土地を持っているけれども、どういった形で活用すればいいかわからない。土地の具体的な土地活用の方法について知りたい。
土地をお持ちの方の中には、こういった考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかし、土地を活用する機会はあまり多くないということもあり、誰に何を聞けば良いのか分からない方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、具体的な土地活用の方法について、収益性と共に分かりやすく説明します。
- 目次
- 1. 土地活用の目的を整理する
- 1-1. 基本的には収益をあげることが重要
- 1-2. 収益をあげること以外が目的になる場合
- 1-2-1. 相続対策として土地を活用する場合
- 1-2-2. 早急に土地を売却する必要がある場合
- 2. 土地活用をする前に考えておかなければいけないこと
- 2-1. 頭金の必要額
- 2-2. 融資組成の可能性
- 2-3. 出口戦略
- 3. 活用する土地の「特徴」を知る
- 3-1. 用途地域について調べる
- 3-2. 建ぺい率、容積率を調べる
- 3-3. 接道状況を調べる
- 4. 具体的な土地活用の方法ならびに収益性を紹介
- 4-1. 活用の前提とする土地
- 4-2. 収益性の計算において使う指標
- 4-2-1. キャッシュフロー
- 4-2-2. ROA
- 4-2-3. IRR
- 4-2-4. ペイバック期間
- 5. 市街化調整区域の土地の場合
- 5-1. 青空駐車場として土地活用する場合
- 5-1-1. 収益性
- 5-1-1-1. 設置台数を把握する
- 5-1-1-2. 駐車料金を把握する
- 5-1-1-3. コストを把握する
- 5-1-1-4. 収益性を求める
- 5-1-2. メリット
- 5-1-3. デメリット
- 5-2. 土地として貸す
- 5-2-1. 収益性
- 5-2-1-1. 賃料を計算する
- 5-2-1-2. 費用を計算する
- 5-2-1-3. 収益性を求める
- 5-2-2. メリット
- 5-2-3. デメリット
- 5-3. 太陽光発電設備を設置して土地活用する場合
- 5-3-1. 収益性
- 5-3-1-1. 太陽光パネルの設置枚数を計算する
- 5-3-1-2. 太陽光パネルの設置によって得られる収益を計算する
- 5-3-1-3. 費用を計算する
- 5-3-1-4. 返済額を計算する
- 5-3-1-5. 収益性を求める
- 5-3-2. メリット
- 5-3-3. デメリット
- 6. 市街化区域の土地の場合
- 6-1. 居住用アパートを建てて土地活用する場合
- 6-1-1. 収益性
- 6-1-1-1. 建築する建物の規模を整理する
- 6-1-1-2. 建築費を把握する
- 6-1-1-3. 賃料を計算する
- 6-1-1-4. 返済額を計算する
- 6-1-1-5. 収益性を求める
- 6-1-2. メリット
- 6-1-3. デメリット
- 6-2. テナント向けのビルを建てて土地活用する場合
- 6-2-1. 収益性
- 6-2-1-1. 建築する建物の規模を整理する
- 6-2-1-2. 建築費を把握する
- 6-2-1-3. 賃料を計算する
- 6-2-1-4. 借入条件
- 6-2-1-5. 収益性を求める
- 6-2-2. メリット
- 6-2-3. デメリット
- 6-3. コインパーキングとして土地活用する場合
- 6-3-1. 収益性
- 6-3-1-1. 設置台数を把握する
- 6-3-1-2. 収入を把握する
- 6-3-1-3. コストを計算する
- 6-3-1-4. 収益性を求める
- 6-3-2. メリット
- 6-3-3. デメリット
- 6-4. その他物件と、その他物件で土地活用の検討をする際に意識しておくべきこと
- 6-4-1. その事業の将来性
- 6-4-2. 代替性の高さ
- 6-4-3. 経済合理性がある事業かどうか
- 7. その他の土地活用方法
- 7-1. そのまま売却する
- 7-1-1. メリット
- 7-1-2. デメリット
- 8. それぞれの場合の収益性をまとめて比較
- 8-1. 土地活用検討結果から考えられること
- 8-1-1. 市街化区域であれば、建物を建てた方が収益性が高い
- 8-1-2. 太陽光設備の設置による土地活用は慎重に検討を行うことが必要
- 8-1-3. コインパーキングを設置する土地活用方法は、場所によっては非常に投資効率が良くなる可能性がある
- 9. 最後に
1. 土地活用の目的を整理する
これから土地活用をしようと考えている方の中には、「何を基準」として活用方法を決めれば良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そういった方は、「どういった活用方法があるのか」という点に焦点がいってしまい、そもそもとして「何のため」に土地活用をするのかという原点を忘れてしまっているのではないかと思います。
そこで、まずはじめに土地活用をする目的について改めて簡単に整理していきましょう。
1-1. 基本的には収益をあげることが重要
土地活用をする目的、それは土地をうまく使うことによって「収益を得る」ということに他なりません。相続で手に入れた土地などの場合は、「思い入れ」が入ってしまう方も方もいらっしゃるかもしれませんが、土地は「資産」であり、「資産」というのはお金を生みだす箱なのです。
そして、土地は一つ一つ性格が違いますし、土地を持っている方の状況によっても土地活用の方法が変わってきます。
つまり、土地活用の目的は、その土地の特性を踏まえ、最も高い収益を得ることができる土地活用の方法を行う、ということを念頭においておきましょう。
1-2. 収益をあげること以外が目的になる場合
ただし、土地を持っている方の中には、それぞれの事情により、収益をあげること以外を目的にせざるを得ない方もいらっしゃるのではないかと思います。
では、そういった場合にどういった選択肢があるのか、ここで目的と共に簡単に紹介していきます。
1-2-1. 相続税対策として土地活用をする場合
まず考えられるのが、相続税対策として土地活用をする場合です。
相続税対策として土地活用をする場合に気を付けなければいけないポイントは、対象となる土地を活用した場合の土地の相続税評価額と、そのままにした場合の相続税評価額を比べ、相続税評価額が一番低くなるような運用を行うという点です。
