不動産の購入にあたっては様々な税金や費用が発生します。
購入する前には、どれぐらいの費用がかかるのか。そして、その費用を安くすることができるのか知りたいところですよね。
そこで今回は、収益物件を念頭に、不動産の購入にあたって発生する費用について分かりやすく解説します。
- 目次
- 1. 費用総額のイメージ
- 2. 仲介手数料
- 2-1. 仲介手数料は値引きすることができるのか?
- 2-2. 仲介手数料を支払うタイミングは?
- 3. 登録免許税
- 3-1. 登録免許税を安くすることは可能なのか?
- 3-2. 登録免許税を支払うタイミングは?
- 3-3. 司法書士に支払う報酬は?
- 4. 不動産取得税
- 4-1. 不動取得税を割引することは可能なのか?
- 4-2. 不動産取得税を支払うタイミングは?
- 5. 印紙税
- 5-1. 印紙税を支払うタイミングは?
- 6. 固定資産税・都市計画税
- 6-1. 固定資産税・都市計画税を安くすることは可能なのか?
- 6-2. 固定資産税・都市計画税を支払うタイミングは?
- 7. 最後に
1. 費用総額のイメージ
まずは、費用総額のイメージについて見ていきましょう。
不動産の購入にあたっては、概ね不動産価格の8%~10%の手数料が発生します。
そして、上記の数字の中で、3つの費用がその大半を占めます。その3つとは、①仲介手数料、②不動産取得税、③登録免許税です。
この3つが主な内容であることは、しっかりと認識しておきましょう。
ここから、それぞれの費用の内容について見ていきましょう。
2. 仲介手数料
まず初めは、仲介手数料です。
この費用は、不動産を紹介してくれた仲介会社に対して支払う手数料です。そして、その費用は不動産の金額によって異なってきます。
その費用は以下の通りです。
売買価格 | 仲介手数料 |
200万円以下 | 5.4% |
200万円~400万円以下 | 4.32%+2.16万円 |
400万円超 | 3.24%+6.48万円 |
2-1. 仲介手数料は値引きすることができるのか?
ここで気になることとして、仲介手数料を値引きすることができるのか?ということがあるかと思います。
結論からお伝えすると、仲介手数料を値引きすることは可能です。なぜなら、上記の数字は宅建業法で定められた上限であり、上限を超えなければ手数料の金額はいくらでも良いからです。
ただし、仲介手数料の割引をするにはポイントがあります。そのポイントについては、【宅建業者が解説】仲介手数料を値引きするために知っておくべき6つのポイントいう記事を参考にして下さい。
また、仲介手数料の計算方法についても、知っておいた方が良いポイントがありますので、細かい計算方法について理解したい方は、仲介手数料とは?不動産売買における仲介手数料の計算方法を詳細に解説いう記事を参考にして下さい。
2-2. 仲介手数料を支払うタイミングは?
次に、仲介手数料を支払うタイミングについてお伝えします。
結論としては、仲介手数料は決済のタイミングで支払うことが一般的です。決済とは、不動産の売買代金を全て支払い、建物の引渡しを受けたタイミングのことです。
他方、仲介会社によっては、買付を入れたタイミングで手付金を請求してくることもあります。
手付金を取るかどうかは会社によっても異なってきますので、しっかりと確認するようにしましょう。
基本的には、良い物件の場合は手付金を払っても良いでしょう。その金額はおよそ10万円前後が一般的です。
3. 登録免許税
次に、登録免許税について見ていきましょう。
登録免許税とは、不動産を登記する際に支払う必要がある手数料のことです。そして、その支払い先は、国(法務局)です。
不動産を購入する際、登記をすることは義務ではありません。
ただし、銀行から借り入れをする場合は必ず登記をする必要がありますので、ほとんどの場合において登記は必要と言えるでしょう。
その金額は以下の通りです。
登録免許税 = 不動産(土地と建物)の固定資産税評価額の2%
ここで、固定資産税評価額という言葉が出てきました。固定資産税評価額は、おおよそ時価の70%の金額と考えていただければと思います。
固定資産税評価額の詳細について理解したい方は、固定資産税評価額の計算方法をわかりやすく解説という記事を参考にして下さい。
また、不動産の登記をしないとどうなるのか、という点については、土地や建物の登記って本当に必要?登記しないとどうなるのか?という記事を参考にして下さい。
3-1. 登録免許税を安くすることは可能なのか?
次に、登録免許税を安くすることはできるのか?という点について見ていきましょう。
結論からお伝えすると、登録免許税の割引は可能です。もう少し詳しい表現としては、国が割引の制度を制定しています。
平成29年3月31日までに登記した土地に関しては、税率が0.5%割引され、固定資産税評価額の1.5%となります。
また、平成29年3月31日までに登記した、居住用の不動産の場合、建物の税率が1.7%割引され、0.3%となります。
詳しい内容については、国税庁のホームページを参考にして下さい。
3-2. 登録免許税を支払うタイミングは?
次に、登録免許税を支払うタイミングについて見ていきましょう。
登録免許税は登記の申請書を法務局に提出するタイミングで支払います。
実務においては、司法書士が代理で申請を行うことが一般的です。銀行から融資を受ける場合、ほぼ100%司法書士が申請をすることになるでしょう。
この場合において、司法書士があなたに登記費用を請求するのには2つのパターンがあります。
一つは、司法書士が一度立て替えた上で、後日買主に請求をする場合、そして、もう一つは登記をするタイミング=決済日までに司法書士に送金するよう求めてくる場合です。
一般的には、決済のタイミングで登記費用を司法書士に払う必要がある(司法書士が立て替えることは少ない)ことは、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
3-3. 司法書士に支払う報酬は?
