当たり前と言えるでしょう。
この場合において問題になるのは、明らかに管理を行っている物件の競争力が低いにも関わらず、他の物件を意図的に紹介しない管理会社です。
オーナーの立場から考えると、優先的に自分の物件を紹介してくれる管理会社は良い管理会社だと思われるかもしれませんが、こういった対応をする管理会社の物件は最終的に入居率が上がらなくなる傾向があります。
なぜなら、マーケットよりも悪い物件を紹介された入居者は、「管理会社に騙されたのではないか」という印象を持ってしまう可能性が高いからです。
今はインターネットで物件情報を集めることができますので、入居希望者も入居を決めた物件が市場よりも良い物件なのか悪い物件なのかは少し調べればすぐに分かります。
そして、マーケットよりも悪い条件で借りてしまった入居者は、短期間で退去する傾向があります。
管理会社と会話する際には、客付けの方針について何を最優先にしているのかをしっかりと確認するようにしましょう。
4. 力がある管理会社を選ぶポイント(管理委託後)
次に、管理委託後、その管理会社が本当に力があるか確認する方法についてお伝えさせていただきます。
契約前のチェックポイントの条件を満たしていたとしても、契約後でなければ本当にその管理会社のパフォーマンスが分からないということは良くありますので、契約後、管理会社に任せっきりにせず、しっかりと見極めを行っていくことが重要です。
4-1. 報告・連絡・相談がしっかりしている
まずは、報告・連絡・相談がしっかりしているということが挙げられます。
不動産の所有者はオーナーですので、ちょっとしたトラブルや入居者から意見が寄せられた場合などは、管理会社はオーナーに対してその旨をしっかりと報告する義務があります。
他方、オーナーと管理会社は日々顔を合わせているわけではなく、更にオーナーも日々物件を見に行っているわけではありませんので、管理会社からオーナーへの報告・連絡・相談業務は基本的におろそかになりがちなのが現状です。
入居者の対面は管理会社ですので、管理会社が入居者から受けたコメントをオーナーに繋がない場合、オーナーは入居者の意見を聞く方法が全くありません。
そして、オーナーが知らないうちに入居者の不満が蓄積されていき、結果的に退去に繋がってしまうということが発生するのです。
更に、オーナーへの報告はめんどくさいという考えを持っている管理会社は、オーナーがあまり口を出してこないことが分かると、その物件に書ける手間をどんどん減らしていきます。
その結果、最終的にはトラブルが発生した時だけ対応する=後手後手の対応となり、よけいな支出が増え、不動産から得られる収入が減ってしまうのです。
逆に、しっかりと業務を行っている会社は、自社がしっかりと仕事していることを伝えるため、逐次オーナーに対して報告をするものです。
4-2. 募集条件等に関して具体的な提案を行ってくれる
管理会社は基本的にオーナーにとって耳が痛い提案を行うことはほとんどありません。
とりわけ賃料の改定に関しては、管理会社はほとんどの場合、オーナーに対して何も意見を言いません。
なぜなら、オーナーに対して賃料を下げるという提案を行うことは、①管理会社として客付けの力がない印象をオーナーに与えてしまう、②オーナーが怒ってしまうという2つのリスクを抱えているからです。
つまり、管理会社から見ると、あえてリスクを取ってオーナーに対してこういった提案を行うことをやるメリットは薄いのです。
他方、入居者が決まる賃料というのはマーケットが決めることですので、例えば、マーケットよりも高い賃料で募集をしている場合、その部屋は埋まりません。
埋まらないということは、オーナーにとっても管理会社にとっても機会損失につながり、不動産から得られる収入が減ってしまいます。
そういった意味で、長い目で見ればオーナーにとって耳が痛い提案であってもそれを聞いてくれる管理会社を選ぶことが重要なのです。
4-3. 簡単に募集家賃を下げない
これは上記4-2.と相反するのですが、かなり規模が大きい管理会社になると、とにかく入居率を高めるためにオーナーに対して賃料を下げる提案をしてくることがあります。
管理会社にとって入居率はオーナーから管理を受託する上で非常に大きなアピールポイントですので、既存のオーナーの募集賃料を下げて、とにかく自社管理物件の入居率を上げようとするのです。
オーナーが募集しようとしている部屋の賃料の妥当性はインターネットを活用すれば簡単に調べることができます。だからこそ、オーナーが自身がしっかりとマーケット賃料を把握し、管理会社の提案が妥当かを確認する必要があるのです。
競合の管理会社にも同時にヒアリングを行い、管理会社が提案してきた賃料が本当に妥当かどうか、しっかりと確認するようにしましょう。
5. 最後に
一般的に不動産の管理会社を決めると、ずっとその会社に管理を委託しがちになってしまいますが、管理会社のパフォーマンスは賃貸経営の成績に大きな影響を及ぼしますので、しっかりと選定するようにしましょう。
管理会社も規模が大きくなると、一つ一つの仕事が雑になりがちです。有名だからという理由で管理会社を選ぶのではなく、しっかりとした基準を持って管理会社を選定するようにしましょう。
このコラムが管理会社選定の一助になれば幸いです。