土地を色々な場合で活用した場合に、それぞれの相続税評価額がいくらになるのかという点に関しては、 相続対策|不動産の時価と相続税評価額の違いを個別に詳しく解説というコラムでまとめていますのでこちらを参考にしてください。
ただし、相続税対策として土地活用をする場合に注意しておかなければいけないことがあります。
それは、その対策を行った後の土地の収益性についてです。
一時的な税金を減らすために対策を取ることは有効ですが、その結果として、土地活用をした際に得られる収入よりも節税効果による減税効果の方が小さければ、 本質的に何をやっているのかわからないということになってしまいます。
相続税対策として土地活用をする場合でも、その目的は「収益をあげること」ということを忘れないでください。
1-2-2. 早急に土地を売却する必要がある場合
次に、早急に現金が必要な場合が考えられます。
早急に現金が必要な場合、基本的には大手の不動産会社に買取の依頼するというのが最もスピードが速いです。大手の不動産会社は多額の現金を持っていますので、融資組成と関係なく、その土地を買い取ってくれるでしょう。ただし、この場合は時価よりも安い金額で売却しなければいけないことを覚悟しましょう。
大手不動産会社 | 仲介会社 | |
スピード | ↑速い | ↓遅い |
売却価格 | ↓安い | ↑高い |
他方、不動産仲介会社に売却の依頼をした場合、大手不動産会社による買取よりも高い金額で売れる可能性があります。しかし、基本的に買手による融資承認が必要であることから、売却のスピードが非常に遅くなってしまうことが考えられますので、この辺りはバランスを見ながら動いていくことをおすすめします。
2. 土地活用をする前に考えておかなければいけないこと
ここから、土地の具体的な特徴を明らかにした上で、効率的な運用方法について紹介していきます。
ただし、土地活用をするということは、お金を出す必要がある場合がほとんどです。だからこそ、土地活用の方法について考えていく前に、意識しておかなければいけないことがあります。ここで、具体的な検討をする前に頭の片隅で意識しておかなければいけなポイントについてお伝えします。
2-1. 頭金の必要額
まずは、土地活用をして何か投資をする場合には頭金が必要であることを意識しておきましょう。
土地活用をする場合は、ほとんどの場合において何らかの費用が発生します。そして、その額は決して小さくはありません。また、どれだけ安全な投資商品としても、銀行としては案件の安全性を高めるため、借主に対して頭金を出すことを求めてきます。
そして、求められる頭金の額は案件のリスクに応じて変わってきます。
とりわけ、既にあるものに融資を行うということでは無い場合、銀行にとっては案件のリスクが高いとみなされてしまうため、相応の頭金が必要とされると考えておきましょう。
一般的な投資用不動産における頭金の必要額を知りたい方は、不動産と頭金の関係【頭金は結局いくらあれば良いのか?】いうコラムを参考にして下さい。
2-2. 融資組成の可能性
頭金について考えた後は、そもそもの問題として、その活用方法は銀行として融資を組むことができるのかという点について考えていく必要があります。
銀行が融資をしないような事業であれば、どれだけ収益性があるからといっても絵に描いた餅になってしまいます。
また、銀行が融資を行う上では、その事業のみならず、借主の信用情報も必要となってきます、具体的には、資産背景や年収、現在保有している資産情報などです。
銀行はこういった情報をもとに、総合的に融資の判断を行います。なお、銀行によっても得意とする融資商品がありますので、そのあたりの内容についても個別にしっかりと調べていく必要があるでしょう。
2-3. 出口戦略
土地を活用する際にここまで考えることは難しいかもしれませんが、出口戦略についてもしっかりと考えておきましょう。
土地を含む不動産の活用において、最終的に何をもって成否が決まるのかというと、「売却後、手元に残ったキャッシュ」です。
活用し始めてから10年間はキャッシュがプラスになる一方、その後はずっと赤字になるような活用をした場合、そもそもなんのために活用しているのかが分からないということにもなりかねません。
最終的に黒字で案件を終えることができるのかという出口戦略についてもしっかりと意識しておくようにしましょう。
3. 活用する土地の「特徴」を知る
ここから具体的な土地活用の方法についてご紹介していきます。まずは、その「土地」の特徴をしっかりと調べておきましょう。
土地を活用する前に、その土地の「建築基準法」上どういった分類になっているのか調べる必要があります。
ここで、建築基準法上の整理について図で簡単に説明します。以下はざっくりとした整理であること、お含みおき下さい。
土地は、建物を建てることが基本的にできない「市街化調整区域」と、建物を建てることができる「市街化区域」に分けられます。
そして、市街化区域の中でも、「ここは商業用の施設を建てるべき」、「ここは住居にするべき」といったその土地のありかたに基づいて更に細かく区分されます。
この細かい区分のことを「用途地域」と言います。つまり、土地活用の方法について考える場合、この「用途地域」をしっかりと知らないといけないのです。
3-1. 用途地域について調べる
さっそく用途地域について調べていきましょう。用途地域という言葉はしっかりと覚える必要はありません。今回紹介するポイントだけ押さえておけば問題ありませんのでご安心下さい。
用途地域を含む土地の状況について調べるためには、基本的には市役所に行き、都市計画図を見る必要があります。しかし、最近ではインターネットで「都市計画図」を公開している市町村も増えてきていますので、まずは市役所のホームページから検索をしてみると良いでしょう。
今回は、「中野区新井2-1-1」を対象として、この地域の用途地域について調べてみることにしましょう。中野区新井2-1-1の地図を下記します。
まずは、上記の通り、中野区のホームページに都市計画図が掲載されているかどうかを確認しましょう。
「中野区 都市計画」と検索します。すると以下のような検索結果が出てきました。
どうやら中野区は都市計画図をインターネット上に公開しているようです。早速クリックしてみましょう。