上述の通り、登記申請は司法書士が行うことが一般的ですので、司法書士に対しても報酬を払う必要があります。
その費用の相場は概ね10万円から15万円の間と考えておくと良いでしょう。
なお、場合によっては、金融機関が司法書士を指定する場合や、仲介会社が司法書士を指定する場合もありますので、その点は意識しておくようにしましょう。
金融機関などが指定する司法書士の見積もりが高い場合は、しっかりと交渉をするようにしましょう。
4. 不動産取得税
次に、不動産取得税についてみていきましょう。
不動産取得税は、不動産を取得した場合に発生する税金のことです。そして、不動産取得税は都道府県税ですので、納付先は都道府県となります。
不動産取得税の費用は以下の通りです(平成30年3月31日までに取得された土地・建物が対象です)。以下の税率は、固定資産税評価額に対する割合であることに注意して下さい。
種別 | 税率 |
土地(居住用) | 3% |
建物(居住用) | 3% |
建物(非居住用) | 4% |
4-1. 不動産取得税を割引することは可能なのか?
次に、不動産取得税を安くすることはできるのか、という点について見ていきましょう。
結論からお伝えすると、不動産取得税を安くすることは可能です。
ただし、安くできる全ての場合において、自己居住用の不動産を取得するということが条件になります。
つまり、収益物件の購入の場合には当てはまらないということは把握しておきましょう。
また、不動産取得税は都道府県税ですので、軽減措置の内容は各都道府県によって異なります。
詳しい内容について把握したい方は、「対象となる都道府県 + 不動産取得税」というキーワードで検索してみると良いでしょう。
4-2. 不動産取得税を支払うタイミングは?
不動産取得税を支払うタイミングは、都道府県によって異なりますが、おおよそ不動産の登記が完了してから3~6か月以内です。
法務局で登記が完了し、所有権が変わると、その旨が都道府県に通知され、支払書が送付されるという形です。
不動産取得税は忘れたころに請求が来る、と良く言われる通り、高額の請求が決済後に来ますので、しっかりとお金を準備しておくようにしましょう。
5. 印紙税
次に、印紙税について見ていきましょう。
印紙税とは、課税対象となる文章に対して課される税金のことです。その支払い先は国です。
印紙税の対象となる文章は20種類あります。その内容は、売買契約書から、領収書、保険証券など、さまざまなものがあります。
そして、不動産の売買において発生する印紙税として挙げられるのは、「不動産の売買契約書」と、銀行から融資を受ける際に契約する「金銭消費貸借契約書」です。
その金額はそれぞれ以下の通りです。普通の税率の横に軽減税率も入れてますので、参考にして下さい。
①不動産売買契約書
売買金額 | 税額 | *軽減後税額 |
10万円超、50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超、100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超、500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超、1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超、5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超、10,000万円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
10,000万円超、50,000万円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
50,000万円超、100,000万円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
*平成30年3月31日までに作成された契約書に関しては、軽減税額が適用されます。
②金銭消費貸借契約書
上記不動産売買契約書と同じ税額です。ただし、軽減措置はありません。
5-1. 印紙税を支払うタイミングは?
次に、印紙税を支払うタイミングについて説明します。
印紙税は、その対象となる文書が作成されたら、速やかにその文書に印紙を貼る必要があります。
すなわち、売買契約や金銭消費貸借契約を結ぶ前に、事前に法務局や郵便局で、印紙を購入しておくようにしましょう。
6. 固定資産税・都市計画税
次に、固定資産税・都市計画税について見ていきましょう。
固定資産税・都市計画税とは、保有する資産に対して支払う必要がある税金のことです。そして、その支払い先は市町村です。
固定資産税・都市計画税の税額は、一般的には以下の数値となります(厳密には、市町村によって異なりますが、ほとんど全ての市町村において以下の数字を採用しています)。
固定資産税 = 土地並びに建物の固定資産税評価額 x 1.4%
都市計画税 = 土地並びに建物の固定資産税評価額 x 0.3%
6-1. 固定資産税・都市計画税を安くすることは可能なのか?
次に、固定資産税・都市計画税を安くすることは可能なのか?という点についてみていきましょう。
結論からお伝えすると、税額を安くすることは可能です。
ただし、不動産取得税と同様、基本的には居住する場合に限り、税額を安くすることができます。
細かい制度について把握したい方は、「市町村 + 固定資産税」という言葉で検索をすると良いでしょう。
6-2. 固定資産税・都市計画税を支払うタイミングは?
次に、固定資産税・都市計画税を支払うタイミングについて見ていきましょう。
固定資産税・都市計画税は、1月1日時点の所有者が払う必要があります。
例えば、2017年の6月1日に不動産を売買した場合であっても、前の所有者が2017年1年分の固定資産税・都市計画税を支払う必要があるのです。
しかし、前所有者からすると、売却した不動産に対する税金を払うことは納得できませんので、実務上は、不動産の決済のタイミングで精算をすることが一般的です。
具体的には、上記の場合、6月1日から12月31日までの税額を、新所有者が旧所有者に対し、決済日に支払うという形を取ります。
7. 最後に
不動産を購入する際に発生する税金についてお伝えしました。不動産の売買をする際、仲介会社から費用の詳細の提示があった際に、今回の記事を確認しながら金額の確認をしていくと良いでしょう。