クリックすると、用途地域の図と書かれたリンクがありましたので、そのリンクをクリックします。すると、以下の図がでてきました。
ここから、「中野区新井2-1-1」の地域を拡大してみます。拡大した地図がこちらです。
そして、水色で示した部分が中野区新井2-1-1です。ここから、対象とする住所はピンク色の用途地域に属していることが分かります。
ここで、中野区の都市計画図の色分けについてみてみましょう。用途地域の図の右上に以下のようなカテゴリー分けがされています。
ここから、対象とする住所は「商業地域」ということがわかりました。
3-2. 建ぺい率、容積率を調べる
用途地域が分かったら、次に建ぺい率、容積率について調べていきましょう。実は、この建ぺい率、容積率は用途地域と密接に関係しており、都市計画図と一緒に記載されていることがほとんどです。
先ほどの図をもういちど見てみましょう。600、80という数字があります。実は、この数字が建ぺい率、容積率なのです。
この場合、建ぺい率が80%、容積率が600%ということを意味します。
これは、敷地面積100m2の土地を持っている場合、80m2まで土地を使って良く、複数階の建物を建てる場合は延べ床面積を600m2まで大きくすることができるということを意味します。
3-3. 接道状況を調べる
最後に、接道状況を調べましょう。建築基準法上、全ての土地は道路に2m以上接していないと建築物を建てることができない。というルールがあります。
このルールにもとづき、しっかりと接道していることを確認することも重要ですが、実はそれ以上に重要なポイントもあります。
そのポイントとは、接道する道路の幅をしっかりと確認するということです。
なぜなら、接道する道路の幅によって建てることができる建物の高さが変わってくるからです。もう少し厳密な表現では、接道状況によって容積率が変わってくるのです。
接道状況にもとづく容積率の計算方法は以下の通りです。
①用途地域にもとづく容積率を調べます
②接道している道路の幅を調べ、その幅に対し、商業系の用途地域であれば60を、住居系の用途地域であれば40をかけます
③ ①と②で計算した数字を比べ、小さい方の数字が容積率になります。
ここで、接道状況を調べる方法について紹介します。
接道状況を調べる方法は、市役所の道路課に行き、「接道状況を教えて欲しい」といえば教えてくれます。
その際のポイントとしては、実際の物理的な道路の幅と、建築基準法上で整理された道路の幅が同じとは限らないということです。
これは残念ながらネットで調べることはできません。容積率が大きい一方で接道の幅が狭い場合は、役所に確認に行くと良いでしょう。
4. 具体的な土地活用の方法ならびに収益性を紹介
ここから、具体的な活用方法ならびにそれぞれの場合における収益性について紹介していきます。市街化調整区域に土地がある場合と市街化区域に土地がある場合で土地活用の方法におおきな違いがありますので、今回は「市街化調整区域」の場合と「市街化区域」の場合で分けて土地活用の方法について紹介していきます。
4-1. 活用の前提とする土地
活用する土地の前提条件について整理しましょう。今回は、用途地域の計算において参照した「中野区新井2-1-1」の住所をベースに、それぞれの場合における収益性について見ていこうと思います。
本来であれば土地一つ一つに対して活用方法を検討するべきであり、今回紹介する情報は参考に過ぎませんが、イメージを沸かせる上で活用して下さい。
項目 | 詳細 |
住所 | 中野区新井2-1-1 |
土地面積 | 200m2 |
建ぺい率 | 80% |
容積率 | 600% |
また、土地は以下のような正方形を想定し、十分に広い幅の道路に接道しているとします。
次に、この土地の時価について調べてみましょう。
土地の取引情報は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」から調べることができます。
上記ホームページから、中野区新井周辺の土地の成約事例並びにその価格を調べていきましょう。
以下が中野区新井での検索結果です。
この事例を見ると、取引価格に幅はあるものの、平均として坪あたり150万円で取引されていることがわかります。ここから、対象とする土地の時価を9,900万円としました。
対象とする土地の時価=9,900万円
この土地を前提として、具体的な活用方法に応じた検討を進めていきますが、その前に、どういった形で今回の各事例の収益性を整理していくのかという点についてお伝えします。
4-2. 収益性の計算において使う指標
ここから、収益性の計算において使う指標について説明します。今回の収益性の計算においては、絶対的な収益を計算するという意味でのキャッシュフロー、土地の時価に対する稼ぎの効率性としてのROA、そして投資効率を見るIRRの3つの指標を使って収益性について見ていきます。
4-2-1. キャッシュフロー
まずはキャッシュフローです。キャッシュフローは以下の計算で導きます。
キャッシュフロー=収入-支出
土地から得られる収入が100万円で、その収入を得るために必要とされる経費が50万円という場合、キャッシュフローは100-50=50万円となります。
4-2-2. ROA
次に、ROAについて説明します。ROAとは、Return on Assetの略です。一般的に規模が大きい資産ほど稼ぎの絶対額が大きくなりますので(10戸のマンションよりも100戸のマンションの方が家賃収入は高くなります)、資産の大きさに対してどれぐらいの収益を得ているのかを示しているのでこのROAです。
不動産投資においては、利回りという表現の方がしっくりくるかもしれません。
今回は、ROAの計算は以下の式によって行います。
ROA=キャッシュフロー / (土地の時価+建物等の設備の価格)
4-2-3. IRR
次にIRRについて説明します。IRRとは、Internal rate of returnの略であり、日本語では内部収益率と言います。
少しかみ砕いて説明すると、現在価値がゼロになる割引率、ということになるのですが、これでも専門用語が多いので分かりづらいと思います。
IRRについては別途「IRRとは何なのか、具体例と共に解説」というコラムで説明していますので、詳しく学びたい方はそちらを参考にしてください。
今回は、10年間運用した場合を前提としてIRRを算出します。
IRR=収入と支出の現在価値の合計がゼロになる割引率
4-2-4. ペイバック期間
最後に、ペイバック期間について説明していきます。ペイバック期間とは、自己資金から拠出した金額を回収することができるまでにかかる期間のことを言います。例えば、100万円のお金を出して、毎月10万円の収入がある商品を購入したとすると、この案件のペイバック期間は10か月となります。
ペイバック期間=支払った自己資金を回収するまでの期間
今回活用する投資指標について把握した上で、早速土地活用の方法を一つずつみていきましょう。
5. 市街化調整区域の場合
まずは、土地が市街化調整区域にある場合の活用方法です。
この場合、建物を建てることはできませんが、いくつか活用の方法がありますので、一つずつ紹介します。
5-1. 青空駐車場として土地活用する場合
まずは、青空駐車場として活用する場合が考えられます。青空駐車場とは、コインパーキングのように機械を設置することなく、土地に線だけを引いて借主から賃料をもらうものです。
5-1-1. 収益性
青空駐車場として活用する場合の収益性について見ていきましょう。
5-1-1-1. 設置台数を把握する
まずは、対象とする土地に何台の車を停めることができるのか計算します。
一般的な駐車場において必要とされる広さとしては、幅2.5m、長さ5m、道路幅5mが必要とされています。この前提にもとづいて、200m2の正方形の土地に何台の車を停めることができるのか調べてみましょう。すると、以下の図のように7台の車を置けるということが分かりました。
置ける車の数 7台
5-1-1-2. 駐車料金を把握する
青空駐車場ではコインパーキングとしての利用はできませんので、月ぎめとして使う必要があります。月ぎめとしていくらの賃料が取れるのか調べてみましょう。
実際の駐車場の賃料を調べるには、「駐車場 月極」と検索すれば数多くのサイトが出てきますので、そちらを参考にして下さい。
以下赤丸が対象の土地、として赤丸から少し左に見えるのが実際に募集をしている駐車場です。図の右側に28,000円という賃料が書かれています。
ここから、この場所では一台あたり28,000円の賃料を取ることができると仮定します。そうすると、毎月得られる賃料は以下の通りとなります。
駐車場収入 20万円
5-1-1-3. コストを把握する
青空駐車場として活用する場合、最低限必要な投資として、「駐車場の線を引く」必要があります。駐車場の線引きに必要な費用としては、概ね10万円をみておけばよいでしょう。
駐車場の線を引くのに必要な費用 10万円
5-1-1-4. 収益性を求める
ここまで調べてきた内容をベースとして、実際に収益性を計算してみましょう。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 240万円 |
ROA | 2.4% |
IRR | 200% |
ペイバック期間 | 1か月 |
5-1-2. メリット
ここから、青空駐車場として活用する場合のメリットとデメリットについて整理していきましょう。
①すぐにやめることができる
駐車場経営の最大のメリットは、すぐにやめることができるということでしょう。
駐車場の賃貸借契約は、借地借家法が適用されません。借地借家法では、家の貸主は正当事由がないかぎり、賃貸借契約を解除することができませんが、駐車場の場合はこの適用がありませんので、土地の持ち主であるあなたから借主に対して一方的に契約を解除することができるのです。
駐車場として経営をする場合、事業の撤退が容易にできると言えるのです。
②初期投資費用が安い
また、初期投資の費用が安いということもメリットです。区画を分けるための線を引いたり、仲介会社に仲介の依頼をした場合に仲介手数料を払う必要はありますが、総じてコストとしてはほとんどかからないと言えるでしょう。
5-1-3. デメリット
次に、デメリットについて見ていきましょう。
①収益性が低い
まず考えられる駐車場経営のデメリットは収益性です。ほとんどコストをかけないということは、得られるリターンもあまり高くないということを意味します。
また、流動性高いということは、その分リスクが小さいということですから、リスクに応じたリターンである収入も少なくなってしまいがちということは意識しておきましょう。
②需要が見えづらい
次に、駐車場の場合はどれほどの需要があるのか分かりづらいということもデメリットとして挙げられます。
人が一般的にストレスなく駐車場まで移動できる距離としては、概ね10mぐらいでしょう。この距離を超えると、借手にとって駐車場の価値は非常に低くなってしまうのです。
また、近くに駐車場があったとしても、交差点を一つはさんだしまったために、利用者が減ってしまういったことも起こり得ます。
そういった意味では、駐車場として活用をする前に綿密な調査を行う必要があるでしょう。
5-2. 土地として貸す
次に、土地としてそのまま貸し出すことによって土地活用する方法についてみていきましょう。土地として貸し出すというのは、もっとも手間がかからない活用方法でしょう。
5-2-1. 収益性
まずは収益性についてみていきます。土地の場合は何もしなくても良いですので、そのまま貸し出すことができます。
しかし、貸し出しをする際には仲介会社に借主を見つけるお願いをする必要があり、成約時に賃料一か月分の仲介手数料を払う必要がありますので、その点だけ支出として考えておく必要があります。
5-2-1-1. 賃料を計算する
賃料をどうするのかという点についてまず考えていきましょう。実は、土地を貸すという事例はあまりなく、実際には借手と貸手の合意によって決まってくることが一般的です。
しかし、それではあまりイメージが湧かないと思いますので、一般的に用いられている指標である利回り2%という数字をベースに考えていきましょう。
今回の土地の時価は9,900万円ですので、この土地を貸し出すことによる賃料は以下の通りです。
賃料 9,900万円 x 2% / 12か月 = 17万円
上記の通り、月々17万円の賃料を得られることが分かりました。
5-2-1-2. 費用を計算する
次に費用の計算をしていきましょう。土地の借手を自分で見つけるのは簡単ではありませんので、仲介会社に借手を見つけてもらうという前提で費用を出します。
一般的に賃貸の仲介において仲介会社に払う仲介手数料は賃料1か月分ですから、発生する費用は以下の通りです。
費用 17万円(賃料の一か月分)
5-2-1-3. 収益性を求める
収益性を以下の表にまとめました。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 204万円 |
ROA | 2.1% |
IRR | 100% |
ペイバック期間 | 1か月 |
5-2-2. メリット
まずはメリットについて紹介します。
①初期投資がいらない
土地として活用する場合の最大のメリットは初期投資費用の少なさでしょう。ほとんど何もしなくても良いですから、初期投資費用はほぼゼロと言えます。
投資としてお金を出すのが嫌な方も多いと思いますので、そういった方には非常に有効な方策と言えるでしょう。
5-2-3. デメリット
次に、デメリットについて見ていきましょう。
①収益性が低い
土地を貸す場合の賃料相場は明確には定まっていないのですが、相場を見ていると、利回りベースで2%前後の賃料であることが多いです。
今すぐに売ってしまえば1,000万円が入る一方、土地を貸すことによって得られる収益は年間で20万円。そう考えると、土地を貸すことによる収益性は非常に低いと言えるでしょう。
②流動性が低い
また、土地を貸す場合、流動性が低くなってしまうということも意識しなければいけません。
土地の賃貸借契約を締結する場合、その期間は最低でも20年、長いと50年という期間にもおよびます。
これは土地を借りる人の立場に立って考えると良くわかります。土地を借りたとしても、すぐに返さなければいけない場合、大規模な事業を進めることはできないでしょう。だからこそ、土地の借主はできるだけ長い期間での契約を望むのです。
土地を貸す場合、借地借家法のルールは適用されませんので、借主と貸主の間で自由に条件交渉をしても良いのですが、契約期間が長期になるということは意識しておいた方が良いでしょう。
土地を貸す場合は、定期借家契約を結ぶことになりますが、この契約の詳細について知りたい方は、定期借家契約とは?契約において注意すべきポイント3ついうコラムを参考にして下さい。
5-3. 太陽光発電設備を設置して土地活用する場合
次に、太陽光発電の設備を設置して土地活用する場合を考えていきましょう。
太陽光の設備の設置は建物の建築に該当すると考える方もいらっしゃるかと思いますが、太陽光設備の設置は建物の建築には当たりませんのでご安心下さい。
この店の詳細に関しては経済産業省が告示をしていますので、細かい内容について把握したい方は以下のリンク先をご覧ください。
太陽光発電設備の付属施設に係る開発許可制度上の取扱いについて
5-3-1. 収益性
まずは収益性について見ていきましょう。
5-3-1-1. 太陽光パネルの設置枚数を計算する
まずは、駐車場の場合と同様、現在の土地に何枚の太陽光パネルを置くことができるのかという点について考えていきましょう。
太陽光パネルの大きさはメーカーによって異なりますが、今回はおおよその平均値ということで、1.2m x 0.8mという大きさの太陽光パネルを前提とします。
この場合、以下の図の通り、17 x 11 = 187枚の太陽光パネルを設置することができます。パネル全体の面積は、180m2となります。
また、容量は200wと仮定しましょう。
パネルの面積 180m2
5-3-1-2. 太陽光パネルの設置によって得られる収益を計算する
上記において確認した設置枚数に応じて、どれほどの収入を得られるかを確認していきましょう。
太陽光パネルがどれほどの電力を生み出すことができるかは、太陽光パネルの発電効率がポイントとなってきます。
シンプルに考えると、日照量 x パネルの効率(太陽光のエネルギーを電気に変える割合)によって発電量を計算することができるのです。
今回の太陽光パネルでは、平均的な数値である20%の発電効率と仮定します。
太陽光パネルの発電効率 20%
次に、一日にどれぐらいの日照量があるのかという点について計算していく必要があります。
地域の日照量について調べる上では、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)というホームページから数字を調べることが一般的です。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、日照量に関するぺージはコチラ
上記ページから、東京の日照量について調べた結果がコチラです。
太陽光の設置確度によって日照量が変わってきますが、今回は最も沢山の日照量が取れる場合を想定し、4.3kWh/m2という数字を使います。
ここまでの数字で、発電量を計算することができますので、実際に計算してみましょう。
発電量 4.3kWh/m2 x 180m2 x 20%(発電効率)x 30日= 4,644kWh
上記にて、発電量は一か月あたり4,644kWhになるということが分かりました。この数字に政府による買取価格をかけることによって買取金額を計算することができます。
現時点では、政府による買取価格は31円/kWhですので、月々の収入は以下の通りです。
収入 4,644kWh x 31円/kWh = 14万円
上記にて、収入は14万円になることが分かりました。
5-3-1-3. 費用を計算する
次に、費用について計算をしていきましょう。太陽光パネルを設置する費用について見ていきます。
太陽光パネルの設置費用はその土地の状況やメーカーなどによって大きく異なってきますが、基本的にはkW単価で計算することが一般的ですので、今回は以下の前提で計算します。
太陽光設備の設置単価:40万円 / kW
今回設置する太陽光は200w x 187枚 = 37kWですので、太陽光発電の設備を整えるのに必要となる金額は以下の通りです。
設置費用 40万円/kW x 37kW = 1,480万円
上記にて、581万円の費用が発生することが分かりました。
5-3-1-4. 借入条件を計算する
次に、借入条件について見ていきましょう。太陽光の場合、銀行から担保として認められない場合が多いですので、一般的なアパートローンよりも厳しい条件で融資を引っ張ってくると仮定しましょう。借入の条件は以下の通りとします。
借入額:総額の80%、金利:3%、借入期間:15年
上記の前提の場合、毎月の返済額は8万円となります。
返済額 8万円
5-3-1-5. 収益性を求める
最後に収益性についてまとめました。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 72万円 |
ROA | 1.5% |
IRR | 2% |
ペイバック | 50か月 |
5-3-2. メリット
①国が保証している案件ということ
太陽光発電の最大のメリットは、発電量の買取保証を政府がおこなっているということです。期間は限られてきますが、極めて安定的に収益を上げることができると言えるでしょう。
②加速度償却を行うことができる
太陽光設備に関しては、設備部分に関して加速度償却を行うことが可能です。つまり、直近で大きな収益を得ることができている方は、この加速度償却制度を活用することによって所得を減らすことができます。
5-3-3. デメリット
①保証後の活用が難しい
政府による買取保証が終わったあと、どうやって活用していくのかという点がリスクとして挙げられます。
太陽光発電コストは他の発電方法よりも高いことは事実ですので、どうやって収益を維持していくのがポイントと言えそうです。
②収益性があまり高くない
また、収益性があまり高くないということも太陽光発電設備を設置するデメリットです。
政府による買取保証価格も毎年下がってきていますので、しっかりと買取価格の動きと太陽光パネルの価格の動きを確認しながら案件を進めていくようにしましょう。
以上が市街化調整区域の場合における土地活用の方法になります。
やはり建物を建てることができない分、選択肢は限られてきます。しかしそれでも色々な工夫をすることによって収益を上げることは可能になりますので、色々な可能性を考えながら、何が出来るか考えて行くのが良いでしょう。
なお、最近はやっているコンテナボックスを設置した事業を市街化調整区域で行うことができるのかと聞かれることがありますが、基本的に市街化調整区域の上にコンテナボックスを置くことはできません。
ただし、細かい条件に関しては各市町村に確認した方が良いでしょう。基本的には難しいという認識を持っていただければと思います。
6. 市街化区域の場合
次に、市街化区域における土地活用の方法についてみていきましょう。
6-1. 居住用のアパート/マンションを建てて土地活用する場合
まず、居住用のアパート/マンションを建てる場合について考えていきましょう。
アパートとマンションの明確な区分はありませんが、基本的には木造物件の場合をアパート、RC物件の場合をマンションと呼びます。
居住用のアパート/マンションを建てる場合の収益性から見ていきましょう。
6-1-1. 収益性
まず、収益性について見ていきます。
6-1-1-1. 建築する建物の規模を整理する
はじめに、どういった建物を建てるのかという点について考えていきましょう。今回は容積率一杯に建物を建てることを想定します。
今回の場合、土地の容積率は600%ですから、1,200m2の建物を建てることができる場合を想定します。
そして、間取りはファミリー向けとして一戸あたり50m2とします。
建築する建物の大きさ 1,200m2、一戸の広さ 50m2
6-1-1-2. 建築費を把握する
建てる建物の規模が分かりましたので、次に建築費についてみていきましょう。
建築費は建てる場所や規模などによって大きくことなってきますが、今回は概算として計算しますので、ざっくりと坪あたり100万円としましょう。
1,200m2は364坪ですので、364坪 x 100万円 = 3.64億円が建築費となります。
建築費 3.64億円
6-1-1-3. 賃料を計算する
次に、賃料を計算しましょう。土地の近くの物件の賃料相場はsuumoなどを使って簡単に調べることができます。
中野区新井で、築浅のマンションの賃料を調べてみましょう。インターネットで調べてみると、50m2の賃料の場合、だいたい15万円の賃料が取れることがわかります。
今回建築する物件は24部屋ありますので、毎月入る家賃収入は以下の通りとなります。
賃料 15万円x24部屋=360万円
6-1-1-4. 返済額を計算する
最後に、借入額の計算をしていきましょう。借入の条件はマーケット状況によって大きく変わってきますが、今回は以下の仮定で毎月の返済額を計算していきます。
借入期間:35年、金利:2%、借入額:建物価格の90%(3.3億円)
この条件で借入をすると、毎月の返済額は109万円となります。
返済額 109万円
6-1-1-5. 収益性
最後に、ここまでの条件をまとめて収益性を見ていきましょう。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 3,012万円 |
ROA | 9.3% |
IRR | 7% |
ペイバック期間 | 15か月 |
6-1-2. メリット
次に、アパート経営を行う場合のメリットとデメリットについてお伝えします。
①収益性が見えやすい
居住用アパート/マンションとして土地活用する最大のメリットは、収益性の予想が立てやすいということです。
居住用の物件の賃料相場は地域によって決まっており、その額が大きく動くことはありません。
だからこそ、一度アパートを建築してしまうと、安定的に収益を上げることができるのです。
ただし、これは「需要が見込める」地域の物件を購入した場合にのみ有効となる考え方です。人が住みたいと思わないような場所にアパートを建築した場合はこの限りではないことを意識して下さい。
②融資を組みやすい
また、居住用の物件の場合、テナント物件と比べても銀行からの融資を引きやすいです。
これは、銀行としても居住用のアパートは安全と考えていることが背景として挙げられます。
そういった意味で、事業の実現性も高いのがアパート経営を行う場合の特徴ではないかと思います。
③出口が見えやすい(売却が容易)
最後に、出口が見えやすいというのもアパート経営を行う上でのメリットです。安定して収益が入っている物件であれば、銀行の融資を組みやすいですから、それがそのまま売却の容易さにつながっていきます。
6-1-3. デメリット
①人口の減少に対応した動きをする必要がある
上記メリットの①とも関連してきますが、これから日本の人口はどんどん減少していきます。その中でしっかりと入居者がいるような地域の物件を買うことが必要であり、あなたが持っている土地が、入居者の需要がない地域である場合アパートの建築は控えた方が良いでしょう。
②管理に手間暇がかかる
また、アパートを建てた場合はアパートオーナーとしての仕事が発生します。この点に関しては基本的には管理会社に業務を委託することによってかなり負担を減らすことができますが、具体的にどういった内装にするべきか、といった点に関して判断業務が発生するということは理解しておいた方が良いでしょう。
③入退去のたびに費用が発生する
居住用のアパートの場合、大家が発生した場合その部屋原状回復する必要があります。一般的に、 賃貸物件の場合の居住年数というのは4年から6年ですのでこの期間ごとに基本的には原状回復費用が発生すると理解しておいた方が良いでしょう。
原状回復で発生する費用は概ねシングル向けの場合は20万円、ファミリー向けの場合は30万円を見ておけば良いでしょう。
6-2. テナント向けのビルを建てて土地活用する場合
次に、テナント向けのビルを建てることによって土地活用する場合について考えていきましょう。テナントとは、法人が事務所として入居するビルのことを言います。
基本的にテナント向けの建物にする場合と居住用の建物にする場合では、中の設備が大きく異なりますので、マーケットとしては全く別と考えることができます。
6-2-1. 収益性
6-2-1-1. 建築する建物の規模を整理する
建てる建物はアパート/マンションの場合と同じと仮定します。
6-2-1-2. 建物の建築費を把握する
建築費もアパート/マンションの場合と同額とします。
6-2-1-3. 賃料を計算する
アパート経営をする場合と異なる場合は取れる賃料の金額です。立地と築年数が異なりますが、サンプルとして以下の物件を取り上げました。
坪単価15,000円ですので、毎月取れる賃料は以下の通りです。
賃料 364坪 x 1.5円 = 546万円
6-2-1-4. 借入条件を把握する
借入条件はアパートの場合と同じ条件とします。
6-2-1-5. 収益性を求める
上記前提における収益性は以下の通りです。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 5,244万円 |
ROA | 14.0% |
IRR | 12% |
ペイバック期間 | 9か月 |
次に、テナント物件のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
6-2-2. メリット
①大きな収益を得ることができる可能性がある
テナント向けの建物を作るメリットの一つは収益性を高くすることができる可能性があるということです。
特に駅前の商業施設の場合は非常に高い賃料を取ることができます。
場所によって取れる賃料は大きく異なってきますが、収益の最大化のためにテナント物件とするかどうかも検討した方が良いでしょう。
②有名テナントが入ると、安定収益となる
また、テナントは一度入ると長期間ずっと入り続けてくれるという特徴があります。これは中小企業の場合にはあまり当てはまりませんが大手の企業の場合、その場所で収益を上げ続けることができるのであればずっとあなたの物件を借りてくれるでしょう。
ずっと何もしないで収益が上がっていくというのは非常に大きなメリットということができます。
6-2-3. デメリット
①空室が長期化する恐れがある
テナント物件のデメリットは、一度空室が出てしまうと埋めるのに時間がかかるということがあげられます。
やはり居住用の物件と比べて市場の規模は小さいことと、需要に合わない物件の場合はどれだけ条件を変えても埋まらないということがあり得るのです。
②経済情勢によってマーケットが変化しやすい
また、テナント物件はマーケットによって空室率や賃料に大きな動きがあるということも特徴です。
ここでリーマンショック後のテナント入居率と賃料の推移をグラフにしたものを見てみましょう。
リーマンショック後は、テナントの入居率が大きく下がっていることが分かるのではないでしょうか。
市街化区域に物件を建てる場合は大きく分けて居住用かテナントになると思いますが、どちらが良いかは個別にしっかりと検討した上で判断するようにしましょう。
6-3. コインパーキングとして活用して土地活用する場合
次に、コインパーキングとして土地活用をする場合が考えられます。コインパーキングとして土地活用する場合、青空駐車場と比べて初期費用がかかりますが、その分高い収入が期待できます。
一体どれぐらいの収入を得ることができるのか、計算していきましょう。
6-3-1. 収益性
まずは収益性についてみていきましょう。
6-3-1-1. 設置台数
対象とする土地に一度に駐車できる車の数は、青空駐車場の場合と同様、7台とします。
6-3-1-2. 収入を把握する
まず、収入について考えていきましょう。
収入を考える上では、中野区新井周辺でとれる駐車料金について調べる必要があります。「中野区新井 コインパーキング」で調べた結果を下記します。
この情報によると、近くの駐車場で1時間あたり1,200円の駐車料金が取れていることが分かります。
一日での稼働率を60%としましょう。その上で、一日で取れる駐車料金を計算してみましょう。
駐車場収入 1,200円/時間 x 7台 x 14時間(8時~22時) x 60% x 30日 = 212万円
6-3-1-3. コストを計算する
次に、コストを計算していきましょう。このコストも会社によってそれぞれ異なりますが、今回は精算機、ロックプレート、白線を引くために合計で200万円の費用が発生すると仮定します。
コインパーキングを始めるための初期費用 200万円
6-3-1-4. 収益性を求める
ここまでの前提を踏まえ、収益性について見ていきましょう。
指標 | 数字 |
キャッシュフロー | 2,544万円 |
ROA | 25.2% |
IRR | 106% |
ペイバック期間 | 1か月 |
6-3-2. メリット
①流動性が高い
これは青空駐車場の場合と同じなのですが、コインパーキングとして活用した場合、契約書を交わすこともありませんので、いつでも好きなタイミングで事業を終わらせることができます。
②担保として活用できる
コインパーキングとして活用する場合は初期費用をおさえることができ、おおむね自己資金の範囲で設置することができるでしょう。この場合、銀行から融資を受けませんので、抵当権を設定されることなく、土地をそのまま担保として活用することができます。
6-3-3. デメリット
①収益性が低い
市街化区域では建物を建てることができます。そして、建物を建てる場合には、基本的には容積率一杯に建物を建てることによって土地を有効に使うことができますので、建物を建てないで土地を活用する場合は収益性が低くなりがちです。
6-4. その他物件と、その他物件で土地活用の検討する際に意識しておくべきこと
上記以外にも、本当に細かい整理をしていくのであれば、コンビニ、スーパーマーケット、工場といった整理もありますが、こういった需要に応じた土地を持っている方は極めて少ないと思いますので、細かい記載は省略させていただきます。また、出口戦略という観点からも、これらの戦略はあまりおすすめできません。
土地活用の選択肢として考えられるものを挙げさせていただきますので、参考にしてください。
- ①コンビニ
- ②工場
- ③倉庫
- ④特定養護施設
- ⑤ レストラン
- ⑥スーパーマーケット
- ⑦自動車工場
- ⑧公共施設
ここで、上記のような建物を建てることによって土地活用をしようと考えている場合に意識しておくべきことについてお伝えします。
6-4-1. その事業の将来性
例え高い賃料で借りてくれる可能性があったとしても、借主の事業に将来性がなければリスクが高いと言えるでしょう。土地活用においては、最終的にキャッシュがプラスになることが重要であることを忘れないようにしましょう。
6-4-2. 代替性の高さ
上で書いたこととも関係してくるのですが、賃借人が退去した場合、他の事業でも使えるような間取りなのかどうかという点は確認しておいた方が良いでしょう。
例えば、コンビニとして使っていたお店をレストランに変えるのは簡単なことではありません。短期的な収益だけではなく、長期的な目線で考えた方が良いでしょう。
6-4-3. 経済合理性がある事業かどうか
次に、経済合理性がある事業かどうかという点があげられます。これは、言い換えると、国として補助がでている事業なのかということです。
例えば、学校法人の幼稚園などの場合、国から補助金を貰うことができますが、これは逆の考え方をすると、補助金をもらわなければ経営が難しい業態ということを意味します。
この場合、国の方針が変わっていくことによって対応していくことも難しくなりますから、しっかりとそのあたりも意識して対応を進めていく必要があるでしょう。
7. その他の土地活用方法に関して
ここから、その他の土地活用方法に関してお伝えします。
7-1. そのまま売却する
これは土地の活用とは言えないかもしれませんが、何もせずに土地を売却するという方法も考えられます。
7-1-1. メリット
①出費がない
土地を売却することが最大のメリットは何と言っても出費がないことです。そのままの状態で買いたい人がいれば何もしなくても売ることができます。
仲介手数料などの費用は発生しますが、その費用は売却によって得られるキャッシュによって賄うことができますので実質的に手元から出ていくお金はないと言えます。
②流動性が高い
また、流動性が高いということも土地をそのまま売却することのメリットです。
今後土地の値段が上がると予想する場合はそのままその土地を持ち続けて、値段が上がったタイミングで売るということもできます。
土地の上に建築物を作ってしまう場合、売却に向けてすぐに動くことはできませんので、そういった意味では有用性が高いといえるでしょう。
7-1-2. デメリット
①収益性が悪い
次にデメリットに関してです。 やはり、土地のまま売却してしまうということは将来その土地を活用して得られる収益を手放してしまうことですので、基本的には収益性が低い選択肢ということになります。
8. それぞれの場合の収益性を比較
ここで、ここまで説明したそれぞれの土地活用の場合における収益性をまとめて紹介します。
実際の収益性については活用する土地の性質などによって大きくことなってきますので、個別に細かい検討が必要です。
地域 | 活用方法 | キャッシュフロー | ROA | IRR | ペイバック期間 |
市街化調整区域 | 青空駐車場 | 240万円 | 2.4% | 200% | 1か月 |
土地として貸す | 204万円 | 2.1% | 100% | 1か月 | |
太陽光発電 | 72万円 | 1.5% | 2% | 50か月 | |
市街化区域 | 居住用アパート/マンション | 3,012万円 | 9.3% | 7% | 15か月 |
テナントビル | 5,244万円 | 14.0% | 12% | 9か月 | |
コインパーキング | 2,544万円 | 25.2% | 106% | 1か月 |
8-1. 検討結果から考えられること
ここで、収益性をまとめた結果から考えられることについてお伝えします。
8-1-1. 市街化区域であれば、建物を建てた方が収益性が高い
市街化区域であれば、基本的に建物を建てた方が多くのキャッシュを得ることができると言えます。
今回例として紹介した土地は容積率600%と比較的大きな数字であり、高い建物を建てることができることから、さらに高い収益を出すことができていることが分かります。
基本的には、土地に建物を建てることによって収益性を高めることができると考えておくと良いでしょう。
8-1-2. 太陽光設備の設置による土地活用方法は慎重に検討することが必要
太陽光発電設備はすべての指標において最下位という結果になってしまいました。政府保証であり、安定した収益を得ることができる一方、その分収益性が低く、資本の回収にも時間がかかるという結果でした。
他方、太陽光発電設備を置く場所は、基本的には駐車場としての需要も見込めないような地域ですので、そういった場所において安定収益を得られるという意味では、検討の余地が十分にある活用方法と言えるでしょう。
8-1-3. コインパーキングを設置する土地活用方法は、場所によっては非常に投資効率が良くなる可能性がある
また、今回の結果でコインパーキングの収益性の高さに驚いた方も多いのではないでしょうか?
需要がある場所であれば、自己資金をほとんど出すことなく、安定的な収益をあげることができます。そういった意味で、都心部に土地を持っている方はコインパーキングとして土地を活用してみるのも良いかもしれません。
9. 最後に
土地活用の方法についてご紹介しました。建築基準法にもとづいて、対象となる土地がどういった整理にされているのかを理解すると、どういった土地活用の方法が良いのかということが見えてきます。
まずは、今回ご紹介した手段をベースにし、個別に土地活用の方法について検討していくと良いでしょう。この記事があなたの土地活用の一助となれば幸いです。